むすびわざ講座 教養コース「グローバル科学の広がり」開催

2014.11.22

 11月22日、29日、生涯学習 むすびわざ講座 教養コース「グローバル科学の広がり」をむすびわざ館において実施し、講座は2日間にわたり理学部の教員4人がリレー形式で講義を行った。

 1日目の1コマ目は、岸本 真准教授が、「地球各地に広がる国際観測拠点から宇宙を見る」と題して講義を行った。ハワイやチリ等世界各地に点在する最新の巨大望遠鏡と、宇宙空間に浮かぶ望遠鏡とを駆使して日々行われている現代の宇宙観測事情を解説した。宇宙観測において、可視光線だけではなく赤外線や電波、X線といった様々な波長で観測しなければ宇宙の仕組みは理解することができないと語った。

 2コマ目では、山上 浩志教授が「物質中の電子の状態と電子物性」と題し、量子力学と相対論から導入された新しい物理概念を用いて物質の本質を明らかにする「物性物理学」を、日常に起こる物理現象に置き換えわかりやすく解説した。また、放射能で汚染された土地において、セシウムと土壌がどのように吸着しているかなどを研究し、汚染土壌の減容化を目指す新しい取組みも紹介された。

 2日目、1コマ目は、大森 隆教授が、「グローバル課題:環境とエネルギー」と題し、地球温暖化防止の為の再生可能エネルギーや水素エネルギー技術について講義した。地球環境の危機的状況を具体的に解説し、燃料電池車や太陽光水電解水素製造等の新しい技術の紹介を交えつつ、安全でクリーンなエネルギーの必要性を説いた。

 最終講義では、佐川 英夫准教授が、「グローバル観測から見えてくる地球大気のすがた」と題し、地球大気の構造やオゾン層の役割、オゾン層破壊のメカニズムなどを解説した。

 衛星観測によりオゾンホールが発見されてから、迅速な国際的対応により、2000年ごろからは、オゾンホールの深刻化も停滞し、今年9月にはオゾン層破壊の回復傾向が報告され、地球環境問題に対して科学、政策、人文社会学の連携が成功した例であると語られた。

 受講生からは「ゼミ方式で質疑が活発にでき、より深く理解することができた」「自分の暮らしている地球から宇宙まで新たな視点を持つことができた」「日常では接し得ない高度な講座を受講できてよかった」などの感想が寄せられた。
4人の理学部教員によるリレー講義が行われた
受講生24人が2日間熱心に参加した
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