2022.10.31

特集

本物の小惑星のかけらが見られる大チャンス!全国の大学で唯一の展示〜小惑星探査機「はやぶさ2」帰還カプセルとリュウグウのかけら〜

特別展示「小惑星探査機はやぶさ2のたまてばこ」を見るには事前申し込みが必要です。今すぐ記事をチェックして、申し込もう!

宇宙航空研究開発機構(JAXA)全面協力のもと、本学神山天文台にて「小惑星探査機はやぶさ2のたまてばこ」という特別展示が行われます。全国の科学館や博物館などで巡回展示が行われていますが、大学で選ばれたのはなんと本学のみ!神山天文台に、探査機「はやぶさ2」が宇宙から持ち帰った小惑星「リュウグウ」のかけらや、帰還カプセルなど、貴重な資料が並びます。今回は、そんな特別展示を企画された神山天文台長の河北 秀世先生と、神山天文台学芸員の青木 優美香さんに、展示の見どころをお聞きしました。

「リュウグウのかけらは、私たちが手元で見られる唯一の宇宙」

2014年12月、小惑星探査機「はやぶさ2」は、約53億キロメートルの宇宙旅行へ出発しました。地球や火星の近くを進む、大きさ約900メートルの小惑星「リュウグウ」に立ち寄り、地表や地下の石、砂といったかけら約5.4グラムを採取。2020年12月、かけらを収めた帰還カプセルを地球に届けました。展示では、約1〜2ミリグラムの「リュウグウのかけら」、「帰還カプセル」、パラシュートなどが収められていた「インスツルメントモジュール」、カプセルの頭脳でもある「搭載電子機器部」などが展示されます。
搭載電子機器部(提供:JAXA)
パラシュート(提供:JAXA)

——展示の見どころを教えてください。

河北先生:地球にはこれまで、数万個の隕石が落ちてきました。しかしこれらの隕石は、どこからやってきた隕石なのかが正確には分からず、色を見て推測するしかありませんでした。小惑星リュウグウのかけらは、宇宙で実際に採取したというのが画期的です。
本学の天文台では『オルゲイユ隕石』を保有していますが、リュウグウのかけらの初期分析結果を見ると、『オルゲイユ隕石』とそっくりでした。ちなみに『オルゲイユ隕石』は世界的にも希少価値の高い隕石です。手に入れるため、隕石のディーラーを通じてフランスの自然史博物館と交渉。苦労して入手したという経緯があります。展示では、リュウグウのかけらと『オルゲイユ隕石』を並べる予定なので、ぜひ見比べてほしいですね。

河北 秀世先生(京都産業大学 理学部 教授/神山天文台長)。専門は、彗星物質から探る太陽系の起源など。欧州・日本・米国の彗星研究者を中心とする国際研究チームにも参加する。2028年に彗星探査機を打ち上げる計画『コメット・インターセプター』が進行中。

——リュウグウのかけらの分析で、何がわかるのですか?

河北先生:小惑星リュウグウは、太陽系が生まれたときの状態をとどめているのではないかといわれています。リュウグウのかけらを初期分析したところ、アミノ酸など有機物質が含まれていることがわかりました。そして太陽の成分とほぼ同じだったのです。分析が進むと、太陽系の起源や生命誕生の謎の解明に一歩近づくことが期待されます。

神山天文台 学芸員 青木 優美香さん。

——展示に向けてどのような準備をされましたか?

青木さん:2010年に開設した神山天文台は、今年2022年7月、展示や講演会など本格的な博物館活動を行うためにリニューアルしました。今回の展示は、神山天文台のリニューアル記念のイベントでもあります。
全国の博物館などでも同じ内容で巡回展示されていますが、本学は大学唯一の展示ですので、学生や一般の方々にも分かりやすく理解していただけるよう、河北先生や学芸員でオリジナルの説明パネルなどを作成しました。また、リュウグウのかけらはアサガオの種ほどの小ささなのですが、拡大鏡を設置して細かな部分までご覧いただけるようにします。実は私自身、天文学を研究してきたわけではありませんが、学生のみなさんも、事前知識がなくても楽しんでいただけるように工夫しました

——11月12日(土)には、関連シンポジウム「彗星×小惑星〜はやぶさ2の先へ〜」もあるそうですね。どのような内容を予定されていますか?

河北先生:講演では、東京大学大学院理学系研究科教授の杉田 精司先生が、初期分析でわかった研究成果についてお話しされます。パネルトークでは、「将来の太陽系小天体の探査」をテーマに、杉田先生に加え、国立天文台の上席教授である渡部 潤一先生、宇宙探査カメラ開発にたずさわった池田 優二先生(株式会社フォトクロス代表取締役/京都産業大学 客員研究員)と私の4名でお話しします。将来のJAXAが何を目指そうとしているのか、その課題は何なのかなどもお話しする予定です。天文好き、宇宙好きの学生はもちろん、機械に興味のある学生にも参加してほしいですね。オンライン配信も予定しています。

——学生へのメッセージをお願いします。

河北先生:隕石は、宇宙に存在するさまざまなものの中で、私たちが実際に手元で見ることができる唯一のものです。本や映像ではなく、生で、肉眼で見ることのできる機会ですので、ぜひたくさんの方にお越しいただきたいと思っています。

青木さん:はやぶさ2にもカプセルにもロマンがたくさんあります。はやぶさ2が小惑星リュウグウにタッチダウンする際、リュウグウの地表が予想していた形状ではなかったため、スムーズに着陸できませんでした。そのためJAXAの研究員たちが遠く離れた地球から状況を判断し、方式の変更指示を行い、かけらを採取したそうです。そんな経緯を知ると、日本の宇宙開発のすごさが分かりますよ。

展示が行われる神山天文台。

天文学を楽しく学べる希少な機会が、本学にやってくることにワクワクしました。河北先生も学芸員の青木さんも「天文学を知らない学生でも分かりやすいよう展示を工夫しました」とおっしゃっていたので、文系・理系問わず楽しめるのではないでしょうか。学生の皆さんには、展示もシンポジウムも両方参加してみてほしいです!また、普段の天文台では、常設展示や夜の天体観望会を行っています。どちらも無料なので、天文台に行ったことがないという学生も気軽に足を運んでみてくださいね。

小惑星探査機はやぶさ2のたまてばこ

【特別展示】小惑星探査機はやぶさ2のたまてばこ〜帰還カプセルとリュウグウのかけら〜
日時:2022年11月9日(水)〜13日(日)10:00〜19:00(最終入場18:30)
*13日(日)のみ〜17:00(最終入場16:30)
場所:京都産業大学 神山天文台

関連シンポジウム「彗星×小惑星〜はやぶさ2の先へ〜」
日時:2022年11月12日(土)13:30開場、14:00開始、16:00終了(予定)
場所:京都産業大学 神山ホール
定員:500名

※いずれも観覧無料。特設サイトより事前申込が必要です。

なお、図書館でも下記の期間中に「天文学」「はやぶさ」「宇宙」をテーマとした特別展示を実施しています。ぜひ足を運んでください。
展示期間:2022年11月2日(水)~25日(金)
展示場所:1階展示ケース(ガラスケース)、2階吹き抜けスペース
展示テーマ:1階「昔の人は、天をどう見ていたの?」
2階「すごいぞ宇宙!!」

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