広告ギャラリー 車両ポスター2016年3月
Q. 活動を始めたきっかけは?
私は、阪神淡路大震災の年に神戸で生まれました。たくさんの人に助けられながら街の復興とともに育ってきたことで、人の心の温かさというものを感じていた、ということがあります。その後、高校は全国でも唯一の環境防災科に入学し、ネパールでの防災教育などを経験するうちにボランティアに興味を持つようになりました。そんな中、高校一年のときに東日本大震災が起こり、ボランティアとして現地に入ったことがターニングポイントになりましたね。現地でまず感じたのは自分に対する無力感。初期に入ったというのもあって、水道・ガス・電気は不通。自分たちが行けば少しは役に立つと思っていましたが、仮に5日間泥かきをひたすらやっても、仮設住宅をたくさん回ったとしても、帰るときに被災地の光景が変わるわけでもなく、現地の人たちの生活が良くなるわけでもない。さらに神戸に帰ってきたら、何事もなかったかのような、当たり前の生活が広がっていて。そこに一番ギャップを感じました。それから、個人的にボランティアに参加したり、防災の勉強をしたり、積極的に動くようになりましたね。
Q.「被災地・未災地交流会」とは、実際にどんな活動なのですか?
「被災地・未災地交流会」は、被災地の学生と未災地(=災害体験のない地域)の学生の両者を集めて語り合う場です。活動の意図としては、防災を根付かせていくことと、東日本大震災にどう関わっていくかを模索することにあります。経験者にとってはカタルシス効果、つまり災害体験を語ることによって自分の中で整理されていくという効果があり、未災地の学生にとっては災害体験を同世代から聞くことによって、よりリアルに自分事として受け入れ、防災意識の向上につなげることができるという狙いがあります。
Q.活動の中で意識していることはありますか?
交流会で話してくれる被災地の学生は、自分の辛かった経験を涙でボロボロになりながら語ってくれます。人前で話すことは簡単ではないのに伝えようとしてくれるのは、きっと何か僕たちに感じてほしいことがあるからだと思うんです。そこを上手くくみ取って生かしていくことが話してくれた人たちへの恩返しなのではないかと思い、活動の中では、相手に寄り添うことを第一に考えています。自分が何気なく発した言葉でも、相手にとっては傷つく言葉だったりすることもあるので、辛い気持ちや当時の想いを完全には理解できなくても、最大の配慮、気持ちを遣うようにしています。また、ただ気遣うだけではなく、そこに災害に関する知識や実体験を知ることも必要。ですから事前準備はしっかり行い、話し方やワークショップの組み立て方も工夫しています。
Q.活動を通して成長したことはありますか?
自分ではあまり実感はないですが、人間的に優しくなったかな、と思います。活動の中で人に寄り添うように心掛けていることが、日常生活の中にも出てきているのかもしれません。積極的にたくさんの人と会うようになったことも大きな変化ですね。今の時代、会わなくても電話やSNSで情報交換が可能ですが、「実際に顔を合わせる」ことにこだわって、仮に遠くても会いに行こうと思うようになりました。真剣に話したい時や会いたいと思った時はすぐ行動します。実際に会うことの大事さを気付かせてくれたのは東北。現地の人の話を電話で聞くのと、会って話すのとでは同じ話でも全然違うんです。同じ空間を共有することでその関係性は変わってくるのかな、と思います。