2023.10.11

特集

失敗も糧に!本学卒業生のサンケイスポーツ記者・中屋 友那さんインタビュー

インタビューに応じる中屋 友那さん。

2023年3月に本学を卒業し、産経新聞社に入社、サンケイスポーツで阪神タイガース担当記者として活躍する中屋 友那(なかや・ゆうな)さんにお話を伺いました。新人記者として18年ぶりのリーグ優勝に立ち会うという幸運に恵まれた中屋さん。しかし、それまでは挫折や悩みも多くあったそうです。そんな中屋さんに、大学時代のお話や仕事との向き合い方についてアドバイスいただきました。

なぜ記者になろうと思ったのですか?

小学生の頃から野球を楽しんでいた中屋さん(右)
僕は高知県出身で、小学生の時に野球を始めました。親元を離れ、野球が強いと有名な中高一貫の高知中学高等学校へ進学。中学時代はU15アジア選手権の日本代表にも選ばれましたが、高校1年生で肩を故障。高校3年生で春の甲子園に出場し、ピッチャーとしてマウンドに立てたものの、5回8失点という散々な結果に終わりました。僕にとっては苦い思い出です。
高校時代はピッチャーとしてマウンドに立つ。
その後、とある大学の野球推薦を受けましたが、最終選考で不合格。しかし、公募推薦入試で京都産業大学の国際関係学部に合格しました。
大学入学後、硬式野球部に入部しましたが、プロの道に進める才能はないと感じ、諦めました。一方で、野球に関わっていたいという気持ちはあったため、プレーヤーとしてではなく、別の形で関われる方法はないかと模索していました。
本学野球部では内野手に転向。
そんな中で直接的なきっかけとなったのが、大学3年次の時に参加したインターンシップでした。貿易、商社、メーカーなど多くの企業のインターンシップに参加しましたが、いずれもピンときませんでした。しかし、とある新聞社でのインターンシップに参加した際、スポーツ記者の話が興味深く、「こんなふうになりたい」「自分で取材をして記事を書くという仕事なら、責任感を持って仕事ができる」と感じスポーツ記者を目指しました。

大学時代の経験は、今どう生きていますか?

本学の国際関係学部では海外の方と関わる機会が多くあり、学生時代に日本と他国の違いについて学び、考え方や文化の違いを受け入れられるようになりました。そのため、仕事をしていく中で、例えば周囲の記者が自分の考えとは違った視点から選手に質問していても、そこから得られるヒントもあるな、と捉えられるようになりました。
学生時代について思い返す中屋さん。
国際経済や国際政治について学び、課題を深く突き詰めるゼミも、厳しいながらも楽しかったです。おかげで、思考力やプレゼンテーション力が鍛えられました。そういった大学時代の学びが、今の僕の土台を作っています。

記者として気を付けていることは何ですか?

読者と選手の気持ち、双方に寄り添うことです。僕は野球経験者のため、選手の素晴らしいプレーについてじっくり解説したくなりますが、読者は野球の試合そのものを楽しんでいます。技術的な解説に偏りすぎず、チームが勝った喜びや負けた悔しさを読者が共有できる記事を心掛けています。特定の球団の良い面ばかり書く記事もありますが、それでは単なる球団の広報になってしまうので、客観性も大事にしています。
試合中はスコアを取りながら記事を書く。
チームが負けた日の記事や、選手が失敗した記事を書かなければならないときもあります。選手にとって嫌なことでも、読者のために事実はきちんと書くべきです。しかし同時に、うまくいかない背景や、選手が頑張ってきたことにも目が向くような記事を書きたいです。自分が野球をやってきたからこそ、スランプの焦りや、抜け出すための努力も想像できるからです。
熱いファンが毎試合集まる阪神甲子園球場
阪神タイガースは毎日4万2千人以上のファンで球場が埋まる熱い球団。そんなファンの方に「この話、良かったな」と思ってもらえる記事を書きたいです。またそういう責任感を感じられることがこの仕事の面白さです。読者の「記憶に残る記事」を目指して、書き続けていきたいと考えています。

2023年9月14日、阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝を果たしましたね!記者としての感想を教えてください。

毎日地道に頑張っている選手たちを近くで見てきたので、優勝は何よりうれしかったです。
優勝の日は、9回表でクローザーの岩崎投手が登場したあたりから、球場全体が盛り上がっていました。優勝が決まった瞬間は、18年間待っていた優勝に感極まって涙するファンも多くいました。
※クローザーとは、自チームがリードしている試合の最終回に登板する投手の総称。抑え投手。
 
今年の優勝のポイントは、岡田監督が「普通にやる。やることをやる」という考えの基に守備や打順を固定したことで、選手が自身のやるべきことに集中して取り組めたことが大きかったと思います。記者の間でも「今年の阪神タイガースは、ひどい連敗はないだろう」との見立てがありました。
中屋さんが書いた阪神タイガース優勝翌日の記事。
優勝翌日の記事は、11面仕立てで阪神タイガース特集を組みました。優勝前から選手たちの事前取材に走り、シーズンを振り返って「成績を残した裏には、こんな思いや努力があった」という記事を作り上げました。毎日の記事もスポーツ面の8面のうちの3面は阪神タイガース情報で埋まります。その合間を縫って書き上げるハードな日々でしたが、1年目で怒涛の日々をこなしていったことは自分にとって大きな経験となりました。

今後、注目の選手はいますか?

2022年にドラフト1位で阪神に入団した森下 翔太 選手と、4年目の小野寺 暖 選手です。森下選手は僕と同い年。高校時代に、直接対戦こそしませんでしたが、同じ日に甲子園球場で試合をしていたことがありました。そんな話から仲良くなり、阪神タイガースの遠征先で一緒にご飯に行くこともあります。
また小野寺選手は育成選手からスタートした25歳。選手層が厚いため、代打での起用が多く、しんどい気持ちも抱えていると思います。でも出れば必ず打ち、打率も3割超え。この精神力、集中力は本当にすごいです。今後の活躍を期待したい2人です。
※育成選手とは、実戦よりも育成を目的として登録された選手。一軍の公式戦に出場できないなど制限がある。
記者席で取材に応じてくださった。

クライマックスシリーズに向けての見どころは?

注目ポイントは2点あります。一つは、注目選手として挙げた森下選手が、息を吹き返すかどうかです。優勝に貢献した森下選手が、ここ最近不振が続いているため、クライマックスシリーズで復活するかどうかはポイントになると思います。
もう一つは、優勝のポイントとしてお話しした「普通にやる」をクライマックスシリーズでも続けられるかです。プレッシャーが大きいと、どうしても普段と違うプレーになってしまったり、ミスが起きたりしがちです。リーグ優勝までのように、「普通に」やり続けることができれば、クライマックスシリーズ優勝も見えてくるのではないかと思います。

在学生の皆さんへコメントをお願いします!

仕事に対する熱い思いを語ってくれた。
僕は、高校時代に甲子園で負けた経験がその後もトラウマになり、野球が嫌いになりかけたこともあります。しかし、社会人になってプロの若い選手たちと話す中で「苦い経験も今の自分につながっているんだな」と、思えるようになりました。
 
失敗したときは本当にしんどい。でも先に辛い経験をしたほうが、後で必ず楽になります。生きていたら、失敗は必ずある。「失敗にも意味がある」と思って、もしうまくいかないことがあっても、くじけずに自分ができることにベストを尽くすことをお勧めします。そうすると別の道が開けたり、気付いたら思い描く方向に歩んでいたりするかもしれないからです。学生時代は勉強を含めて、今できること、やりたいことに全力で取り組んでください。
それが少しだけ年上の僕からのアドバイスです。

中屋さんは自分の意志がはっきりしていて、一つ一つの選択に理由があることがかっこいいと思いました。また失敗や後悔もその後につなげられると聞き、自分の考え方が変わりました。自分も好きなことを追求し、将来につなげたいです。選手の様子も伺って、ますます阪神タイガースファンになりました。阪神タイガースが日本一になったときに書かれる中屋さんの記事を早く読みたいです!

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