Letters
PROFILE
- 俳優 甲本 雅裕さん [1988年 経済学部 卒]
- 1965年生まれ。卒業後、会社勤めを経て、1989年に東京サンシャインボーイズに入団し「12人の優しい日本人」、「ラヂオの時間」などに出演。その後、活躍の場をTV、映画へと広げ、「踊る大捜査線」「シグナル長期未解決事件捜査班」など、様々な作品に出演。観ている者もつられてしまう印象的な笑顔や内に秘めた狂気など、多彩な個性を表現し続けている。
新しい何かと触れ合うたび、人生はどんどん豊かになる。
学生時代って、将来の自分が見えなくて悩んでしまうこともありますが、50歳を超えて思うのは案外大丈夫だということ。止まらず進んでさえ行けば、たくさんの出会いが自分を豊かにしてくれるんです。僕がいま身を置いている芝居の世界も、まさにそうです。先ほどまで収録していた木曜ミステリー「遺留捜査」の現場もそう。10人いれば10人分の表現プランがあるし、それぞれが積み重ねてきた「人生の出会い」を背負っている。僕の50数年分、相手の20年分、誰かの40年分…ベテランも新人も、自分だけの数十年分を背負ってひとつの現場に集結しているんです。これってすごくないですか?僕は、事前に脚本を読み込んで、表現プランも考え抜くけれど、撮影所の門をくぐった瞬間にそれを全部放り捨てちゃう。フラットな状態で共演者とのセッションを楽しむと、どんどん表現が豊かに広がっていくので、放り捨てちゃうくらいがちょうど良いんです。
芝居の世界にも、キャンパスの
中にも「化学反応」はいっぱい。
そう考えると、自分の個性や人生プランって、見えない未来の「正解」にこだわり過ぎない方が面白いんじゃないかと思います。在学中は剣道一筋でしたが、卒業後は全く違うことをしたくてアパレルの会社に飛び込みました。さらに芝居という新しい世界に飛び込んだのも、素直にその世界が面白そうと感じたから。そういえば、芝居未経験だった僕に、当時、劇団「東京サンシャインボーイズ」の主宰だった三谷幸喜さんから「やれるかやれないかは、やってみないと分からないから」と舞台出演のお声がけをいただいたのは、劇団の中にどんどん異質なものを取り込んで、化学反応を起こそうとされていたのかもしれません。未知の世界に飛び込むのは、例えると遊園地のお化け屋敷に飛び込むようなものじゃないかな。次々と起こる思いがけない出来事にキャーキャー言ってる自分がいる感じ。「不安」じゃないんですよね。恐怖感と、その裏返しには高揚感がある。いまの僕という人間は、そんな出会いの積み重ねで出来ています。だから学生時代に「出会った人や場所、時間」も全部、特別な思い出ばかり。そして現在も、どう変わるかも分からない未来をあれこれ悩むよりも、今日の出会いを楽しむのに精一杯です。「いま」の気持ちに素直に従って、足を進め続けさえすれば、きっと大丈夫。たくさんの出会いが想像以上にワクワクする未来へ導いてくれますよ。京都産業大学にもいろんな仲間や出会いが盛りだくさんですよね。だからきっと大丈夫。まずは今日を楽しんでみてください。
挑戦に踏み出す
ための、合言葉
「面白そう」の
アンテナに従う
たった一つの「正解」を見つけようとしすぎると、なかなか何も決められません。でも「間違ってはないはず」という基準で考えると選択の幅も、選択のスピードもがらっと変わります。
次々と、
新たな出会いへ
今は悟ったようなことを言っている自分ですが、学生時代はあれこれ悩んでぐじぐじ…。でも大丈夫。出会いに身を任せて変化を楽しめば、想像以上の未来に出会えますよ。