高大連携講座「バイオテクノロジーと人間生活−自己の遺伝子を調べてみる−」

2008.07.19

 独立行政法人科学技術振興機構より、平成20年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)「プランA」(※1)として採択された京都市立紫野高等学校と京都産業大学との高大連携事業の取り組みを7月18日、19日の2日間に渡り実施した。
生物分野の本講座は「バイオテクノロジーと人間生活−自己の遺伝子を調べてみる−」と題し、本学の野村哲郎・工学部教授、山岸 博・工学部教授、黒坂 光・工学部教授及び工学研究科、工学部の学生が担当した。

 1日目は、紫野高校において、3名の教授が各々講義を行った。野村教授は遺伝子が動物の進化にどのような影響を与えたかを、テントウムシや犬を事例に話した。山岸教授は遺伝子と植物の品種改良の関係について話し、生産不可能と考えられていた青いバラを紹介した。黒坂教授は、アルコール代謝について説明し、遺伝子の違いにより個々人のお酒が飲める、飲めないについての原理を説明した。
講義終了後のグループディスカッションでは、「どんな遺伝子組み換え食品を知っているか?」や「遺伝子組み換え食品を食べられるか?」等、高校生にとっても日常生活から関わりのある身近なテーマで活発な議論を交わした。

 2日目は京都産業大学において、本連携講座の総括として「アルコール代謝酵素に関する実験」を行った。実験では、生徒が事前に準備した各自の爪や毛髪を使用し、最先端の「PCR」(※2)と呼ばれる技術を用いて、高校生自らがアルコール代謝に関わるアルデヒド脱水素酵素の遺伝子型を調べた。この実験から、遺伝子型により規定される酵素の種類が各生徒のアルコールに対する強弱という形質を決定していることを学習した。
 本実験には本学工学研究科及び工学部の学生6名が補助にあたった。参加した高校生は普段見ることのない最新の設備や実験機器に驚き、目を輝かせながら熱心に実験に取り組み、遺伝子についての知識を増やし理解を深めた。

※1 サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト「プランA」とは、大学等研究機関が
主体となって高等学校等と連携し、理科系科目について体験的な学習を実施する取り組みに対して経費支援がなされるもの。

※2 PCRとは、DNAポリメラーゼを用いて連鎖反応的に特定の領域のDNAを増幅する方法であり、1993年にキャリー・マリスがノーベル化学賞を受賞するに至った方法である。
遺伝子組み換え食品についてのグループディスカッションの様子
マイクロピペットの使用方法の説明を受ける生徒
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