2023.02.21

カルチャー

まるで海外!京都にいながら異国の雰囲気を楽しめるスポット3選

「ベッカライ・ペルケオ・アルト・ハイデルベルク」のジョニー・アルトマンさん。

ここ数年、海外を訪れにくい情勢が続いていますが、京都市内には気軽に異国の雰囲気を味わえる場所がたくさんあります。そこで今回は、外国の多様な文化や現地の雰囲気を味わえるスポットをご紹介します!それぞれの魅力や、京都で発信し続けることへの思いをインタビューしました。

2人のマイスターがつくる伝統的なドイツパン「ベッカライ・ペルケオ・アルト・ハイデルベルク」

平安神宮や岡崎公園そばの 「ベッカライ・ペルケオ・アルト・ハイデルベルク」は、ドイツ人と日本人のご夫婦が営むベッカライ(ドイツ語でパン屋さん)です。パンのマイスター資格を持つ2人が生み出す、本場仕込みのドイツパンを購入できます。
ショーケースには、甘い菓子パンも種類豊富に並ぶ。
店主のアルトマン万里子さんはドイツを旅行した際、パンのおいしさやハイデルベルクの街並みに惚れ込み、2004年に単身で渡独。パン屋さんで数年間働き、ゲゼレと呼ばれる製パン職人の資格を取得しました。
さらにパン作りを極めるため、国家資格であるマイスターを目指して学校に通い、そこで現在の夫であるジョニーさんと出会います。その後紆余曲折を経て、マイスターとなった2人が出店したのがこのお店です。

こちらのお店のパンは、ドイツの伝統的なレシピを貫いているという特長があります。ケースに並ぶのは、ライ麦や全粒粉、ディンケル小麦などを使った、珍しいドイツパンばかり。現地のパン屋さんの店先をのぞいているようなわくわくする眺めが広がっています。
注文してから作るサンドイッチも人気。(テイクアウト620円、イートイン631円)
出店した2009年当初はドイツパンの知名度が低く、お客さんに「あんパンや食パンはないの?」と尋ねられたこともあるそうです。しかし現在では、ドイツのパンを恋しく思う外国の方や、このお店でドイツパンのおいしさを知ったお客さんに支持されています。

「ドイツのパンの魅力は、種類の豊富さと材料のシンプルさです」とジョニーさんは話してくださいました。ドイツ人の主食であるパンには、さまざまな麦や穀物が使われており、ひき方や配合などの使い分けによって膨大な種類があります。ドイツパンといえば堅く酸味があるイメージですが、実際にはふわふわなものや酸味のないものもあり、味も食感も多彩です。それでいて材料はシンプルなので、素材そのままの味わいを楽しめます。

また、天然酵母にもこだわっています。小麦のパンは小麦の、ライ麦のパンはライ麦由来の天然酵母を使用。ドイツと日本では気候が大きく違うため、酵母のコントロールに苦労するそうですが、季節に合わせて発酵時間を調整するなどして味を再現しています。
左が「ブルスト」(631円)、奥が「ディンケル」(270円)、右が「ブレッツェル」(300円)。ドリンクは「ラテマキアート」(650円)。※全てイートイン価格(消費税10%)。テイクアウトは消費税8%。
イートインスペースでいくつかパンをいただきました。「ブルスト」はバジルとレモンのソーセージのサンドイッチです。かめばかむほどソーセージの旨味が出てきて、もっちりとしたパンとよく合いました。弾力ある食感の「ブレッツェル」は、岩塩が効いていて、おいしかったです!ライ麦やディンケル小麦のパンは 一般的な小麦パンに比べると食物繊維が豊富で食べ応えがあり、腹持ちが良く消化がいいのも魅力です。

ジョニーさんは製菓職人のマイスター資格も持っていて、お店にはドイツで定番のケーキも並んでいます。持ち帰りのほか、店内のカフェスペースでも飲食できるので、ドイツ気分を味わいにぜひ立ち寄ってみてください。
ベッカライ・ペルケオ・アルト・ハイデルベルク
住所:京都府京都市左京区岡崎天王町 54-1 クリオン岡崎1階(京阪「神宮丸太町駅」から東へ徒歩約18分)
営業時間:平日9:00~18:00 土・日・祝日7:30~18:00
休日:火曜、水曜、木曜

豊富なフランス語資料にアクセスできる日仏交流の拠点「アンスティチュ・フランセ関西」

総領事のイルマンさんと一緒に。
続いては、京都大学の側にある「アンスティチュ・フランセ関西(旧関西日仏学館)」です。フランス語の普及や日仏文化交流を推進するフランス政府公式機関で、全国に5拠点あり、関西では京都と大阪の2拠点で運営しています。

創立96年の歴史があり、今も昔も日仏の言語や文化に関心を持つ人々が集まる場所です。京都では1927年、当時の駐日フランス大使 ポール・クローデルの提唱のもと、稲畑産業株式会社の創業者である稲畑勝太郎氏が日仏文化協会の副会長に就任し、京都の九条山に関西日仏学館(現 ヴィラ九条山)を建てたことが始まりでした。
建築に貢献した稲畑勝太郎氏の名前は、多目的ホール「稲畑ホール」などの名前に残っている。
在京都フランス総領事のジュール・イルマンさんに中を案内していただきました。
学生にとってうれしい施設は、1万冊以上の蔵書を誇る「ポール・クローデル メディアテーク」です。フランス語の原書や日本語訳された書籍を、無料で自由に閲覧できます。
閉架資料の中には、中国の国共内戦によって危機にさらされ、1950年代に上海から避難してきた貴重なものもあります。京都大学のすぐそばという立地から、学生や研究者がよく訪れています。
※国共内戦とは、中国国民党と中国共産党による内戦。
バンド・デシネは絵を見るだけでも楽しめる。
フランス語ができなくても、写真集や漫画、絵本など、眺めるだけで楽しい本も充実しています。フランスには独自の漫画文化である「バンド・デシネ」があり、日本の漫画やアニメもとても人気なのだそうです。子ども向けの楽しいものから重厚な世界観を持つ大人向けのものまでさまざまあり、フルカラーでアーティスティックな絵が魅力です。
フランス語から翻訳されたフェミニズム関連の書籍もある。
フランスではフェミニズムが盛んなことから、フェミニズム関連の書籍も置かれていました。メディアテークの書籍は閲覧だけなら登録は必要ありませんが、「クラブ・フランス」の有料会員になれば貸出も利用できます。メディアテークの中は読書に集中できそうな明るくて落ち着いた空間でした。ぜひ訪ねてみてください。

その他、フランス留学プロモーションもアンスティチュ・フランセ関西の大切な活動の1つです。フランスへは、多くの人が語学留学や正規留学に旅立っています。フランス語教室も行われ、世代を問わずたくさんの人がプロのフランス語講師からフランス語を学んでいます。グループ講座やプライベート講座のほかオンラインでも受講できます。
「留学サポートはビジネスのためではなく、文化的な側面から、フランスの魅力を高めるために行っている業務なんですよ」というイルマンさんの言葉が印象的でした。
フランスにいるような気分を味わえるカフェ「レ・ドゥ・ギャルソン ア ランスティチュ」。
もっと気軽にフランス文化を体験したいなら、昨年オープンしたレストラン「レ・ドゥ・ギャルソン ア ランスティチュ」がおすすめです。フランス流の軽食やランチが食べられます。
外のガーデンでは月1回「ル・マルシェ」が開催され、雑貨や食べ物の屋台がずらりと並びます。食文化やお買い物からフランス文化に触れてみるのも楽しそうです!

アンスティチュ・フランセ関西
住所:京都市左京区吉田泉殿町8(京阪「出町柳駅」から東へ徒歩約12分)
営業時間:火曜~金曜9:30~21:00 土曜9:30~19:00【レストランは9:30〜17:00(ランチ11:30〜14:30)】
休日:月曜、日曜、祝日、他【レストランは月曜、日曜休】
※「ル・マルシェ」は不定期開催です。詳細はWebサイトを参照。
https://www.institutfrancais.jp/kansai/

※掲載内容は2022年度取材時の情報です。「アンスティチュ・フランセ関西」は、2023年4月1日より「関西日仏学館」へ名称が変わりました。

骨董品に囲まれながら、こだわり食材の韓国料理を味わえる「李青」

最後に紹介するのは、河原町今出川交差点南東にある李朝喫茶「李青」です。
1998年創業、今年で25年目を迎える。
喫茶店「李青」のオーナーである鄭玲姫(チョン・ヨンヒ)さんがお店を始めたきっかけは、韓国独自の文化をアピールしたいという思いからでした。店内には「当時の人々の生活や、これらを作った職人たちの意気込みに思いを馳せてほしい」と、貴重なアンティークの李朝家具などが並んでいます。

ビビンバやトックなどのランチが人気のほか、カフェメニューも展開しています。食材にこだわりがあり、創業当初から京都の美山の農家さんからオーガニック野菜を直接取り寄せているのだそうです。
左から、なつめケーキ(500円)、五味子茶(700円)。
今回は、なつめケーキと五味子(ごみし)茶をいただきました。なつめケーキは、生地の黒糖の味が印象に残り、とてもコクがあります。生地とラムレーズンとなつめの相性も良く、洋酒の香りも味わうことができます。
五味子茶は、はちみつが入っているため甘酸っぱい味がします。中に入っている五味子やクコの実も食べることができ、甘さや辛さ、苦さなどさまざまな味を楽しむことができます。五味子は果物の一種で、気管支に良く、また体力をしのぐ効果があるため、昔、人気ドラマの撮影で韓国の俳優の方たちが疲労回復のために撮影の合間に、このお茶を飲んでいたそうです。
左から、韓方茶(700円)、禅食ケーキ(500円)。
こちらは、300種類以上ある代用茶の中で代表的なお茶の1つである韓方茶です。薬味の味で苦みもありつつ、黒糖の甘味が感じられます。禅食ケーキは、はと麦・玄米・えごま・黒豆・大豆・黒ごま・よもぎなどの複雑な味わいを楽しむことができ、お茶との相性も抜群でした。
韓国の家具や道具があちこちに。
現地の骨董品を直接近い距離で見たり、韓国の方が普段日常生活で飲んでいるお茶を実際に飲んだりして、韓国現地の雰囲気や韓国の文化に気軽に触れてみてはいかがでしょうか。

李朝喫茶 李青
住所:京都市上京区梶井町44-16(京阪「出町柳駅」から鴨川を渡って南へ徒歩約5分)
営業時間:11:00~16:00(ラストオーダー15:30)
休日:月曜、火曜、日曜

取材の中で日本文化との共通点や違う点に触れて、好奇心が刺激されました。食べ物や道具、書籍といった身近な物から入っていくと、楽しみながら海外の文化に興味を持つことができます。そこから広げていけば、それぞれの国の歴史や文化的な背景などさらなる発見がありそうです!

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