2024.12.20
特集菖蒲池の冬支度!五葉松の木に「雪吊り」を設置した文化学部マレスゼミを取材!

皆さんは「雪吊り」といわれる、松などの木が上から縄で吊られている姿を見たことがありますか?今回は、学内の菖蒲池で雪吊りを行った、日本庭園史が専門の文化学部 京都文化学科 マレス エマニュエル先生と、ゼミ生の皆さんに取材してきました。
今年で2年目のマレスゼミの雪吊り
雪吊りとは、雪の重みで木の枝が折れないように、縄で上から吊って、木を補強する手法のことをいいます。降雪地域で農業用のりんごの木に施されていたことが始まりだそうです。現代では、その見た目の美しさに人気があり、金沢にある兼六園の雪吊りはライトアップされ、観光名所にもなっています。

マレスゼミで雪吊りを行うのは今年で2年目です。きっかけは、2024年3月に卒業した元・マレスゼミ生の川畑 和也(かわばた・かずや)さんが、マレス先生に雪吊りをテーマに研究したいと相談したことが始まりでした。兵庫県豊岡市出身の川畑さんは、日本海側の雪が多い地域で育ちました。川畑さんが中学生の頃には、両親と一緒に雪吊りを行っていたそうです。
雪吊りの様子をレポートします!
今回の雪吊りは、2024年11月30日に実施。マレス先生と、雪吊りの経験が豊富な川畑さん主導のもと、ゼミ生数人が集まって行いました。
必要な道具は、竹、わら縄、はしご、のこぎり。まずは雪吊りの中心の柱となる竹を、木の枝の間を通して中心に立て、角度を調整します。マレス先生が竹を立て、川畑さんやゼミの学生たちは数十メートルほど離れた四方から、中心軸となる竹が傾いていないか、そして木とのバランスを見つつ、美しい長さを決めます。
必要な道具は、竹、わら縄、はしご、のこぎり。まずは雪吊りの中心の柱となる竹を、木の枝の間を通して中心に立て、角度を調整します。マレス先生が竹を立て、川畑さんやゼミの学生たちは数十メートルほど離れた四方から、中心軸となる竹が傾いていないか、そして木とのバランスを見つつ、美しい長さを決めます。

角度と長さが決まったら、竹を一度地面に戻し、のこぎりで切ります。次に、竹の長さに合わせて縄を10本切り、竹の先端に10本の縄を均等な間隔で結び、十字に組んでバラバラにならないように結んだ後、竹の先に固定します。それからいよいよ、竹を木の幹に固定します。


そして、縄が等間隔になるように全体に広げて枝に仮止めします。木の曲がり方に合わせて、直線的な竹や縄が美しく見える角度に微調整します。川畑さんは池の逆側まで行き、遠くからの見え方も確認します。


全体のバランスが確認できたら、縄を枝に本留めします。余った縄を切ったら、雪吊りの完成です。

雪吊りに参加したゼミ生に、感想を聞いてみました。
マレスゼミで石垣について研究をしている、3年次 中西 美空(なかにし・みく)さんは、「今回、1本の松を作業するのに3時間。初めて雪吊りを体験したのですが、竹の角度調整や縄を木に結ぶ作業などを丁寧に行うため、思っていたよりも時間がかかり驚きました」と振り返ります。
同じく3年次で、坪庭の研究をしている沖田 愛菜(おきた・あいな)さんは、「この雪吊りした松が冬を越して、春まで枝が折れずに無事でいると良いなと思います」と話してくれました。
マレスゼミで石垣について研究をしている、3年次 中西 美空(なかにし・みく)さんは、「今回、1本の松を作業するのに3時間。初めて雪吊りを体験したのですが、竹の角度調整や縄を木に結ぶ作業などを丁寧に行うため、思っていたよりも時間がかかり驚きました」と振り返ります。
同じく3年次で、坪庭の研究をしている沖田 愛菜(おきた・あいな)さんは、「この雪吊りした松が冬を越して、春まで枝が折れずに無事でいると良いなと思います」と話してくれました。

マレス先生から、雪吊りは竹やわら縄のような自然素材を使っているため、使用後もごみを出さず自然に返すことができるところが良いと教えてもらいました。それは雪吊り以外の庭園の造作も同様だそうで、「学生が僕のゼミで学ぶのは庭園という小さな世界だけど、そこから身の回りの環境問題に気づくきっかけになれば、うれしいです」とおっしゃっていました。


マレス先生が日本庭園を研究するようになったきっかけ
フランス出身のマレス先生が日本庭園に興味を持ったきっかけを聞きました。交換留学生として上智大学で学んでいたとき、「縁」という言葉の意味が分からず、大学の先生に意味を聞いたそうです。すると、「『縁側』という言葉にも入っているように、『縁』は内と外、人と人をつなぐものなんだよ」と教わり、その意味に感嘆し、「縁側」そのものに興味を持ちました。
留学などを経てフランスの大学を出たマレス先生は、京都工芸繊維大学に進学し、日本建築を学びながら縁側の研究を行い、博士号を取得。さらに、きちんと縁側を理解するには建築だけでなく庭のことも知る必要があると考え、庭師のアルバイトもしたそうです。
留学などを経てフランスの大学を出たマレス先生は、京都工芸繊維大学に進学し、日本建築を学びながら縁側の研究を行い、博士号を取得。さらに、きちんと縁側を理解するには建築だけでなく庭のことも知る必要があると考え、庭師のアルバイトもしたそうです。

現在は本学で日本建築史や日本庭園史を教えるマレス先生。ゼミ生を迎えて5年目になるそうで、「この雪吊りで、川畑さんが自分の興味を探究し、成長できてよかったです。ゼミでは、そんな場をこれからも提供していきたいです」とお話しになりました。
私は今回の取材で初めて雪吊りを見学しましたが、想像していたよりも多くの手順があり、1本の木に雪吊りを施すのに時間がかかることを知りました。雪吊りを行うことで雪が降っても枝を守ることができる雪吊り。京都市内では見る機会が少ないので、ぜひ在学生の皆さんにも見てほしいです。実際に雪が降るとより綺麗になると思うので、今から雪が待ち遠しいです。