【国際関係学部】「平和構築論Ⅰ」で外部講師による講演会が開催され、戦争の悲惨さと平和の尊さを学びました!

2022.07.20

7月14日(木)「平和構築論Ⅰ」(担当:国際関係学部 クロス京子教授)において、広島原爆の語り部・国際養子縁組活動家の近藤紘子(こうこ)さんから、生後8か月での被爆とその後の人生、平和に対する思いをご講演いただきました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 山崎 夏摘)

講演会の様子

紘子さんは爆心地から僅か1.1㎞の距離で被爆し、崩れ落ちた家の瓦礫の下敷きになりましたが、母親に抱きかかえられ奇跡的に助かることができたそうです。その後、紘子さん家族は、紘子さんの父である谷本清牧師の教会で生活を始めました。当時、教会では親を失った原爆孤児や、被爆で負ったケロイドに苦しむ女性の支援が行われていました。紘子さんはその方たちと接する中で、「優しいお姉さんたちを苦しめている原爆を落とした人が悪い。」と憎しみを募らせ、仇をとると誓っていたそうです。

被爆当時に紘子さんが着ておられた服

原爆投下から10年経った1955年、アメリカの人気番組であるThis is your lifeに家族で出演した紘子さんは、ついに自身が仇をとると誓った広島に原爆を落とした人物、エノラ・ゲイの副操縦士ロバート・ルイス氏に会うことができました。しかし、紘子さんが原爆を投下した悪者だと思い込んでいたルイス氏は、番組司会者の「原爆を落としたとき、どう思ったのか」という問いに対し、涙を流しながら「広島が消えていた。神様、私たちはなんてことをしてしまったのでしょう」と答えました。紘子さんはその姿を見て、「私が憎むべきはこの人たちではない。私が憎むべきは戦争を起こす心の中の悪、戦争そのものを憎むべきだ。」と気付いたそうです。番組の終わりに紘子さんがルイス氏の手を取ると、ぎゅっと握り返されたそうです。そのときの手のぬくもりが、今の活動に繋がったと述べられました。

講義の後半では、2016年5月の広島訪問に際し行われたオバマ大統領の演説の中で忘れられない言葉として、「いつの日か証言するヒバクシャの声が聴けなくなるでしょう。しかし1945年8月6日の朝の記憶を忘れさせてはいけません。」という箇所があったことを紹介し、これからの世の中を変えることが出来る学生に対し、被爆者の語りを継承し、心を繋いでいって欲しい、未来を託すと話されました。

講演後、紘子さんに質問する学生
国際安全保障環境の変化によって、核兵器の廃絶が一層厳しくなっており、国の政策といった「大きいもの」を変えることは難しいです。しかし、人から人へと心をつなぐことができれば、その力はやがて国家を超えた大きな力となり、核兵器など必要でなくなると語られました。ロシアのウクライナ侵攻など、核の脅威を改めて考え、核兵器について理解し直す必要性があると感じました。私たち若者が、過去を学び、未来をつなぐ架け橋にならなければならないと気付かされる貴重な講演会でした。

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