【国際関係学部】三田ゼミが神戸学院大学人文学部の学生と多文化共生をテーマに街歩き実習を行いました。

2024.01.10

2023年11月24日(金)、国際関係学部三田貴ゼミ(グローバル協働・未来学)と神戸学院大学人文学部三田牧ゼミ(人類学)の3年次生が合同で、神戸・新長田で多文化共生をテーマに街歩きをするフィールド実習を行いました。

(国際関係学部3年次 南 優希)


この実習では、多文化共生をテーマに、3つのグループに分かれて街を探索しました。私のグループは、最初に、神戸国際コミュニティセンターを訪問しました。ここでは、主に外国にルーツを持つ人々のために、多言語相談・情報提供、日本語学習支援など、国際交流や多文化共生に関する活動が活発に行われています。また、日本文化イベントや日本語レッスン、曜日代わりで11言語に対応したレッスン、外国にルーツを持つ人による講演会なども提供されています。外国人の定住を支援するために、国民健康保険や区役所などの書類手続きのサポート、同行通訳などが提供されています。一階にある交流スペースでは、日本語テキストや本が初級レベルから上級レベルまで揃っており、11言語に対応した防災カードやイベントで交流できるスペースも用意されています。日本文化を感じることができるイベントは、例えば「しめ縄飾りづくり」体験や雑煮づくりなどがあり、これらは国籍や居住地を問わず参加できるようになっています。神戸国際コミュニティセンターのこうした取り組みを通じて、開かれた雰囲気と豊かな交流の場が生まれ、多文化共生が実現するために重要な役割を果たしていることを学びました。

次に、商店街や市場を探索しました。新長田は、「三国志」「鉄人28号」の漫画家である横山光輝先生の生地ということで、「三国志の街」をコンセプトとしているため、「鉄人28号」モニュメントのほか、所々に立て看板や垂れ幕、人物像がありました。本町商店街を歩いていると、スーパーマーケットの前に孔明の石像があり、ビッグハート本町筋に入ると、ハートのマスコットキャラクターが街を活気づけていました。

神戸国際コミュニティセンターは地域の多文化共生を推進する拠点となっている
グループで新長田の街を探索する両大学の学生たち

その後、外国にルーツを持つ人が経営している飲食店で昼食をとりました。私たちのグループはベトナム料理の店を選択しました(他のグループは、ネパール料理、ミャンマー料理の店を訪れました)。ベトナム料理店では、バインセオ、チェーチェーン、フォーといったベトナム料理をいただき、お店の方に、日本での生活のことや店内にあった装飾品や宗教儀礼に使うものに関して質問をしました。日本に住むベトナム人コミュニティの人たちの暮らしを垣間見ることができました。

ネパール料理店のグループは、ヒンドゥー教徒やカースト制度を学びました。そこは、近隣に住むネパール人にとっては、独特の調味料が故郷の味やなつかしさを思い出すことができる場所であり、外国にルーツを持つ人が故郷との接点を持つ、ある種の憩いの場となっていました。

ミャンマー料理店では、ミャンマーカレーをいただき、伝統的なミャンマーの装飾品や巾着袋に触れることで歴史や文化を学びました。この店舗はミャンマーに住んだことがある日本人の方が経営されていました。文化の交流や融合を考えるとき、日本が海外の文化を受け入れるだけではなく、海外に行った日本人が外国文化を受け入れて、帰国後にそれを日本で紹介・普及させることで多文化共生に寄与するという側面もあることを学びました。

丸五市場にあるミャンマー料理店

街歩きを終えた後、参加者全員で、各自が学んだことやその意味を共有しあいました。京都産業大学国際関係学部の学生からは、「普段歩かない街で新たな発見があり、今後は普段過ごしている街でも注意深く観察したいと感じた」、「合同ゼミ活動で、同世代の学生による異なる学びやモチベーションを知ることが刺激的であった」、「神戸学院大学人文学部の学生との交流や、飲食店訪問を通じて学んだことが、物事へのアプローチや視野を広げることにつながり、多文化共生を知るための大きなきっかけとなった」といった感想が出されました。また、神戸学院大学人文学部の学生からは、「合同ゼミでの良かった点は比較を通じて新たな視点を得られたこと。同じテーマでも質問の方向性や観点の違いがあり、他分野の学問を経験している学生が持つ視点からも学ぶことができた」、「新長田の街歩きでは異文化を持つ人々の共生が感じられると同時に、異なる視点から異文化を観察し共同して活動することが新たな発見につながることが分かり、卒業研究の取り組みに対しても大いに刺激を受けた」と感想がありました。

街歩きを終えて振り返りをする学生たち
実習に参加した学生と三田貴教授

実習を担当した三田貴教授は、「今回の合同実習は、フィールドに出て観察することや知らない人と対話することの楽しさや難しさを少しではありますが経験できたのではないでしょうか。街歩きの基本は、何にでも関心を持って、見たものを「当たり前のこと」とは捉えず、その背景や空間的時間的広がりを含めて探究する姿勢を持っていくことです。卒業研究をデザインする際には、国際関係学部の学生も人文学部の学生も、フィールドに出るタイプの活動を組み入れることで、卒業研究に向けた活動を楽しむとともに実際の社会のことを書物からだけでなく自分自身の力で学んでほしい」と述べました。

私自身は、人間社会・国際社会が分断・対立するのではなく共生していくためには、人や文化を尊重し理解するだけでなく、多文化共生の実現へ向けたアクション(サポート・支援)を起こすことが必要であることを今回の実習を通して体感しました。また、合同実習をしたことで、人文学部の学生たちは「人・暮らし」に着目することが多く、国際関係学部の学生たちは「文化・アイデンティティ・政治・制度」に着目していることが多いことに気が付きました。普段慣れ親しんでいる枠組みから一歩超えて、多角的な視点で物事をとらえることの重要性を学びました。この経験を糧にして、今後の研究や活動の中では、多角的な視点から物事を捉えるとともに、積極的にアクションに参加し協働していきたいです。

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