【国際関係学部】4年次生合同ゼミ「サステイナビリティ×未来学 —批判的思考で未来を描き直す—」
2022.10.31
10月6日、国際関係学部の井口ゼミと三田ゼミによる「研究演習Ⅳ」の合同セッションが行われました。来年4月から社会に出てそれぞれの道に進む4年次生が、社会や世界の「当たり前」にとらわれず、批判的に物事をみることで未来を描くことができるようにと、サステイナビリティを未来学の視点から再検討するワークを両ゼミ共同で行いました。
(学生ライター 国際関係学部 4年次 田上 結希)

三田教授のゼミや展開科目の授業では未来学(futures studies)を用いて望ましい未来像を描き政策を検討します。三田教授からは、未来学とは未来に起こりうることを過去と現在の趨勢の分析を元にして複数の未来像を描き予測するものであることが説明されました。未来学ワークでは、解決すべき問題とそれぞれの未来像を実現させるために必要な要因・条件を特定し、次の4つの未来像モデルを描い出すことになります。
- 成長モデル:右肩上がりで社会が成長している状態を描く
- 崩壊モデル:成長が阻害されたり、停滞した状態を描く
- 統制モデル:崩壊や過度な成長を統制し問題に対処した状態を描く
- 転換モデル:パラダイム転換を含め全く新しいイメージが描かれた状態を描く
これらの中から望ましい未来像を一つまたは複数選定し、その社会を構築するための政策や技術などの必要性等を考えていきます。
三田教授からの講義に続き、世界の食糧危機に関する動画を視聴しました。オンライン参加者と対面参加者混合の4~5人のグループでワークをしました。グループでは、はじめに動画で扱われたテーマに関する「解決すべき問題」とその背景や原因を特定するワークを行いました。次に、これから起こりうる未来像イメージを複数描写し、その中から望ましい未来像を選定します。最後に望ましい未来像を手に入れるための方法等を描き出します。その中の一つのグループでは「食料が手に入らないことが他の問題に繋がる」ことを解決すべき問題としました。その望ましい未来像として国の強固な貿易の仕組みをつくることで、十分な食料供給が可能となり、健康で豊かな暮らしができ、社会が安定するという「成長モデル」を選びました。別のグループでは「統制モデル」を望ましい未来像と設定し、安定した食糧供給が自国内で確立されていることの重要性が検討され、一旦グローバル化とは逆のことを想定する方向での議論が展開されました。さらに、あるグループでは、「成長モデル」と「統制モデル」の両方を望ましい未来像とし、それらを実現するためのアクションをアクター別(研究者、政府、学生、市民、企業)に、案を作成しました。このように、グループワークでは、問題に対しては一国での対策のみを検討すればよいのではなく、国家間の関係やグローバル社会における取り組みに関しての新たな方向性も議論されました。


学生による振り返りコメントからは、「今回の議題が自分の卒業論文のテーマと近い部分があり、グループワークを通して新たに気づけた」、「多様な興味関心視点を持っている人と同じトピックを話すことで自分の中で固まっていた考えを壊せた」、「お互い持っていなかった知識を得たり、それらが合わさって新たな考えが生まれた」といった、従来の個別のゼミの枠を超えた学びの意義を見出した学生が多かった。また、「未来学を用いて考えることで、色々な可能性を踏まえながら、より現実的な解決策を考え出すことができると思った」、「未来学の手法に沿って進めていくことで、テーマに対してより構造的に理解を深めていける」「問題の要因や原因、望ましい未来の考え方が参考になると感じた」といった未来学的手法の有用性についての言及も目立ちました。
私自身、三田教授の未来学を扱う授業も、井口准教授の環境に関する授業もそれぞれ履修しましたが、これらを掛け合わせた「サステイナブル×未来学」の内容はとても新鮮でした。国際関係学は様々な問題が根底で繋がっているため、他のゼミ同士の合同ゼミも新鮮でかつ学びに繋がるのではないかと思いました。現在、4年次生の多くが卒業論文を作成しているため、合同セッションでの収穫を各々が持ち帰り、研究の新しい糸口や考え方に繋げることができるのではと感じる合同セッションでした。

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