2021.03.29

特集

京都産業大学で進められる世界トップレベルの研究!世界的学術誌への多数掲載を生み出す研究力とは

研究室での遠藤斗志也先生。

実は京都産業大学は、世界的学術誌「Nature」の掲載数が全国私立大学の中で慶応義塾大学に続き第2位(出典:『大学ランキング2021』/朝日新聞出版)!2014年・2015年は「Nature」と並ぶ学術誌「Science」も含めた論文掲載数が全国第1位(2015年は1位タイ)に輝いたほど、世界トップレベルの研究が数多く行われています。
そんな京都産業大学が世界に誇る最先端の研究を進める先生方の中から、2019年と2021年に『Nature』に研究成果が掲載された、生命科学部先端生命科学科の教授で、タンパク質動態研究所所長の遠藤斗志也先生にインタビューしました。なぜ京都産業大学では、世界的な学術誌に載る高いレベルの研究が可能なのか、その理由に迫ります。

学術誌『Nature』に掲載される、世界最先端の研究

遠藤斗志也先生は、学部で授業を担当する一方で、生命科学分野での世界最先端の研究を行う研究室を主宰し、研究成果を論文で世界に発表しています。専門分野は構造生物学と分子細胞生物学。ミトコンドリアが自身を構成するタンパク質を取り込み、つくられていく仕組みをクライオ電子顕微鏡解析をはじめとする様々な手法で明らかにしています。
「生命科学の分野では、ほぼ同時期に、同じテーマを研究しているグループが世界のどこかにいます。誰が最初に得られた成果を発表するかのレースでもあるんです。この分野では1か月遅れたら、もう別のグループに先を越され、研究はどんどん新しいものに発展していきます。早く成果を出すために休み返上になることもしばしばあります」と語る遠藤先生。世界中の研究者が『Nature』や『Science』などのステータスマガジンへの論文掲載を目指しているそうです。競争にしのぎを削る厳しい世界、ということが垣間見えてきました。
 
また、いち早く素晴らしい成果をあげたとしても、発表の仕方に工夫が要るといいます。「世界レベルの雑誌に掲載されるためには、戦略も必要です。研究結果をどの学術誌に投稿するか。雑誌によって特徴が違いますから、投稿する雑誌を決めたら、そこに掲載されやすいスタイルにします。『Nature』だと得られた結果のインパクトを簡潔にまとめることが重要です。論文はピアレビューと言って、その分野に精通した研究者による厳しい査読を受けます。そうした査読者たちからのどんな指摘にも耐えられるように、細かい部分も綿密に仕上げていきます」。長年、生命科学の分野での実績を積んできた遠藤先生の智略が、いかに重要な役割を果たしているかがわかります。
 
こうして研究レースに打ち勝ち、世界的な学術誌で発表されると、その論文は多くの人に読まれ、引用され、世界中のその分野での研究が、一斉に次のステージにシフトアップしていくのだそうです。そして遠藤先生によれば、こうして発表された論文は「研究者たちによって認められた知として、これまで蓄積されてきた人類の知に新たに付け加わり、人類共有の財産の進歩に貢献する」ことなのだとか。なるほど、『Nature』に載ること自体すごいことですが、遠藤先生の視線はもっと先にありました。こうした人類の未来につながる研究が、京都産業大学のキャンパスで行われているのです。

研究室のスタイルも世界と肩を並べる

遠藤先生は、2014年に名古屋大学から京都産業大学に移ってこられました。分子細胞生物学の分野でトップを走る永田和宏先生(現在は京都産業大学名誉教授)が京都大学から京都産業大学へ移り、その後もアクティブに研究活動を続けていることを知り、京都産業大学では、研究に集中しやすい環境が整っているのではないかと思ったそうです。
 
その予想は見事的中。最先端の研究室を主宰する遠藤先生にとって、京都産業大学の研究環境はたいへん恵まれているといいます。
「私の研究はまずプロジェクトを計画して、国に研究費(競争的資金)を申請し、採択されたら優秀な研究者を公募などで集めるところから始まります。本学では、国の競争的資金に加えて、学内の研究支援制度が整っています。最先端の研究を進める上で、研究費の確保は重要な課題です。大学の研究支援体制のおかげで、教員はとても助かっていると思います。運営費交付金が減る一方の国公立大学ではここまで恵まれた条件はないと言ってもいいかもしれません」。
遠藤先生は自由な発想に基づく研究で研究費や研究者を集め、プロジェクトを牽引しているそうです。実は欧米の世界的レベルの研究室は、多くがこの方式。リーダー的な研究者に、大学や研究機関が研究しやすい環境を提供しています。世界的研究は、世界と肩を並べる研究環境から生み出されているわけです。
「本学がすごいのは、研究者だけでなく、大学の事務職員の方もみな、『研究がより良いものになるように』という意識をもっていることです。事務職員のサポートも大変助かっています。研究者にとってはありがたい環境です」と遠藤先生。
研究拠点である15号館

新たな扉を開くと、別の世界が広がっていく

遠藤先生の研究成果は、学部の授業にも反映されています。世界中で研究が進み、その内容は日々更新されているため、遠藤先生から見れば、教科書の内容はどうしてもすぐに古くなってしまい、5年は遅れていると感じるそうです。「最先端の研究をしている私が授業を受け持つ以上は、今世界でどういう研究がされているかを伝えないと意味がない」と、日頃の授業でも教科書の基本的な内容に加えて、プラスアルファの魅力ある情報を話しています。
 
そんな遠藤先生から学生へのメッセージをもらいました。
「大学という場所は、授業を受けることが中心だった高校の延長ではないという意識を持ってください。受け身だけではもったいないです。これまで、授業を聞いていて気になったことや本を読んでいて面白いと感じたことをきっかけとして、その先にあるものを自分から求めていくことで、学問や研究の面白さに目覚めていく学生をたくさん見てきました。目覚めた学生は高いレベルの研究や仕事ができる人へと成長していきます。目覚めるためには、新しいものに踏み出すことを躊躇しないことが大切です。自分で興味の扉を開けてほしい。そうすると別の世界が広がっていきますから」。
 
本を読むのでもいい。そして本を読んでスゴイと思った著者に、コンタクトをとってみてもいい。いろいろな人と会うのでも、大学の勉強と関係のないことでもいいから、とにかく自ら踏み出していくことで、目覚めて欲しいと熱く語る遠藤先生。
最後に、京都産業大学には、学生たちを伸ばしてくれる先生や環境が整っているので、ぜひいろんなことにチャレンジしてほしいと締めくくってくださいました。

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