2024.01.11
特集『週刊少年サンデーS』に読み切り掲載!本学在学生の新人漫画家、南葉 ろくさんにインタビュー!

今秋、漫画界で快挙を成し遂げた在学生がいます。漫画雑誌『週刊少年サンデーS(スーパー)』増刊12月号に作品が掲載された、南葉 ろく(なんば・ろく)さんです。与えられたテーマに沿って8ページの読み切り作品を描く同誌企画「サンデーバトル8」で、南葉さんの『右京要は一瞬を生きることにした。』が選ばれました。この作品は、一瞬で勝負が決まる水泳の飛込競技選手の心理状態などを描いた物語です。今回は、読み切り作品が掲載された感想や、南葉さんが漫画にかける思いなどについてインタビューしました。
『週刊少年サンデーS』に掲載された感想を聞かせてください。
大学在学中に自分が描いた漫画が雑誌に掲載されることが目標だったのでうれしかったです!仲の良い友人や先輩も、「雑誌に南葉さんの名前が載っているのを見て感動した」と自分以上に喜んでくれました。

今回の「サンデーバトル8」のテーマは「王」でしたが、どのように作品の題材を決めましたか。
元々、一生懸命頑張った人が輝く世界を描きたかったことから、スポ根もの※をテーマに作品を描くことは決めていましたが、水泳の飛込という競技をテーマとして制作するという結果にたどり着くまでに時間がかかりました。担当編集者の方と企画を練り、3年前の東京オリンピックの飛込競技を見ていたときに思いついたアイデアを採用しました。
飛込競技で「ノースプラッシュ」と呼ばれるきれいに飛び込んだ時に出る、わずかな水しぶき。その水滴が落ちるさまをスローモーションで見ると、王冠に似ていることから、飛込競技の作品にすることにしました。
※スポ根ものとは「スポーツ根性もの」の略。スポーツを軸に、主人公が努力し葛藤する様子を描く創作物のジャンルの一つ。
今回の掲載作品『右京要は一瞬を生きることにした。』で工夫した点を教えてください。
キャラクターの感情とそれに伴うとっぴな行動を丁寧に描くことを一番意識しました。今回の作品でいうと、4ページ目の「くやしい」という言葉にキャラクターの感情が詰まっています。8ページの読み切りという制約があったので、一つの情景にスポットを当てることができ、楽しくスピード感を持って描けました。

南葉さんが漫画を描くときに大事にしていることは何ですか?
漫画は作者の血肉で構成されていると思っています。自分が悩んだことや疑問について深く掘り下げることが大事だと思います。以前、自分が新世代サンデー賞を受賞した作品『ダンサー・イン・ザ・ダーク』では、「才能と努力」をテーマにしました。このテーマは、自分が漫画家を目指しているときに他者の漫画の才能を見て、「自分はこの人の才能に届く努力をしているのかな。才能と努力ってなんだろう」と悩んだことが基になっています。
他にも、絵はもちろんながら「心を刺す強い言葉」を描くことも大事にしています。インスピレーションを受けた言葉やフレーズは書き留めて、作業机の周りに貼っています。
▼『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はこちらから!
新世代サンデー賞受賞作品『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(22年11月期佳作)
新世代サンデー賞受賞作品『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(22年11月期佳作)
これまでに影響を受けた作品はありますか?
中学生の頃に読んだあさのあつこさんの『NO.6(ナンバーシックス)』という小説に強い影響を受け、創作活動をしたいと考えるようになりました。
漫画を描くときに参考にしているのは、山口つばささんの『ブルーピリオド』や、つるまいかださんの『メダリスト』などです。特に『ブルーピリオド』は先程もお話しした「心を刺す強い言葉」が多く描かれていて、大好きな作品です。
南葉さんにとって、漫画を描くこととは何ですか?
「自分と向き合い続ける作業」です。漫画を描くことは正直、好きなだけではできないです。特に漫画のストーリーを考えているとき、描けない・思い付かないと悩むことがたくさんあります。これまでに没になった作品もたくさんあります。でも、できないことがあるのが等身大の自分です。できない自分と向き合って形にしていく作業が、苦しいけれど楽しいと感じます。
次の目標はありますか?
目先の目標は、小学館の「新人コミック大賞」に選ばれることです。
また、自分には大きな夢があります。声優を目指している高校時代からの友人がいるのですが、いつか一緒に仕事がしたいと思っています。自分が描いた漫画がアニメ化され、その友人に声優としてキャラクターに声をのせてほしいです。
最後に、在学生に向けてメッセージをください。
大学は、自ら動くことで、いろいろな出会いの機会があります。人や物事、いろいろな出会いを経て、その人自身にとって価値のあるものを見つけてほしいと思います。
そして大学は、社会に出る前の最後の学びの場所です。なので、好きなことはもちろん、苦手なことにも挑戦して、自ら学ぶ姿勢が大事だと思います。

今回お話を聞いて、南葉さんの創作への情熱に驚きました。取材は和気あいあいとした雰囲気で、漫画を描く時に使用しているペンや下書き原稿も見せてくださいました。また、編集者の方との打ち合わせや、出版社へ原稿を持ち込んだ際のエピソードなどリアルなお話も聞かせてくださいました。これから漫画家として成長されたら、また大学に帰ってきてインタビューを受けたいとおっしゃっていたので、その際はまた南葉さんにお会いしたいです。