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<活躍する在学生インタビュー!> 入学式・卒業式でも活躍!学生が支える「学びの環境」 障害学生支援サポーターにお話を聞いてみた

Writer
  • 笹山 美咲さん
  • 辰己 皓紀さん
  • 泉 昊生さん
左から障害学生支援サポーターの松井 健太さんと前田 雄太さん

京都産業大学では、障害の有無にかかわらず、全ての学生が同じスタートラインに立って学べる環境を整えるため、「障害学生教育支援センター」が設置されています。本センターでは職員に加え、学生も「障害学生支援サポーター(以下、学生サポーター)」として支援に携わっています。皆さんがどのように支援と向き合っているのか、本センター職員の垂門 伸幸(たれかど・のぶゆき)さんと寺垣 智緒(てらがき・ちお)さん、そして学生サポーターの理学部 宇宙物理・気象学科4年次生 前田 雄太(まえだ・ゆうた)さん、文化学部 国際文化学科 (※1)  3年次生 松井 健太(まつい・けんた)さんにお話を伺いました!


(※1)2026年4月から「文化構想学科」に改組

障害学生教育支援センターとは?

12号館1階にある障害学生教育支援センターは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する京都産業大学の教職員対応ガイドライン」に基づき、学生の「困りごと」と「できること」を丁寧に確認しながら、学修や学生生活に必要な「合理的配慮(※2)」を提供しています。現在の組織体制となったのは2016年ですが、それ以前にもボランティアセンターが支援を担っており、長年にわたって障害のある学生を大学としてサポートしてきました。合理的配慮を申請する学生数はコロナ禍にピークを迎え、現在は100人前後で推移しています。


(※2) 合理的配慮とは:障害のある人が不利益を受けないよう、社会側が一定のルールのもとで環境や対応を調整すること。「障害者差別解消法」に基づき、行政や企業にも提供が求められています。


障害学生教育支援センターの皆さん

社会側が変わる「合理的配慮」って何だろう?

それぞれの学生に合理的配慮を提供するために、どのような工夫がなされているのでしょうか。

垂門さん 1回の面談で終わらせず、何度も対話を重ねることを大切にしています。かつては、障害を個人の問題として治療の対象とする「個人モデル」が伝統的な考え方でしたが、私たちが浸透させたいのは「社会モデル」——その人個人が変わることよりも、社会や環境の側が変わることに重点をおき、公平を目指すという考え方です。
例えば、シラバスの到達目標を達成する上で何らかの障壁があれば、過去のデータなども活用しながら、それをどう取り除くか時間をかけて検討します。障害の有無に関わらず、有利・不利をなくし、多様な人が当たり前に参加できる仕組みづくりを目指しています。


学生との面談で意識していることはありますか。

寺垣さん 利用学生の多くは、初めてセンターと面談する際、非常に緊張されています。だからこそ、まずは学生自身が「何に困っているのか」を一緒に確認しながら考えていくことを大切にしています。

障害学生教育支援センターの「学生サポーター」とは?

学生サポーターが活動する意義はどこにあるのでしょうか。

垂門さん 障害がある学生も数多くの授業を履修しますし、支援が必要な時間帯もさまざまです。そのため、授業の空き時間を活用できる学生サポーターが活動することで、柔軟な支援体制を組みやすくなります。

寺垣さん また、同じ学生だからこそ、授業の雰囲気や教室の環境など、前提条件を共有してくれている点も大きいですね。

学生サポーターの実際の支援内容

学生サポーターは障害学生教育支援センターの一員として、主に情報保障・情報制作のサポートを担っています。一定のスキルが求められるため有償での活動となっており、活動開始前には養成講座でタイピングや要約などのスキルを習得します。
代表的な活動の1つが「パソコンテイク」です。これは、2人のサポーターが連携し、話の内容をリアルタイムで交互にタイピング入力していく方法です。この他にも、板書の書き写しや要点整理を行う「ポイントテイク」や、映像授業の字幕修正など、ニーズに合わせた支援が行われています。
さらに、現在の活動の中心となっているのは、音声認識アプリ「UDトーク」を使った情報保障(※3) です。入学式や卒業式、シンポジウムなどで活用されており、式辞などの原稿をもとに事前に単語登録を行います。当日は自動文字化された内容を確認しながら、感嘆詞の削除や誤認識の修正のほか、句読点・スペースの挿入といった作業をリアルタイムで行い、字幕を読みやすく整えていきます。

現在は、継続的な情報保障を必要とする聴覚障害の学生が在籍していないため、授業での活動は減少しているものの、入学式・卒業式では引き続きUDトークによる情報保障が行われており、学生サポーターが重要な役割を担っています。


「UDトーク」を用いた情報保障の風景。字幕がスクリーンに投影されるほか、ライブ配信もされています。



(※3)情報保障とは:障害などにより情報を得にくい人に対し、手話・字幕・点字などの代替手段で情報を確実に届ける取り組み。


視覚や身体に障害のある学生に対してはどのような支援を行っていますか。

垂門さん 障害の内容に応じてさまざまな支援を行っています。視覚に障害のある学生に対しては、点字化した講義資料を作成したり、「ブレイルセンス」と呼ばれる携帯型の点字音声情報機器に対応したデータを提供したりしています。また、身体に障害のある学生についても、一人一人の状況に応じて必要な支援を検討しています。

学生サポーターの実際の声

活動に参加したきっかけを教えてください。

前田さん 自分の必修科目だけでなく、興味のある科目も幅広く学びたいと思い、1年次の秋学期に共通教育科目「複眼的思考で見る多様な世界」を受講しました。リレー講義の中で、本センターの職員の方がUDトークを紹介されているのを聞き、学生サポーターの活動に興味を持ちました。また、大学入学後にタイピングの練習をしたいと考えていたタイミングでもあったので、活動に参加することにしました。


松井さん 電子掲示板「POST」で募集を見かけたのがきっかけです。教員志望なので、特別支援教育が課題となる中、大学ではどんな取り組みが行われているのかを知りたくて応募しました。当時はタイピング速度が応募の要件に届いていませんでしたが、最終的には意欲を汲んでいただき、UDトークでの活動を始められました。スキルはもちろんですが、まずは「やってみたい」という意欲が大切だと思います。


サポートを通じて、どのような瞬間にやりがいを感じますか。

前田さん パソコンテイクやUDトークなどでは、専門用語や単語登録など、事前の準備が欠かせません。それらが本番で上手く機能したときに大きな達成感があります。
以前、障害学生支援センターに立ち寄った際に、利用学生の方から直接お礼の言葉をいただいたことがあり、とてもうれしかったのを覚えています。


松井さん 初めは「支援する」という意識だったのですが、私自身も文化学部開設 25 周年記念のシンポジウムに参加した際、情報保障があったおかげで、内容を正確に把握できた経験があります。そこで、イベントの裏側においてさまざまなサポートが行われていることを改めて実感し、今では自分もその一端を担い、他の学生を支えられているところにやりがいを感じます。卒業式で保護者の方から感謝の言葉をいただけたことも、励みになりました。


障害学生教育支援センター内に設置のパソコン。このパソコンを用いて学生サポーターはパソコンテイクやUDトークを行う際に必要な単語登録を行います。
活動を通じて身に付いたことを教えてください。

松井さん タイピングは一朝一夕で速くなるものではないので、日々練習を積み重ねた結果、今ではタイピング速度が向上しました。物事をコツコツと継続する経験が、今では英語学習や読書など、学修習慣につながっています。


前田さん パソコンテイクでは、先生の発言を一言一句文字にすることはできないため、瞬時に「何が重要か」を的確に判断する力が求められます。そのため、要点を瞬時にわかりやすくまとめる力が身に付いたと感じています。


サポート活動を通じて、ご自身の中で新しい発見や変化はありましたか?また、今後の目標についても教えてください。

前田さん 一番大きな変化は、「自分にとって当たり前にできることが、他の人にとっても当たり前とは限らない」と気付けたことです。大学の授業に出たくても、当然には出られない学生がいるという現実を知り、その人の背景や物事の多様な側面に目を向けるようになりました。これらの視点については、今後もずっと大切にしていきたいと思っています。また、活動を通じて自身の所属学部以外の授業に参加できるため、思いがけない知識に出会えることも楽しい発見です。


松井さん 初めはタイピングに不安がありましたが、現在はUDトークが認識してくれたテキストを修正する形がメインです。養成講座などで先輩を目標に練習もできたので、スキルの面で過度に不安に感じる必要はないと思います。
また、前向きな思いを持つ様々な同回生や先輩たちとの関わりも大きな刺激になっています。将来、教員となってここでの経験を生かすのはもちろん、先輩方から受け継いだバトンを、今度は自分が後輩へ引き渡せるようになることが今の目標です。

職員から見たサポーターの成長

お二人の成長について、印象的なことはありますか。

寺垣さん 松井さんは、タイピングスキルの向上はもちろんですが、毎日コツコツと取り組む姿から、サポーター活動に対する熱意とやる気を感じ、感動しています。前田さんは1年次生の頃と比べて、今では社交性も育ち、頼もしく成長されたと感じています。卒業生も含め、サポーター活動に携わり続けてくれた皆さんが、大切な活動の灯火をつないでくれていることに感謝しています。


垂門さん 今回改めて話を聞き、サポーター活動での経験が二人の将来像にじんわりと影響を与えているのだと分かりました。「社会モデル」の視点をサポーターの皆さんが活動を通じて自然と体感してくれていることは、職員側にとっても大きな発見です。

新規募集について

コロナ禍ではオンライン授業の字幕をつけるなどの需要の高まりから、多くの学生が学生サポーターとして登録されていたものの、状況を鑑みて現在の登録者数は10名程度。しかし「技術の継承という観点からも、サポーターをゼロにはしたくない」と垂門さんは話しています。今後の募集は、電子掲示板「POST」などで必要に応じて行っていく方針です。

読者へのメッセージ

「応募しないで後悔するよりも、少しでも活動を考えているなら、ぜひ手を挙げてみてほしい」と松井さん。前田さんも「サポーターとして参加するかどうかに関わらず、大学生活で何か1つ挑戦することが大事だと思う。新しいことに踏み出せば別の気付きが生まれ、そこからまた世界が広がっていくと思います」と背中を押しています。


寺垣さんからは「今回、学生サポーターお二人の話を聞いて、サポーター活動が大学生活につながっているのだなと改めて感じました。まずは障害学生教育支援センターのことを知るきっかけになってくれたら」とあたたかい言葉も。垂門さんは「社会に出てから合理的配慮を提供する立場になったとき、ここでの経験が先取りにもなる。サポーター活動を通して、活動の技術やAIが実際にどう活用されているかなど、活動そのものを楽しんでもらえると思うので、興味があれば応募してみてください」と話していました。


左から障害学生教育支援センター職員の垂門さん・寺垣さん


今回の取材を通じて、従来持っていたイメージと現場の違いに触れ、印象が大きく変わると同時に、多くの学生が安心して学べるよう職員と学生サポーターが協力し合う姿に感銘を受けました。
特に印象に残ったのは、合理的配慮が「障害のある人に何かしてあげる」のではなく、環境側のインフラを整えることで結果的に誰にとっても役立つ場を作る「社会モデル」の考え方です。私たち学生広報スタッフが「わかりやすく情報を届ける」ために日頃心がけていることとも、本質のどこかでつながっている気がします。「人との関わりによる温かさ」と「誰もが公平に機会を得られる仕組みづくり」——この2つがどのように実現されていくのか、今後の取り組みが非常に楽しみです。


学生サポーターの募集については、詳細が決まり次第、電子掲示板「POST」などでお知らせされます。興味のある方は、ぜひ12号館1階の障害学生教育支援センターに足を運んでみてください。

Writer取材をした人
  • 笹山 美咲さん
    法学部 1年次
  • 辰己 皓紀さん
    現代社会学部2年次
  • 泉 昊生さん
    情報理工学部2年次

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