子宮頸がんをワクチンで予防しよう

子宮頸がんはワクチンで予防できる数少ないがんの1つです

近年、日本では子宮頸がんの患者数と死亡数が増加しています。
WHOが2021年に発表したデータによると、日本の子宮頸がん発生率は、G7の中でワースト1位となっています。
発症のピークは30代後半で、毎年1万人以上が発症し、約3,000人の女性が亡くなっています。

なぜ子宮頸がんになるの?

子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。
9割の人は自然免疫でウイルスを排除できますが、1割の人でHPV感染が長期化します。
そのうちの一部が、異形成と呼ばれるがんの前段階を経て、数年以上かけて子宮頸がんに進行します。

ヒトパピローマウイルスについて

  • 性的接触で感染、女性の過半数が一生に一度は感染
  • 女性だけでなく男性も感染し、尖圭コンジローマ・咽頭がん・陰茎がんなどの原因になる
  • 喫煙により感染・発病しやすくなる
  • 約200種類の型があり、子宮頸がんになるハイリスク型は15種類

発がん性の高いHPV

特に危険なハイリスクタイプ

16・18型

①子宮頸がんの原因の50~70%を占める
②陰茎がんなどの原因にもなる

ハイリスクタイプ

31・33・45・52・58型+他8種類

その他疾患に関するHPV

疾患 HPVの種類
良性のイボ 1・2・4型など
皮膚がん 5・8・47型
尖圭コンジローマ 6・11型(16型でも生じることがある)

HPVワクチンについて

HPVワクチンにより、50~90%子宮頸がんを予防できます。
初めての性交渉の前で16歳頃までに接種することが最も効果的ですが、予防効果の観点から26歳までは接種が推奨されています。
一定の間隔を空けて、原則として同じ種類のワクチンを合計2回または3回接種します。 接種間隔については医師へ相談してください。およそ半年で接種は完了します。

HPVワクチンの種類

現在公費で接種できるワクチンは3種類あります。

ワクチンの種類 予防できるウイルス 効果
2価ワクチン
(サーバリックス)
16・18型 子宮頸がんを50~70%予防
4価ワクチン
(ガーダシル)
16・18・6・11 子宮頸がんを50~70%予防
尖圭コンジローマ予防
9価ワクチン
(シルガード9)
16・18・6・11・31・
33・45・52・58型
子宮頸がんを80~90%予防
尖圭コンジローマ予防

ワクチン接種に関してよくある質問

Q. 2価・4価ワクチンを接種中ですが、途中から9価ワクチンに変更できますか?

A.途中から9価ワクチンに変更し、残りの接種をすることも可能です。この場合も公費(無料)で接種できますが、必ず医師と相談してください。

Q. 1人暮らしですが、実家に戻らないと接種できないのですか?

A.ワクチン接種は住民票のある市町村で接種するのが原則です。事前に手続きをすれば、現在住んでいる市町村(住民票と異なる市町村)でキャッチアップ接種できる場合があります。 希望する方は、事前に住民票のある市町村の窓口へ問い合わせしてください。

今だからできるワクチン接種

① 9価ワクチンが無料接種可能に!

日本ではこれまで、2価・4価ワクチンのみ公費で接種できました。
2023年4月より、9価ワクチンも公費で接種できるようになりました。
※アメリカは2017年以降、オーストラリアは2018年以降、定期接種では9価ワクチンのみが使用されています。

② 大学生はキャッチアップ接種世代

2022年4月よりHPVワクチン接種の積極的勧奨が再開されました。
2013年6月~2022年3月までの約8年間、ワクチンの積極的な呼びかけが中止されていた経緯があり、現在の大学生はワクチン接種機会を逃している人が多いです。
※日本では2009年にHPVワクチンが承認されましたが、副反応の報道後、ワクチン接種率は2013年に70%から1%未満に急落しました。

③ キャッチアップ接種の期限が迫っています!

キャッチアップ接種の期限は2022年4月~2025年3月までで、対象者は公費で接種できます。
3回の接種に半年かかるため、2024年9月末までに1回目の接種を開始する必要があります。

無料接種対象者

  • 小学校6年生~高校1年生相当の女子
  • 1997年4月2日~2006年4月1日が誕生日の女性(キャッチアップ接種の対象世代)
    ② ① に該当し、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない者

※対象年齢を過ぎた女性でも、任意(自費)で接種を受けることが可能です。

④ 男性もワクチン接種可能に!

2020年12月より、日本でも9歳以上の男性の自費接種が可能となりました。
男性が接種可能なワクチンの種類は、4価ワクチンのみです。
3回接種するのに5万円程費用がかかります。
接種することで、尖圭コンジローマ、咽頭がん、陰茎がん、肛門がんなどが予防できます。

海外の高い接種率

海外では子宮頸がん予防の意識が高く、2022年12月時点で、120か国以上で公的な予防接種が行われています。

オーストラリアが世界で最初に子宮頸がんを撲滅する国になる

オーストラリアでは、男女共に接種率が高く、2028年に子宮頸がんを撲滅(基準:年間罹患数が、人口10万人あたり4例未満)すると言われています。

出典:WHO HPV vaccination coverage

海外では男性への定期接種が進んでいます。多くの国で無料接種できます。

出典:WHO HPV vaccination coverage

※日本の男子接種率はデータなし

ワクチンの副反応について

主な副反応

発熱、接種した部位の痛み・腫れ、注射による痛み、恐怖・興奮などをきっかけとした失神、アナフィラキシー(100万接種あたり約1.7症例)
※その他の副反応は同定されていません

WHOはワクチンの安全性に関する諮問委員会(GACVS)のレポート(2017)で、「HPVワクチンは2006年に承認されて以降、大規模で質の高い研究・調査が行われ、HPVワクチンは極めて安全であると考えられる」と声明を出しています。
GACVSは、多くの国々で事実でない主張がワクチン接種率を低下させること、そのことが実害をもたらす結果に到ることを懸念しています。

予防接種健康被害救済制度について

ワクチンの副反応による健康被害は、極めて稀ですが、ワクチンと健康被害との因果関係が認定された方を救済する制度があります。
詳細は厚生労働省ホームページを参照してください。

ワクチンでは100%予防することができないため、検診も合わせて受けることが大切です。

子宮頸がん検診とHPVワクチン接種で、子宮頸がんを予防しましょう!

関連サイト

PAGE TOP