【国際関係学部】「国際社会と開発Ⅱ」で米ユナイテッド航空・濱田氏を招きサステイナビリティとDEIに関する取り組みを学びました!

2024.01.22

12月18日(月)と25日(月)の2週間に渡って、「国際社会と開発Ⅱ」(担当:三田 貴教授)において、ユナイテッド航空代理店営業部西日本地区営業統括部長 濱田 浩史氏をお招きし、「ユナイテッド航空 持続可能な航空会社を目指して」というテーマで、ご講義いただきました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 越智 慎之助)


1週目である12月18日の講義では、ユナイテッド航空の持続可能な航空会社に向けた取り組みと未来に向けた目標について紹介がありました。同社は世界トップクラスの規模を誇り、従業員は10万人を超え、保有機材は1335機、搭乗者数1億6000万人(2022年10月~2023年9月期)を超える航空会社です。アメリカを拠点に展開する広域ネットワークを生かして、「Connecting people. Uniting the world」のミッションの下、世界の航空インフラを支えています。

本講義では、ユナイテッド航空として“いかに持続可能な航空会社となるか”をテーマにご説明をいただき、航空機運用に関わる温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みや従業員・顧客の多様性を尊重した同社内の制度についての紹介がありました。
ユナイテッド航空濱田氏による講義の様子

はじめにユナイテッド航空が掲げる2050年までに温室効果ガス排出量を、従来のカーボンオフセットに頼らず100%削減する目標についての説明があり、Reduce・Innovate・Remove・Collaborateという4つの観点から環境に対するアプローチを行い、持続可能な航空会社を⽬指していると説明がありました。例えば、⽇本航空(Japan Airlines)や全⽇本空輸(All Nippon Airways)も導⼊をしているSAF(持続可能な航空燃料:Sustainable Aviation Fuel)についても、他の航空会社に先駆けて多くのSAFを購⼊、利⽤し、メーカーやコンサルティング会社といった異業種との連携を図ることで、同社の環境に対する取り組みを強化しています。

次に、DEIに関する説明がありました。DEIとは、多様性(Diversity)公正性(Equity)包括性(Inclusion)の頭⽂字をとった言葉です。DEIは世界各地の人と文化を繋ぐ上で非常に重要なファクターであり、様々な障害や垣根を排除する為の取り組みを行っている事についての説明がありました。例えば、さまざまな問題から容易ではなかったパイロットになる為の道を、性別や学歴に関係なくより多くの⼈種や人々が挑戦できる為のパイロット育成を目的としたユナイテッド・アビエイト・アカデミーについての紹介や、障害をお持ちのお客様も安心してご利用頂ける為の機能や取り組みについてビデオを通じて学習を⾏いました。

2週⽬となる12⽉25⽇の授業では、ユナイテッド航空の濱⽥さんを前週に続いてお招きし、ユナイテッド航空の太平洋地域のハブであるグアム(⽶領)における観光の回復とオルターナティブツーリズムについて、未来学を⽤いてグループ学習を⾏いました。この⽇はグアム⼤学学⽣の吉井⿇世さんもゲストとして授業に加わりました。履修学⽣は各グループで、グアムの観光に関して“成⻑モデル・崩壊モデル・統制モデル・転換モデル”の4つのモデルを⽤いて多様な未来像を検討し、持続可能なグアム観光の未来像に関して検討を進めました。新型コロナウイルス感染症によって事実上停⽌状態となったグアムの観光業界は、現在観光客数は回復してきているものの、⽇本からの観光客は以前ほど戻っていません。再び成⻑するためにはどのような戦略が効果的かを検討することは、グアム社会にとっても航空会社にとっても重要なテーマです。また、これまで固定化された一面も持つツーリズムの形態に関し、新たな価値をグアム観光に見いだせないかということについても検討しました。グループワーク中は、三田教授に加えて、濱田氏と吉井さんも各グループを回り、グアムに関する質問を受けたりアドバイスをしたりしていました。

グループワーク中に学生にアドバイスをする濱田氏
学生からの質問を受けるグアム大学学生の吉井さん
グループワークの成果を発表する学生
各グループが考案したオルターナティブツーリズムの具体的な取り組み案や、航空会社の提供サービスについて、ユナイテッド航空の濱田氏とグアム大学の吉井さんからフィードバックを頂き、学生にとって実践的で学びの多い授業となりました。学生の一人は、「グループワークでは、実際にその国に関わりがある人たちに質問した。航空会社の立場や、実際にグアムに住む学生の立場からの話を聞くことができ、貴重な機会になった。」と授業の感想を述べました。濱田氏からは、「学生の皆さんはグアムにどういう価値を見出すかというところに着眼して議論していただき、実現可能性のあるアイデアも出していただきました。学生さんが真剣に話をお聞きくださり、未来への問題について考える時間を持ってくださったことが何よりも嬉しく思います」とコメントをいただきました。グアム大学の吉井さんからは、「授業はとても刺激的で、これからのグアムにぜひ生かしていきたいと思うアイデアの数々で、とても感動的でした。学生の皆さんがグアムがよりよくなる道を考えてくださったことがグアム大学の学生としてとても嬉しく、心が温かくなりました。」と授業参加を振り返りました。
グループからの発表に対して講評を行う濱田氏

授業を担当した三田教授は、今回の特別講義の企画意図と成果について、「この授業では未来学(Futures Studies)を用いて、単なる成長だけでなく、失敗する未来像や、堅実に社会を健全化する未来像、そして転換的でイノベーティブな未来像を毎週学生たちが検討してきました。しかし教室の中の議論で転換的な未来像を生み出しても、それが実社会でどれほど推進され得るのかという点については、現実感を伴った理解をすることは簡単ではないものでした。しかし今回の特別講義では、世界の中でも先端的でイノベーティブな取り組みの数々をグローバル航空ビジネスの中で展開し続けてきたユナイテッド航空が実際に取り組んでいる姿を十分に示していただくことで、これまでの理念的な学習と実践的な世界の動きとをつなげて理解する機会となりました。また、グアムを事例として、既存の価値を超えた新たな観光地の可能性を検討することで、航空ビジネスと地元社会の持続性に関する未来像を具体的に検討し提案していく、またとない機会をいただきました。」と述べました。

2回の特別講義を通じて、私自身も持続可能な航空会社に向けた取り組みや、航空業界全体における社会的な役割について理解を深めることができました。今後も各航空会社の取り組みに注目しながら探究を深めていきたいと思います。

ユナイテッド航空のサステイナビリティとDEIに関するリンク

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