物理科学科セミナーご案内(2009年7月15日)
下記のように物理科学科セミナーを開催します
奮ってご参集くださりますようご案内申し上げます。
日時 | 2009年7月15日(水)16:30〜 |
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場所 | 京都産業大学理学部 会議室(2号館3階) |
講演者 | 花咲 徳亮 氏 (岡山大学理学部 准教授) |
講演題目 | 1次元導体 TPP[Fe(Pc)CN2]2(*) の巨大磁気抵抗現象 |
対象 | 本学教員・学部生・大学院生 |
講演概要
1次元有機導体 TPP[Fe(Pc)CN2]2 は、Pc の・-電子(最高占有軌道HOMO)と鉄イオンの3d軌道(next HOMO)にある局在スピンが相互作用をしている興味深い系である。
この物質は、半導体的な電気伝導性の温度依存性を持ち、低温では磁場20T程度で2,3桁に及ぶ電気抵抗の減少、いわゆる巨大な負磁気抵抗が観測されている。鉄イオン(Fe)を非磁性のコバルトイオン(Co)に置換した類似の・-電子系TPP[Co(Pc)CN2]2 では負磁気抵抗が見つからないことから、この巨大負磁気抵抗の起原はπ-d相互作用にあると考えられてきた。一方、π電子鎖には電荷不均一化が発生していることが、X線解析における4kFの散漫散乱やNQRなどによって確かめられている。電荷不均一化の原因は、π電子同士のサイト間にクーロン相互作用にあると考えられ、現在、π電荷の不均一化と、π電子スピン間の反強磁性短距離相関と関連が、巨大磁気抵抗の起源と相まって興味を持たれている。本講演では、この巨大磁気抵抗にまつわる様々な実験結果と、その起原を明らかにしようとする試みについてお話しする。
(*) Pc: phthalocyanine, TPP: tetraphenylphosphonium
物理学科 談話会委員