理学部物理科学科 学生向け談話会のお知らせ(2010.06.30)

次の要領で学生のための本校教員による談話会を開催します。
多くの学生の方々の参加をお待ちしています。

日時 2010年6月30日(水)13:15〜14:45
場所 京都産業大学 2号館3階会議室
講演者 渡辺 達也 准教授
題目 変分問題入門
対象 本学学生

講演概要

 本講演では変分問題・変分法について紹介する。
 自然現象の多くは「エネルギーを最小にする状態」として実現されている。状態として関数で表わされるものを考えると、エネルギーは関数に実数を対応させ る写像(汎関数という)として与えられる。関数のなす無限次元の集合における最小問題・極値問題を変分問題という。始めに最もシンプルな変分問題としてサイクロイドを考え、エネルギー汎関数を最小にする関数として良く知られたサイクロイド曲線が実際に現れることを見てみる。次に膜の振動・極小曲面の方程式など、解を具体的に書き下すことが出 来ない問題を紹介し、解の存在を証明する手法として変分法が有効であることを述べる。
無限次元における最小問題は有限次元のときとは異なり、最小点が達成されるかどうかはデリケートであり、次の二点が重要となる。(1)適切な関数空間は何か。(2)どのような条件を満たせば最小点が存在するか。一つ目の答えはヒルベルト空間・ソボレフ空間であり、二つ目の答えはパレ・スメール条件と言われるものである。これらについても簡単に触れる。最後に時間があれば、現在研究している非線形シュレディンガー方程式の定在波解についての話題を紹介する。

 数理科学科主任 談話会委員

PAGE TOP