30 太上老君勅令印

平成27年(2015)ハノイ市内で購入。道教(特に正一派など)で用いられる法印の一種。法印は天界へと送る章疏などに用いられるもので、要するに現世で公文書に押される官印にあたる。その背景には現実の官僚機構を模した道教の神界観念がある。太上老君は老子を神格化した道教の最高神の一人。また、この「太上老君勅令」印は現代の道士が用いる「太上老君鎮宅七十二道符」などの呪符に押印されることで、呪符が効力を発揮するともされ、ここから呪符が神界の公文書であるという見方も可能となる。

(佐々木 聡)

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