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ホテル地域の底力

大ホテルを次々に再生するOB経営者の挑戦

  • (株)ホテルニューアワジ 代表取締役社長
    木下 学さん

2011年より(株)ホテルニューアワジ神戸(神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ)の代表取締役社長。2015年4月、ホテルニューアワジグループの代表取締役社長に就任。

経営者として、どんな挑戦をされていますか。

当社にとって初となる、大ホテルの再生を実現しました。

六甲アイランドに位置する神戸ベイシェラトンホテル&タワーズは、かつて「三宮から〝20分もかかるホテル」として都市部のホテルとの価格競争に巻き込まれていました。ホテル業界からは「再生はムリ」といわれていましたが、わかりきった成功だけを狙っていては、会社は生き残れません。
私は同ホテルの再生の依頼を受けて代表取締役に就任し、「地域の魅力を活かし、発信すること」「神戸にない位置づけのホテルにすること」を軸に、立て直しを図りました。神戸には夜景や神戸牛など多くの魅力があり、また、ベイシェラトンホテルには世界的なブランド力があります。さらに、同 ホテルには尼崎市から明石海峡まで見渡せる大パノラマの夜景や周囲が海というリゾート感、そして ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®や関西空港など 大阪湾沿いの主要施設からのアクセスが良好と いう条件が揃っていました。その上、この地域では 温泉が出ることが知られており、旅館のような和 のおもてなしが実現可能だったのです。そこで、 これらの魅力を訴求しながら、源泉かけ流しの温 泉を作ることで独自の立ち位置を確立しました。 付加価値を高め、「三宮から〝たった20分〞で行ける、 贅沢なホテル」という位置づけに変えていったの です。その結果、お客さまの人数が約3割増加。今で は年間16万人以上の方にご宿泊いただいています。

家業を受け継いだ今の展望を教えてください。

ホテル・旅館を核に、地方創生に貢献したいです。

一般的に、ホテルは画一的、旅館は地域密着のイメージがあると思いますが、昨今はその垣根がなくなりつつあり、ホテルの魅力を高めるうえでも、旅館のような地域との連携が不可欠です。神戸ベイシェラトンホテル&タワーズの再生では、神戸の魅力を発信するために、兵庫県内の食材を中心としたメニューを用意し、「シェラトンマルシェ」という食のセレクトショップ を併設しました。多くの人が訪れるホテルが 「ローカルな魅力で世界をもてなす」ことで、兵庫や神戸の食の認知、さらにはブランド力向上に貢献しています。それがホテルの魅力をさらに高めるので、ホテル・旅館と地域が手を取り合うことで、お互いの魅力を高め合う好循環が生まれるのです。この経験を活かし、今後は他の地域でもホテル・旅館を核にしたまちおこしに取り組みたいと考えています。そして「おもてなしの国」にふさわしい新しいリゾートのカタチを探り、実現 していきたいですね。

※掲載内容は取材当時のものです。

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