時事問題を例に学部の学びを知ろう 時事問題を例に学部の学びを知ろう

量子コンピューターの「量子」って何?

従来のコンピュータを凌駕する処理速度を持つ「量子コンピュータ」実用化に向け、各国で研究開発が進んでいます。そもそも「量子」とは何を意味するのでしょう。

ミクロな世界の基本要素で、0と1の状態を同時に扱う演算に使えます。

通常のコンピュータでは、情報は「ビット」という単位で扱われます。ビットは非常に単純で、コインの裏表のように0か1のどちらかの状態しか取ることができません。1つの電気素子に多数の電子を蓄えて電圧が基準値を超えているかどうかで、1つのビットの状態が 0 か 1 を表しています。一方、量子コンピュータでは、電子や光子1つ1つの状態を扱います。例えば、電子や光子のスピンという量を1つの量子ビットとして扱います。量子ビットは 0 と 1 の状態を同時に取ることができる「重ね合わせ」という性質を持っています。 量子ビットは 1+1 などの演算が通常の計算規則ではなく、量子力学の規則に従うことになります。この特性をうまく活かすと、通常のコンピュータでは現実的な時間内に計算できない問題について、量子コンピュータでは速く計算できることがあり、有用性が期待されています。 このような量子の性質は物性物理学や素粒子・原子核物理学などミクロな世界を扱う物理学の基本となっています。物理学の基本の1つである量子の性質を理解することが量子コンピュータの実現には不可欠です。
物理科学科では通常の力学など日常世界の物理から、量子力学という非日常世界の物理まで実験と理論の両輪で学んでいきます。

理学部 物理科学科
新山 雅之 教授

専門分野:原子核ハドロン物理

PAGE TOP