【国際関係学部】大使が語る地中海に浮かぶ美しい島国、マルタ共和国と日本との意外なつながりとは?

2023.12.08

11月16日(木)4時限目、「国際経営論Ⅱ」(担当:植原 行洋教授)の授業の一環として、「駐日マルタ共和国大使講演会」が行われました。アンドレ・スピテリ大使にお越しいただき、マルタ共和国と日本の二国間関係とその歴史、政治や経済、ビジネスについてご講演いただきました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 竹本 逸美)


はじめにマルタ共和国について紹介がありました。地中海に浮かぶ島国であるマルタ共和国は、地理的な要因から移民や外国人労働者を長い歴史の中で受けいれてきた多様性ある文化があります。その恩恵もあり、人口は増加し続けています。首都バレッタは街全体がユネスコ世界遺産に指定されており、公用語はマルタ語(アラビア語にルーツを持つ)と、英語(イギリス領であったため)です。海や教会といった美しい街並みと英語を公用語とするマルタ共和国は、多くの日本人留学生や旅行者を魅了していると説明がありました。
実は過去にマルタ共和国首相とJETRO理事長の会議にて同席していた植原教授とスピテリ大使。スライド写真にはマルタ共和国首相のそばに座る大使の姿
次にマルタ共和国と日本の関係について説明がありました。1862年に日本からの遣欧使節団がマルタ共和国を訪れたことから両国の関係は始まりました。1917年第一次世界大戦時にマルタ共和国で沈没した日本船の乗組員を埋葬した墓地が同国に建てられました。1921年には皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)が墓地を訪問され、桜の木を植樹されました。また、日本にもマルタ人コミュニティーがあり、マルタ共和国と日本は強い繋がりを持っています。

1965年に外交関係を樹立して以来、政治的に友好な関係を築き続けているマルタ共和国と日本ですが、日本にマルタ共和国大使館ができたのは2020年でした。2017年の故安倍元首相によるマルタ共和国訪問と翌年2018年のマルタ共和国首相の訪日、この2つが大きな契機となり駐日マルタ共和国大使館の設置に至りました。今回お越しいただいたスピテリ大使は日本留学の経験が豊富であったこともあり、初代の大使になられました。2023~2024年は国際連合安全保障理事会の非常任理事国をマルタと日本は務める縁にあります。大使は両国の関係を国連総会や安全保障理事会で同じ意思を示す「minded countries(同志国)」であると述べられました。

また、経済関係についてもお話がありました。マルタ共和国の日本へ主な輸出品目は本マグロ、日本からマルタ共和国には自動車や半導体等電子部品が輸出されています。本マグロにとどまらず、ワインやチーズ、はちみつや豚肉などを輸出し、マルタ共和国でも人気の和牛や日本酒を輸入することで多様な貿易をしていきたいと将来の展望も述べられました。

天皇皇后両陛下や故安倍元総理大臣に拝謁されたスピテリ大使。とても緊張したと振り返られました。
スクリーン左下に映るのはトヨペット。トヨタ自動車の初ヨーロッパ進出先がマルタ共和国だったこともあり、トヨタは今でも1番人気のブランドなのだそう。

ロシアのウクライナ侵攻についてもEUの一員としてウクライナを支援する姿勢を示しており、先月にはウクライナ提唱の和平案についての協議をマルタ共和国で開催しました。侵攻によりマルタ共和国内にも物価高や難民受け入れといった影響が出ており、早期終結を願っていると話されました。

スピテリ大使は、2002年に留学生として来日した当時と大使として働く現在を比べ、多くの関心を集めるマルタ共和国に対し大使としてのやりがいを感じると述べられ、これからも良好な政治や経済、文化関係を日本と築くためベストを尽くすと笑顔で語られました。

講演の最後にスピテリ大使は

  1. 日本の外へ飛び出して、異文化の中に暮らし学ぶこと
  2. 石の上にも三年、諦めないこと
  3. 初心を忘れずに学び続けること
  4. 自分を高めて改善していくこと
  5. 怖がらずに新しいことに挑戦すること
5点を学生へアドバイスしてくださいました。
質疑応答にも笑顔で答えてくださるスピテリ大使
その後行われた質疑応答では、日本企業のマルタ共和国進出やマルタ共和国におけるナショナリズム、日本がマルタ共和国から学ぶべきところなどさまざまな角度からの質問が飛び交い、スピテリ大使も丁寧に答えてくださいました。
笑顔でお話しされるスピテリ大使の姿が印象的だった講演からは、日本との意外な共通点やつながりを知ることができ、これからの両国関係が今後の国際社会にもたらす可能性を感じることができました。
(右から)アンドレ・スピテリ大使、正躰学部長、植原教授
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