2021.10.27
特集誰もが気になる心理学。筆跡だけで内面までお見通し?!【後編】
京都産業大学の卒業生で「筆跡心理士」を職業とされている前原弘昌さん。筆跡心理士になるまでの前編に引き続き、この後編では、筆跡心理士とは何か、その仕事内容について伺うとともに、学生広報スタッフが実際に筆跡診断を受けた様子も紹介します!
筆跡心理士とは、筆跡のクセで人の深層心理を読み解く仕事
前原さんによると、「筆跡診断とはズバリ、書いた文字のクセからその人の現在を見る仕事」。筆跡や紙面の使い方から深層心理を読み取ることで、どんな性格でどんな行動をとる特徴のある人なのか、診断できます。もちろんこれは占いとは違い、統計学や形態心理学に基づいた診断です。フランスでは弁護士や公認会計士などと並ぶ超難関の国家資格で、資格保有者は、経営コンサルタントなどとして活躍しているそうです。
前原さん自身も現在、筆跡心理士として企業からの仕事の依頼を受けられています。たとえば企業の外部カウンセラーとして、うつ病やハラスメントなどで心のバランスを崩した人に文字を書いてもらい、それを見ながら話を聞くことで、表には出てこないその人の本当の気持ちを汲み取ったカウンセリングができるのだそうです。
また筆跡診断は企業の採用面接の参考資料にも使われています。「役員面接程度まで進んだ人の履歴書や小論文の筆跡診断の依頼が来ます。筆跡でその人の性格やその時の心理がよくわかります。その場で書けば当然緊張しますよね。それが普通です。こうした筆跡診断が採用に影響することもあれば、採用後の配置、どういう社員に育っていっ欲しいかなどの判断材料にもなるんです」。
筆跡を変えることで、自分を変えられる
すると、「筆跡を変えることで、自分を変えられるんですよ」と興味深い話も。「筆跡診断は現在のその人の状態を表しますが、それに対して、『なりたい理想の自分になる』書き方の提案を、私たちは開運筆跡と言っています。どういう自分になりたいのか?それをヒアリングして、それだったらあなたの名前はこう書いたらよい、というアドバイスをするのです。自分の名前を1日1回、丁寧に書くのですが、『姓名』とは『生命』そのものです。名前は生まれてすぐに授けられ、一生涯にわたり書き続け、呼ばれ続け、死の間際まで確実に自分と共にある、まさに『生命』そのもの。なりたい自分の筆跡の特徴を深層心理に落とし込むことで、違う深層心理が出てきます。だから自分の名前で練習するのです」。
筆跡を変えることで深層心理の上書きができる?現在の自分に迷いのある人には、希望が持てる情報です。実際、筆跡診断は、対人コミュニケーションの改善やメンタルヘルスにも役立てることができるほか、経営者、ビジネスマン、スポーツ選手などのイメージトレーニングにも応用されているそうです。
学生広報スタッフが筆跡診断してもらいました!
Point 宛名書きに必ず登場する「様」という文字
最終画の右払いが流れている人は自分の気持ちがぐっと入りやすい人、途中でピタッと止まっている人は感情のコントロールができる人です。
Point 漢字の「木」という文字
「木」の4角目が縦棒の左側に突き出ているのを刃物運といいます。これがある人は、白黒はっきりつけないと気がすまないタイプ。
このように一つの字をとっても深層心理レベルでの違いが出てきます。「筆跡は脳跡。自分の深層心理にないものは書けないんです。文字は行動そのものですね」と前原さん。見る人が見れば、自分の筆跡は自分の心をさらけ出しているのかもしれません。
在学生へのメッセージ
また、75歳までにもう一度大陸横断のバイク旅に出たいという前原さん。目を輝かせながら「私は明るく元気な社会づくりに貢献したいと思っています。学生の皆にはオンリーワンの自分を目指すとともに、一人一人が自分を輝かすことができるシャイニングワンな人になってほしい」と、エールを送っていただきました。