食糧難を救う!?コオロギのパスタやスコーンが登場!本学の学生が企画した昆虫食カフェに行ってみた

左から、経営学部伊吹ゼミの追田洵己さん(2年次)、村松杏優さん(2年次)、廣田晶さん(2年次)。※撮影時のみマスクを外しています。

国連は、世界の人口が2030年までに85億人に達すると予測。将来的な食糧不足が懸念されています。国連の食糧農業機関(FAO)は2013年、有望な食糧として昆虫類を勧める報告書を発表しています。そんな情勢を背景に、現在、昆虫食が注目されています。
そこで今回は、1月15、16日の2日間限定でオープンした昆虫食カフェを訪問!2日間の来客数は115名、売上は12万1,550円と大盛況でした。企画したのは本学経営学部・伊吹ゼミの学生です。カフェイベントの目的を取材し、実際に昆虫食メニューを食べてみました!

昆虫食をきっかけに、食糧不足問題を考えてほしい

——企画のきっかけを教えてください。

追田さん:伊吹ゼミでは、ゼミ内で取り組むテーマをゼミ生が主体となって企画します。実現可能性・社会的話題性・独創性の3つに当てはまることを条件に、学生全員が企画を持ち寄るコンペを行いました。その中で多数決により決まったのが、村松さんの提案した「昆虫食カフェ」でした。

村松さん:ある日、居酒屋でカエルを食べてきたという兄の話を聞いたのがきっかけで「昆虫食カフェ」を発案しました。その後世界的な食糧難を見据えて昆虫食がブームになっているというニュースを知って「昆虫食は、多くの人が食糧問題を考えるきっかけになるのでは」と考えました。

追田さん:世界には昆虫を日常食とする国もあります。その一方で、昆虫食の文化がない国では新しい食べ方が注目を集めています。フランスではチョコレート、ベルギーではビールに昆虫が使われているんですよ。日本ではまだまだ一般的ではありませんし、関西では昆虫食を提供する飲食店がありません。私たちが昆虫食についてのアンケートをオンラインで行ったところ、学生・一般の400名から回答を集めることができました。うち、昆虫食を食べたことがない方への「あなたはなぜ昆虫食を食べたことがないのですか(複数回答可)」という質問に対しては、約7割の方が「食べる機会がない」と回答しました。

村松さん:私たちは「昆虫食にはネガティブなイメージがあるから、多くの人は食べないのだろう」と思っていましたが、アンケートの結果を見て「昆虫食にそこまで抵抗がないのなら、おしゃれなカフェで提供すれば食べてもらえるのではないか」と考えました。

カフェの店内には、ゼミ生が作ったポスターが掲示してありました。食糧問題の主な原因は、経済格差・自然災害・人口増加です。昆虫食は低コストかつ高タンパクのため、世界中で注目されています。
——カフェの実現に向けて、どんな準備をされたのですか?
 
廣田さん まず「昆虫食を知ってもらう」というコンセプトを決定しました。その後、カフェオープンに向けての資金調達、昆虫食を仕入れるにあたっての企業さんとの連携、メニュー開発を行いました。資金はクラウドファンディングで支援を呼びかけ、34人の方々から17万円をいただきました。その他にも、Instagram、Twitter、YouTube、TikTokなどを使って、カフェの広報宣伝活動に力を入れました。

コオロギは必須アミノ酸が豊富

——昆虫食にはさまざまな種類があります。今回、コオロギを選んだ理由は何ですか?

廣田さん:昆虫の姿そのままだと、やはり抵抗がある人も多いと思ったので、コオロギのパウダーを使うことにしました。コオロギは国内でも養殖されていますが、いろいろなメーカーのパウダーを試食し、タンパク質の含有量が多く、香りが控えめなものを選びました。粉末をそのまま舐めてみてください。

市販のコオロギパウダー。コオロギの種類とエサによって味が異なるそう。

——(舐める)初めての味です!魚介のような香りがしますね。

村松さん:エビやカニのような甲殻類の香りですよね。この香りを生かしたメニューを考えました。

カフェ会場は寺町通沿いのおしゃれなシェアキッチン。
廣田さん コオロギはBCAAが豊富です。BCAAは、バリン、ロイシン、イソロイシンという3つのアミノ酸の総称です。ヒトの体内で作ることができない必須アミノ酸なんですよ。パスタにはそれぞれ2000mg、スコーンには2300mgのBCAAが含まれています。人間が1日に必要なBCAAは2000mgだそうです。パウダーをこれ以上増やすと香りがきつくなってしまうので、栄養と美味しさのバランスが良い配合になっています。
メニューはパスタ2種類、スコーン、コーヒー。いずれもコオロギパウダー入りで、コーヒー以外は伊吹ゼミ手作りのオリジナルメニュー。

追田さん:コオロギパウダー入りのクッキーを販売されている企業もあります。コオロギパウダーは焼き菓子との相性がいいんですよ。スコーンは企業がやっていなかったので、チャレンジでメニューに加えました。

村松さん:私たちが作ったオリジナルコースターにも注目してください!フランス、ベルギー、フィンランド、ドイツと、いずれも文化として昆虫食を食べるのではなく、環境のことを考えて食べている国をピックアップし、現在どのように昆虫食が取り入れられているかを可愛らしいイラストで紹介しています。

コオロギのパウダー入りパスタを実食!

クリネーゼ(800円)。ボロネーゼにコオロギパウダーを加え、風味をアップさせています。

——では、クリネーゼをいただきます。あっ、美味しい!何も言われなかったら、コオロギパウダーが入っているとは思いません。深い香りを感じるのはコオロギパウダーのおかげでしょうね。おしゃれなカフェなので気分も上がります。

追田さん:食べてみておいしい、楽しい。ではなぜ昆虫食なんだろう?と、食糧問題を考えてもらうのが私たちの狙いです。

——お客さんがひっきりなしに来られていますね。

追田さん:地元紙の京都新聞をはじめさまざまな新聞社から取材を受け、カフェイベントの取り組みを紹介していただきました。こうして多くの人が来られているということは、昆虫食や社会問題への関心が高いということだと思います。

村松さん:昆虫食カフェの運営で分かったのは「伝える力」の大切さです。準備の段階で仲間たちと情報共有をするのはもちろん、どのようにすれば社会問題について伝えることができるのか、ポスターやコースターを作るなどみんなで考えて工夫しました。今回昆虫食を食べた方も、食べていない方も、食糧問題について少しでも考えてほしいです。

カフェでは調理、接客も学生が行いました。

今回の取材を通して、コオロギパウダーは料理の味に深みを加えるだけでなく栄養たっぷりということを初めて知りました。粉末そのままだと味が濃いのですが、料理と合わせるとおいしくなるというのも驚きでした。昆虫は、これからやってくるであろう世界的な食糧不足問題の解決につながっていくのかもしれないですね。

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