2021.08.06

特集

アナウンサーから大学教員へ。脇浜紀子教授に聞く、これまでのキャリアと情報発信との向き合い方

元読売テレビアナウンサーの脇浜教授

京都産業大学にはさまざまな経歴を持った教員の方々がいます。今回はそんな教員の皆さんを身近に感じてもらおうというシリーズの記事です。アナウンサーから京都産業大学の教授へと、華麗なるキャリアチェンジをされた現代社会学部現代社会学科の脇浜紀子先生にインタビューしました。メディアの専門家である脇浜紀子先生に、学生の情報発信についてアドバイスをもらいましたよ!

——アナウンサーになろうと思ったきっかけを教えてください。

実は私、アナウンサーになろうと思ってアナウンサーになっていないのです。だからアナウンサーになるための就職活動をしたり、アナウンサーの入社試験を受けたりはしていません。バブルの頃に大学生だったので、就活はいわゆる売り手市場でした。内定を10個も20個も持っている人がいたような時代でした。私は大学3年次生が終わった時点で1年休学してオーストラリアへワーキングホリデーに行っていました。そこでは趣味のスキューバダイビングを生かしてガイドをしていました。まあ、遊びほうけていたかもしれないですね(笑)。
とはいえ大学卒業後は就職したいと思い、テレビ局を何局か受けて、読売テレビから内定が出ました。その後「カメラテストを受けてくださいませんか」と突然言われたのです。その年アナウンサーとして採ろうと思っていた人が別の業界に行ってしまって、一般職か総合職で誰かアナウンサーができる人を探していたらしいのです。そこで、選ばれてアナウンサーになりました。あんまりないことだから、自分の天命を感じて1990年に読売テレビに入社しました。

少し緊張していた学生広報スタッフの私たちでしたが、脇浜先生は気さくに話してくださいました。

——もともとアナウンサーになるために入社したのではなかったのには驚きました。アナウンサーになるために努力したことはありますか?

そりゃあ大変でしたよ!研修や発声練習、滑舌練習があり、努力の毎日でした。大変でしたが、そこでへこんでいる間もなく番組が決まったので、そんな時期は1年ぐらいで終わりました。
番組が始まったらつらいとか言ってられなくて、早朝番組では朝2時、3時に起きて近畿一帯を走り回るという生活!とにかく体調管理が大変でしたが、夢中になって働いていました。あとは男女雇用機会均等法が導入されて日が浅く、女性がバリバリ働くことに関しては環境が整っていなかったので苦労しました。衣装もスタイリストさんもいなくて自分で荷物を持って移動するのは当たり前。着替える場所も用意されていなかったので、よく駅のトイレで着替えていました。でもそこから少しずつみんなで環境を整えていった感じですね。

——第一線で活躍されていたことが伝わってきて憧れます!アナウンサーを経て京都産業大学の教員になろうと思ったきっかけはなんですか?

そもそも勉強も研究もそんな好きではなかったのですけど、アメリカに留学したり、博士号を取ったりする中で、地域情報、地域メディアの研究を始めていて、その流れでいつか若い人たちと一緒に何かしたいなと漠然と思っていました。
決め手となったのが、ちょうど50歳になる歳の2017年に早期退職制度が導入されたことでした。京都産業大学の現代社会学部が新設されたのもまさにこの年で、またこれも天命だと思ったのです。それが転職の決め手となりました。

——すごくかっこいい経歴ですよね。でも、アナウンサーを続けたい気持ちはなかったのですか?

いや、もうやり切った!という気持ちでした。その頃には興味の対象がどんどんデジタル化に向いていったので、会社にいろいろと提案していました。でも、残念ながら当時のテレビ局は変革をすることに対してブレーキを踏もうとする空気があって、あれもダメ、これもダメと言われてしまって…。その時、私はブレーキを踏む側ではなくてアクセルを踏む側になりたいと思いました。時代はどんどん前に進めていかないといけないと思います。

——なるほど。大学教員になって、ゼミ活動や脇浜メディアラボでどのような活動をされているのでしょうか?

テーマは「マルチプラットフォームストーリーテリング(多様なメディアを使用した情報発信)」としています。メディアといえば、昔はテレビや新聞が主要で、それだけを押さえておけば良かったのですが、現在はものすごく多様化していますね。キャンパスマガジン「サギタリウス」のようなWEBマガジンもあれば、学生たちが個人的にやっているSNSまでさまざまです。情報の消費される形態が多様になると、ある情報を伝えるためには、全てのメディアを上手く活用する必要があります。でも全部に発信するとなったら、例えばTwitterだと140文字できちっと伝えることをしないといけないし、Instagramだったらかっこいい写真を載せて発信しないといけません。その多様化するメディアそれぞれに合わせた情報発信スキルを身につけようと活動しています。

——今後、私たち学生がさまざまな情報発信をしていくにあたって、どのようなことに気をつけると良いでしょうか。アドバイスやメッセージをいただきたいです。

私たちの生活にインターネットは欠かせないものとなっていますが、インターネットとの付き合い方は人それぞれで “正解”や“マニュアル”がありません。“正解”がないのですから、積極的に利用していく中で、自分とは違う考えや批判的な意見を目にしたりして、傷つくことがあるかもしれません。SNSでのトラブルもよくニュースで目にします。
SNSとうまく付き合っていく上で、「受け手のことを常に考える」ということが大切です。これは人と話す際にも共通して言えることですね。受け手のことを常に意識することで、どのような言葉や表現を使うと良いか、どのような情報を発信すると良いか、などを考えるようになり、インターネットをうまく活用できるようになるでしょう。受け手を思いやり、発信を繰り返し続けることで、自然と質の高いコミュニケーションが生まれてきますよ。

取材の最後に集合写真を撮らせていただきました。※撮影時のみマスクを外しています。
最後に、「サギタリウス」を作成している私たち学生広報スタッフに向けて、脇浜先生からメッセージをいただきました。これから情報発信に力を入れたいと思っている在校生の皆さんにとっても参考になるようなメッセージですので、ぜひご覧ください!

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