2021.04.21
特集メジャーリーグを経て、オリックス・バファローズで活躍する平野選手に一問一答!
キャンパスマガジン サギタリウスでは、2021年度より学生スポーツ新聞「京産大アスレチック」とのコラボ記事をスタートします。
今回は第1弾!京都産業大学の卒業生で、メジャーリーグ(以下、MLB)を経てオリックス・バファローズ(以下、オリックス)で活躍するプロ野球選手 平野佳寿さん(2006年経営学部卒業)を取材。在学生の皆さんにエールもいただきました。
プロフィール
ひらの・よしひさ 1984年(昭和59年)3月8日生、京都府出身。
鳥羽高-京産大-オリックス(2006~2017)-アリゾナ・ダイヤモンドバックス(2018~2019)-シアトル・マリナーズ(2020)-オリックス(2021~)。
京都産業大学在籍時には関西六大学野球リーグ史上最多の通算36勝・404奪三振をマーク。2005年大学・社会人ドラフトでオリックスへ入団し、2011年に最優秀中継ぎ投手賞、2014年に最多セーブ投手賞を受賞する。2017年オフにMLB アリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移籍。26試合連続無失点や日本人選手シーズン史上最多登板を達成するなど、初年度から活躍する。2020年のシアトル・マリナーズ移籍を経て2021年2月8日にオリックスへ復帰した。背番号は「16」。186センチ88キロ。
平野選手へ一問一答!
京都産業大学での思い出や特に硬式野球部での経験から役に立っていることはありますか。
大学にはスポーツ推薦で入ったので、野球中心の学生生活を送り、みんなと優勝を目指して練習を毎日行っていた。そこでの成長は今でも良い財産になっていると思う。高校の頃はまだ荒削りでただ野球をしているだけの状態だったのが、大学4年間で野球に対する姿勢やこれから社会に出るにあたって必要なことを学んだ。今でも、京都産業大学で野球をして良かったと感じる。また、硬式野球部のルールの中に「きちんと単位を取らないといけない」というものがあり、授業にもしっかりと出ていた。
2005年に大学から希望枠でオリックスへ入団されました。プロ野球選手になることが決まった時はどのような気持ちでしたか。
「プロ野球選手になる」というのは小さな頃からの夢だった。大学でいろいろなことを学べていたので、それをプロで体現できたらなんとかなるんじゃないかという自信がついていた。
日本球界で華々しい成績を残されたのちに、2017年にMLBに挑戦されました。日本とアメリカの野球にはどのような違いがありましたか。
日本とアメリカの野球を経験して思うのは、どちらの野球もレベルが高いということ。その上で「野球とベースボール」といって比べられることが多いように、全く別物だとも感じる。日本でできたからアメリカでもできるとは限らないし、アメリカでできたから日本でもできるとは限らない。どちらの野球にもアジャストしなければ通用しない。
その他には、言葉が通じないことはもちろん、文化や食事などの違いもあったが、自分の性格もあるかもしれないが、あまり気にしなかったのでアメリカの環境にスムーズに適合できたのは良かったと思う。
アメリカの野球には日本とは違った楽しさがあった。プロの中でも限られた選手しか経験できない世界を体感できたことは大きな財産になった。もしこれからMLBを目指したいという後輩がいればアドバイスもできるだろうし、そういった意味では野球人として良い経験になったと思っている。
コロナ禍でプレーできなかった頃はどのようなことを考えておられましたか。
アメリカにいた頃は7月中旬まで試合がなく、本当にできるのかなという思いもあった。そんな中で日本ではいち早く開幕していた点はすごいなと思っていた。MLBも最終的には開幕したが、試合数が少なかったり、無観客だったりと今までとは全く違う状況だった。だが、プレー中は「バッターと対戦する」ことに集中できていたので、いつもと一緒だったと思う。
2021年から日本球界へ復帰されました。日本へ帰ってくることに関して感じたことはありますか。
コロナ禍でアメリカで野球を続けるのが厳しい状況だった時に、オリックスがコンタクトを取ってきてくれたことが嬉しかった。12年間オリックスに在籍していたが優勝できていなかったので、今はただ優勝だけを目指して頑張りたいという思いがある。
プロとして大切にされていることはありますか。
プロ野球選手だからといって偉いわけではないということは常に自分に言い聞かせている。ファンの方や家族、スタッフの方など多くの方に支えていただいていることで、選手がのびのびと野球ができている。このことは感謝の気持ちも含めて忘れてはいけないことだと思う。ただ野球が上手ければ良い訳ではないということを大切にしている。
様々な困難を乗り越えてきた経験はどのような形で活かされていますか。
困難を乗り越えたから何かがあったという訳ではないが、自分の中では絶対に失敗がないと次のステージに行けないと思っている。挫折や悔しい思いをたくさん経験している人ほど絶対に強くなれると思う。それぞれに自分の解釈の仕方があると思うけれど、自分の場合は、記憶に残っているのは嬉しい思いより悔しい思いの方が多い。そこを乗り越えた先に何があるかは分からないが、それが無いと成長できないと思っている。
新しいフィールドに一歩踏み出す時に何が大切だと思いますか。
あまり深く考えすぎないこと。日頃から正しく生きていたらチャンスが舞い込んでくるのではないか。欲を出したり慢心したりせず、今できることをしっかりやって前を向いて歩き、転がってくるチャンスを逃さなかったからMLBに挑戦できたのだと思っている。大きな夢を持つことも必要だが、「誠実さ」を心がけて生きていくことの方が大切かなと思う。
「誠実さ」とおっしゃいましたが、我々大学生の考え方にも応用できるようなものでしょうか。
全部が全部、誠実さを求めるのは難しいし、楽しさが勝る時もあると思うが、それは仕方がないと思う。存分に大学生活を楽しむことが一番だと思うが、自分の中で「芯」を一本持っておくことが大事。自分だったら野球をしっかりやるということを決めていた。その中でいろんな人と出会って、いろんな勉強をさせてもらった。だから、皆さんもただ楽しく大学生活を送るだけではなく、何かひとつでいいから「芯」になるものを持ってほしい。そこから「誠実さ」が生まれてくると思う。
4月は様々な新しいことを始める時期となりますが、「挑戦すること」についてどのように考えておられますか。
挑戦することは絶対に大事。失敗することを恐れず、「失敗することが当たり前だ」「失敗したほうが強くなる」という風に考えて挑んでいくことが、最も成長につながると思う。失敗は絶対にするので、その後が大事。皆さんが希望を抱いて、「失敗は怖くない」「そこからが自分だ」と思うくらいの前向きな気持ちで挑戦していくことが一番だと思う。
新入生にエールをお願いします!
こんな難しい世の中で、何をするにも怖い部分もあるが、それはみんな一緒なので、何かを始めるにあたって「失敗しても大丈夫」という気持ちを大切に。私もプロでずっとやっているが、失敗や悔しいことの方が多い。それでもプレーし続けられているのは、失敗を自分なりに乗り越えられてきたからだと思う。新入生にも大きな志を持って入学してもらいたいし、大いに壁にぶち当たってほしいと思う。強い人間になるためには、それを乗り越えることが大事だと思うので、頑張って楽しい大学生活を送って欲しいと思います。
ありがとうございました。