株式会社 銀閣寺 大西 代表取締役 社長 大西 雷三さん × 山田 幸代さん対談

※所属・肩書は取材時のものです。(2014年3月)
むすびわざStory第7回は京都のお肉の専門店「銀閣寺 大西」の代表取締役で本学卒業生の大西 雷三さんに話を伺いました。

学生時代、どのように過ごされていましたか?

学生時代に多くのことを学びましたが、特に友人の影響が財産になっていますね。共通して抱えていた将来の不安であったり、夢を語り合ったりすることが多 かったように思います。感化されたり、刺激を受けたり・・・お互いを語り合うことで、不安を打ち消したりすることもありました。そういうところは本当に良 かったと思います。
特に一番の収穫といえば、妻を見つけたことでしょう(笑)実は同級生で、学部は違ったのですが、イタリア語の授業で出会いました。

友人を得て、奥様を得て、充実した学生生活だったんですね。その頃の大学はどのような雰囲気でしたか?

私たちの頃は、まだ大学が新しかったので、他の伝統校に比べると自由闊達だというところがありましたね。職員さんや教授も手探りの状態で大学を作っていく という雰囲気の中で、「私たちも一緒に作っていくぞ!」という一体感があったように思います。だからこそ、その頃の友人との付き合いが続いていて、今でも 夢を語り合え、いい刺激になっていますね。

会社を継続されておられる中で、「ここだけは譲れない」というようなことがあれば教えてください。

経営は、環境の変化にいかに適応させるかが大切です。「伝統」とよく言われますが、これは「改革」を積み重ねた結果であり、ただ昔からのやり方を真 似るだけや、古いというだけでは生き残れないと思います。社会や経済環境がどのように変わっていくか、業界の流れや風向きをキャッチできるよう、常にアン テナを張っていなければいけませんね。

うちの会社は、2001年に同業界では初めて、品質、安全システムであるISO9001、HACCPの認証を取得しています。これは1996年に堺市で発 生したO157による集団食中毒事件がきっかけでした。食品を扱う私たちは、尊い命を奪う可能性を秘めている。我社からこのような不幸な事故を起こさない という決意で、徹底した衛生管理に取り組む中でたどり着いたわけですが、近い将来、消費者は食肉に対して、味や価格だけでなく、必ず安全安心を求める時代 が来ると考えての取り組みでもありました。大きな投資を行い、いろいろ苦労もありましたが、利益のことより、食品を扱う者の責任を果たし、本気で消費者や 社会の為を考えて行ってきたことは、結果的には利益に結び付くようですね。

でも「改革」には勇気とエネルギーがいります。組織ですから、自分ひとりだけが変えようと思っても駄目で、みんなが理解し納得させないといけない。若いこ ろは先代である父と、会社の将来ついて良くぶつかりました。反対もされましたが、理想や夢を持ち、正しいと信じて向かっていくと、協力者も出てくるし、父 も理解を示すようになりました。思いを持ち続ければ、くじけそうになってもいつかは夢に近づくもんだということを経験の中から得ましたね。何事も一生懸命 真剣に向き合うことで、人にも認められ、多くの良いご縁をいただきました。

環境に適応しようとアンテナを張って、引っかかったものに対して一歩を踏み出すことで、新しい出会いがあったりご縁があったりするんですね。今のお話を聞いて、躊躇せず一歩踏み出す大切さを学生のみなさんにも伝えたいと思いました。

躊躇するというのは結果を恐れる、失敗することを恐れているからでしょうね。それは今の社会の風潮が、失敗することを許さないからかもしれないですね。
良い結果を出すというよりも答えを出すために、いろいろ行動する。答えが知りたいからこそチャレンジして、一歩を踏み出すことが大切ではないでしょうか。 結果がたとえ失敗でも、次にそのやり方をしないで済むと考えれば、捉え方によっては“成功”だということでしょう。だからどんどんチャレンジし、学生のう ちに多くの失敗を経験すればいいと思いますね。

学生に一言メッセージをお願いします。

思い立ったらすぐ「コウドウ」ということですね。ただし、「コウドウ」は考えて動く“考動”でなければいけないと思います。むやみに動く のではなくて、どういう影響が出るかある程度しっかりとしたプランを立てて(考え)、一歩を踏み出す(動く)ということをしなくてはいけないと思います。

そして「問題解決力」は学生の時から身につけて欲しいと思いますね。いろんなことにチャレンジするからこそ問題が起こるし、思うようにい かず誰かを傷つけることもあるかもしれない。そういう時に逃げたり、うやむやにしたり、誰かに依存してはいけないですね。自分で蒔いた種は最後まで自分が 責任を持って片付けるということはとても大事だと思います。

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