令和4年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

令和4年度も前年度に引き続き、経済学部の授業に関して以下の5つの側面から分析を行った。
(1)全学との比較
(2)学部内の状況
(3)一昨年度から導入された新4コースの選択必修科目
(4)経済学入門科目(経済学入門Ⅰ(必修)、経済学入門Ⅱ(自動登録・選択必修))
(5)初年次教育導入科目(入門セミナー、データ処理セミナー)

回答率は、春25.5%、秋20.0%で昨年度に比して上昇したが、依然として低い水準であり、今回の報告結果についても、解釈には幅を持たせる必要がある点に留意されたい。

(1)については、全学と比較しても大きな相違はなかった。具体的には、授業参加状況は良好で(12回以上参加した学生の割合は春88%、秋84%)、殆どの学生がシラバスを事前確認している(春秋とも95%)。その結果、シラバスに記載している到達目標に概ね到達している(到達目標に60%以上到達したとする学生の割合は春95%、秋96%)。
(2)については、殆どの学生が、学びの面白さや自らの成長を実感でき(強くそう思う+そう思うの割合は春78%、秋81%)、総合的に見て対象科目に満足している(強くそう思う+そう思うの割合は春81%、秋84%)。また、Moodleに掲載された情報量(十分だった+どちらかというと十分だったの割合は春83%、秋85%)も適切で、教員、学生ともにMoodleを効果的に利用している。
(3)については、一昨年度から導入された新4コースの選択必修科目群は、全般的にみればコース間に明らかな差異は確認されず、バランスの取れたコース設定になっていると評価される。
(4)については、学生の主観的評価でみてみると、必修の入門Ⅰは学部平均をやや上回り、自動登録・選択必修の入門Ⅱは学部平均をやや下回る結果となったが、入門Ⅱも昨年度よりは改善していること、入門Ⅰは変更前のミクロ経済学入門、マクロ経済学入門(必修)と比べても高い水準にあることから、このプログラム変更は効果的であったことが示唆される。
(5)については、両科目とも少人数・対面授業であることから学部平均より学生の主観的評価は高かった。入門セミナーでは、資料やデータを探索する能力や読解力などが身についたとする回答が多かった。自由記述では、コミュニケーション力がついた、人前で話すことに対する苦手意識がなくなったことなどを評価する学生が多かった。データ処理セミナーでは、EXCELの基本的な機能を駆使できる力が身についたとする回答が多かった。自由記述では、社会人になってから必要となるEXCELのスキルを学べた、ステップごとに丁寧に教えてもらえたことなどを評価する学生が多かった。以上より、初年次教育については期待された効果が得られたと言える。

2. 学部独自のFD活動についての報告

公開授業とワークショップ

  1. 「公開授業」:
    • 科目 データ処理セミナー
    • 担当教員 八塩裕之先生
    • 実施日時/場所 令和4年11月9日(水)1限/10204教室
    • 参加人数 教員7名、学生25名程度
  2. 「ワークショップ」:
    • 実施日時/場所 令和4年11月16日(水)16時15分~17時/オンライン
    • 参加人数 教員16名
    • ワークショップでの意見交換内容
      効果的な授業形態およびクラスサイズ
      授業内容のレベルとスピードの妥当性
      非熟練履修者への効果的なフォロー等

3. 総括

(1)1.と2.において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

  • 3コース制から4コース制への移行は各コースのバランスを維持できている。
  • ミクロ経済学入門・マクロ経済学入門から経済学入門Ⅰ・Ⅱへのプログラム変更が学生の主観的評価を高めたことは経済学基礎修得に対する効果を高めることに繋がっていると考えられる。
  • 入門セミナーやデータ処理セミナーなどの1年次における少人数教育は、大規模学部における新入生の経済学学習および大学生活への順応性を高める効果を持っていることが確認された。

(2)1.と2.において確認された改善すべき点

  • 回答率の改善のため、設問の絞り込み等の工夫が求められる。
  • (3)、(4)、(5)については導入後間もないことから今後も検証を継続する予定である。

4. 次年度に向けての取り組み

経済学部で令和2年度から導入した取り組みが2つある。1つは、新4コース制(現代経済、ビジネス経済、地域経済、グローバル経済)の導入、もう1つは、入門経済学の再編成(ミクロ経済学入門・マクロ経済学入門から経済学入門Ⅰ・Ⅱ)である。次年度以降も引き続きこれらの新たな取り組みの効果を中心に(1)~(5)の項目に関して分析を行う予定である。
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