12 伝谷文晁模・関克明賛 「白沢之図」

文政(ぶんせい)13(1830)年刊。落款(らっかん)によれば、絵は谷文晁(たにぶんちょう)(1763~1841)の模写、讃は関克明(せきこくめい)(1768~1835)の筆という。二人は耽奇会(たんきかい)などを通じて、幕府祐筆の屋代弘賢(やしろひろかた)と親交があり、展示品の図(ず)・讃(さん)も弘賢の『白沢考(はくたくこう)』(宮内庁書陵部所蔵)の一部と一致する。当時あまり知られていなかった中国風の白沢(虎面鱗身(こめんりんしん))を摺り物とした貴重な一例と言える。なお文晁の落款に「文政庚寅(13年)」とあり、上梓されたのも概ね同年と考えられるが、この年は克明の息子で、文晁・弘賢とも親交の深かった関思亮(せきしりょう)が35歳で夭逝した年でもある。

(佐々木 聡)

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