2024.12.27

カルチャー

干支っていつからあるの? 巳年に訪れたい京都の干支スポットを紹介!

本学法学部 准教授 久禮 旦雄先生

2025年は巳年。子どもの頃「子丑寅卯……」といつの間にかいえるようになっていた干支ですが、いつから日本にあるのでしょうか。本学法学部 准教授 久禮 旦雄(くれ・あさお)先生に聞いてみました。後半では、巳年を楽しめる京都のスポット2選も紹介するので、冬のお出かけの参考にしてください!

干支の起源について教えてください。

紀元前13世紀ごろ、中国の殷(いん)王朝で使われていた甲骨文字にみえる「十干十二支(じっかんじゅうにし)」が起源です。「十干」と「十二支」を組み合わせて60で一巡りするもので、日付に当てはめて、王様が政務の日の運勢を占うのに使っていました。その後、日付だけでなく年や方角にも十干十二支を当てはめるようになったのが、紀元前8世紀からの春秋戦国時代のようです。日本に入ってきたのは、埼玉県の稲荷山古墳から出土した鉄剣に「辛亥年」と彫られていたことから、5世紀ごろといわれています。
—— 干支と動物が結びつくようになったのはいつ頃ですか?
動物を当てはめる文化も中国では古くからあり、紀元1~2世紀の後漢時代にはすでに行われていたようです。ただ、なぜ特定の動物が選ばれたのかは分かっていません。唐の時代には、お墓の周りに十二支像を置いて方角を守らせるという使い方をしていたようです。日本ではキトラ古墳の壁画に虎や馬の顔をした人物が描かれていたり 、『万葉集』に「卯」と書いて「う」と読んだり、「申」と書いて「まし」(猿の古語=ましら)と読んだりする表現があるため、7~8世紀には広まっていたと考えられます。
文献資料で十二支像などの写真を見せていただきました。
—— 他の国にも干支はありますか?また、現代の日本ならではの干支文化があれば教えてください。
干支は中国を起源に、朝鮮半島など主に東アジアに広まりました。また、タイやカンボジアにもありますし、モンゴルを介してロシアやイランにも伝わっています。日本では干支を動物と結びつけて考える傾向が強いように思います。「亥年生まれだから猪突猛進だ」とか、「申年だからいやなことが去る」などと言ったりしますよね。

似た文化として、エジプトやメソポタミア周辺から広まった黄道十二宮(こうどうじゅうにきゅう)のような例もあります。天体の運行を12に区分して、おうし座やさそり座など動物の星座を当てはめるもので、ルーツは分かりませんが、共通点が多く興味深いです。
干支について分かりやすく丁寧に教えてくださいました。
 ——ありがとうございました。最後に、久禮先生が普段どのような研究をされているか教えてください。

古代法制史が専門ですが、研究分野は年号や皇室文化など色々で、自分では「なんでも屋」だと思っています。かつては恩師である本学名誉教授 所 功(ところ・いさお)先生と共に『日本年号史大事典』の編纂に関わりました。令和の改元の時には、元号の由来について取材される機会が多く、テレビにも出演しました。法制史は学生からすると就職に直接関係ない分野と思われるかもしれませんが、何十年かに一度は社会から知識を求められます。そんなときのために、日々研究を続けています。
 

京都で干支を楽しもう! 巳年に訪れたいスポット2選

ここからは、巳年をテーマにした京都の干支スポットを2つ紹介します。年末年始のお休み中に、ぜひ友達や家族と巡ってみてください!


—— 京都国立博物館の特別展「巳(み)づくし—干支を愛でる—」
草花獅子蛇文様金華布裂(部分) 京都国立博物館蔵
京都国立博物館では、2025年の干支「巳」をテーマにした新春特集展⽰「 ⺒づくし—⼲⽀を愛でる—」を開催。古くから水や豊かな実りの神として崇められてきた蛇にまつわる美術品をたっぷり鑑賞できます。

1月25日には研究員さんによる土曜講座も開催予定です。京都国立博物館は三十三間堂や智積院などがある東山エリアにあるので、展示を楽しんだ後は周辺を散策するのもお薦めです!

京都国立博物館【新春特集展示 巳づくし—干支を愛でる—】
京都国立博物館
住所 京都市東山区茶屋町527
営業時間 9:30~17:00(最終入館時刻: 16:30)
※金曜日は20:00まで(最終入館時刻:19:30)
定休日 月曜日
※ただし1月13日(月・祝)は開館、1月14日(火)は休館。
観覧料 一般 700円、大学生 350円(高校生以下無料)
※本学はキャンパスメンバーズ会員校のため、在学生は学生証提示で無料で展示を見ることができます。 


【新春特集展示 巳づくし—干支を愛でる—】
会期:2025年1月2日(木)~2月2日(日)

【関連イベント】
土曜講座「巳づくし—蛇を表す・蛇で表す—」
日時 1月25日(土)13:30~15:00
講師 水谷 亜希氏(京都国立博物館 主任研究員)


神秘的な「狛蛇(こまへび)」に会える! 三室戸寺

三室戸寺の山門
 宇治市にある三室戸寺(みむろとじ)は、四季折々の庭園が美しいお寺。初夏はアジサイ、秋は紅葉の名所としても有名です。

本堂前の「宇賀神(うがじん)」像はインパクト抜群!頭は老翁、体は蛇という姿で蓮の台座に鎮座しており、狛犬ならぬ「狛蛇」として親しまれています。財運・金運の神様として知られ、像を撫でるとご利益があるそうです。
学生広報スタッフが像を撫でてみました!
 お寺の入り口には「蛇体橋(じゃたいばし)」という小さな橋もあり、蛇が登場する不思議な民話が伝えられています。
神話では、蛇が橋の上に横たわっていたといわれています。
三室戸寺
住所 京都府宇治市菟道滋賀谷21
拝観時間 8:30~16:00(4~10月は16:30まで)
※最終入山は閉門50分前まで
拝観料 大人1,000円 小人500円(2025年1月1日より)
休門日 8月11日~17日、12月29日~31日



久禮先生にインタビューし、身近に感じていた干支文化が3000年近く前の中国から来ていると知って驚きました。皆さんも、年末年始は干支に思いをはせつつ、良いお年をお迎えください!

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