2021.08.24

カルチャー

歴史ある知恩院を紹介!その七不思議とは?

知恩院の三門。堂々たる風格です。

京都には有名な神社やお寺、文化的スポットがあり、在学中にぜひ訪れてみたい場所が数多くあります。そこでサギタリウスでは「京都の学生なら一度は行っておきたい学外散策シリーズ」として、さまざまなスポットを取り上げていきます!今回は、京都市東山区にある知恩院を学生広報スタッフが訪れてみることにしました。知恩院にある七不思議とは、一体どんなものなのでしょうか。

約800年もの歴史を持つ、知恩院。

知恩院は浄土宗の総本山で、八坂神社や円山公園すぐ北の東山にあるお寺です。知恩院に到着すると、まずは三門(さんもん)の壮大さに驚きます(※知恩院では「山門」のことを「三門」といいます)。なんと高さは24メートルもあり、日本の寺院の山門で最大級のものだそうです。浄土宗の開祖・法然上人(1133~1212)が、人生の後半をこの地で過ごし、ここで生涯を終えたことから、そのゆかりの地ということで寺院が建てられました。その後、江戸時代に徳川幕府の保護を受けて、三門、御影堂(みえいどう)、大方丈(おおほうじょう)などをはじめとした、壮大な伽藍(がらん)ができました。現在、三門、御影堂は国宝となっています。
国宝に登録されている御影堂。

知恩院の七不思議に迫る!

さて、知恩院の七不思議とは一体なんでしょうか。三門からお堂への道のりは、急な男坂か、緩やかな女坂を上る必要があります。そして上った先には広大な敷地があり、そこには立派なお堂があります。これが御影堂で、開祖の法然上人がまつられています。
御影堂から裏手の集会堂(しゅうえどう)を経由し、大方丈へ向かうと、知恩院の七不思議のパネル展示コーナーがあり、じっくり予習することができます。なお、ここからは方丈庭園の拝観チケット(大人400円)が必要になります。では、いよいよ七不思議を巡っていきましょう。

七不思議 その① 忘れ傘(わすれがさ)

忘れ傘。傘は水を連想させるため、火災から人々を守ってくれる象徴として、現在も大切に保存されています。

御影堂に上がって、外廊下の正面右端から上を見上げると、はるか上の軒裏に、傘の先が見えます。これが七不思議の一つ目、忘れ傘です。場所を示す案内板もあるので、簡単に見つけられますよ。こんな場所に、一体誰が傘を置いたのでしょうか?これについては、江戸時代初期に活躍した伝説の彫刻職人、左甚五郎が魔除けのために置いたという説があります。もう一説によると、御影堂を建てるときに住処(すみか)を追われた白狐が濡れ髪の童子の姿となって現れ、知恩院第三十二世の霊厳上人(れいがんしょうにん)に新しい住処を懇願、上人が祠(ほこら)を作ってまつったため、御礼に狐が置いていったそうです。その祠は今も「濡髪大明神」として境内にあるので、ぜひ行ってみてくださいね。

七不思議 その② 鴬張(うぐいすば)りの廊下

鴬張りの廊下。ゆっくりと歩いてみると、音が聞き取りやすいです。

大方丈の廊下が七不思議の二つ目、「鴬張りの廊下」です。どんなに静かに歩いてもキュッ、キュッと音がします。「忍び返し」ともいわれ、曲者(くせもの)を防ぐためだったとか、ウグイスの鳴き声が「法(ホー)聞けよ(ケキョ)」とも聞こえることから、歩くことで仏様の法を聞く思いがするためともいわれています。鴬張りの廊下は全長550メートルですが、公開されているのは方丈庭園へ続く一部分のみです。廊下の裏側も展示されていて、仕組みを見ることができます。

七不思議 その③ 大杓子(おおしゃくし)

大きな杓子が天井に。

さて、鴬張りの廊下のすぐ上の天井を見上げると、梁(はり)に長さ2.5メートル、重さ30キロもの杓子が置かれています。これが七不思議の三つ目、大杓子です。大坂夏の陣のときに真田十勇士の一人である三好清海入道がこれを持って大暴れしたといわれ、兵士のご飯をこれで「すくい(救い)」振る舞ったという話も伝わっています。

七不思議 その④ 三方正面真向(さんぽうしょうめんまむき)の猫

毛並みが細部まで丁寧に描かれ、まるで生きているかのように感じられます。

鴬張りの廊下の先には、七不思議四つ目、三方正面真向の複製画の展示があります。間近で見ることができるので、迫力がありますよ!方丈の廊下にある杉戸に描かれた狩野信政(かのうのぶまさ)(1607~1658)筆の絵で、どこから見ても、見る人の方をにらんでいるように見え、親猫が子猫を慈しむ様子が表現されているといいます。

七不思議 その⑤ 抜け雀(すずめ)

菊の上に描かれていたという雀は飛び去っていったそうで、現在襖の中には雀はいません。

七不思議の五つ目は、抜け雀という絵です。こちらも猫の絵と並んで複製画の展示があります。これは大方丈の菊の間にある襖絵(ふすまえ)で、やはり狩野信政筆のもの。菊の花の上に数羽描かれていた雀が、あまりに見事な筆致のため、生命を受けて抜け出したといわれています。現在、複製画の横に、本来いたはずの雀が描かれた絵も展示され、見比べることができます。

大方丈の建物を出ると、方丈庭園や権現堂、山亭庭園などを見学できます。有料エリアを出たところの墓地を左手に行くと、「忘れ傘」のエピソードに登場した「濡髪大明神」があります。京都盆地を遠望できる眺めのよい場所なので、ここまで来たら、ぜひ見逃さないようにしましょう。

七不思議 その⑥ 白木(しらき)の棺(ひつぎ)

白木の棺。通常時は見られません。

七不思議のうち、通常非公開なのが「白木の棺」です。徳川将軍家より三門造営を命じられた造営奉行、五味金右衛門は、命がけで造営することを決意して夫婦の木像を刻みますが、三門が完成してみると工事は予算オーバー、その責任をとって自刃したと伝えられています。その菩提を弔うため、夫婦の木像は白木の棺に納められ、三門の上に置かれました。特別公開の際に見られるそうです。

七不思議 その⑦ 瓜生石(うりゅうせき)

瓜生石。なんと横断歩道の真ん中にあります。
さて、七不思議の最後は「瓜生石」です。三門より北の「黒門」前の路上にあります。平らな大きい石で、よく見るとお賽銭も置かれています!この石には、誰も植えていないのに瓜のつるが伸び、花が咲いて実がなったという話や、八坂神社の牛頭天王(ごずてんのう)が瓜生山(うりゅうさん)に降臨、その後再びこの石の上に出現し、一夜のうちに瓜が生えて実ったという言い伝えがあるそうです。さらに他にも、石の下を掘ると二条城まで続く抜け道があるという話や、隕石が落ちた場所であるという話も語り継がれています。いろいろな言い伝えのある不思議な石です。

以上、七不思議を順に巡りましたが、知恩院の広大な境内を縦横に見て回ることができました。広大で静かな空間に、お坊さんの南無阿弥陀仏という読経の声が響き、心がリフレッシュされました。京都の有名スポットなので皆さんもぜひ、訪れてみてくださいね。

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