2021.07.06

カルチャー

【七夕特集第1弾】意外と知らない!?七夕伝説について神山天文台に聞いてみた!

神山天文台の七夕笹飾りの様子。

7月の行事といえば、七夕。第1弾では、知っているようで意外と知らない「七夕伝説」について、宇宙論・理論天文学の専門で、七夕伝説にも詳しい共通教育推進機構の中道 晶香教授にお話を伺いました。
7月5日から9日頃まで、神山天文台の玄関ロビーに七夕の笹が飾ってあります。短冊の用意もあるので、ぜひ願い事を書いてみてくださいね。

今回七夕伝説について教えてくださった中道先生(右から2人目)と神山天文台のロビーにて。※撮影時のみマスクを外しています。

——七夕伝説の起源を教えてください。

中国の歴史研究者の間でも意見が分かれているので、あくまで仮説ですが、中国にあった夏王朝時代(紀元前1100年頃)の『夏小生』という文献にある織女の星に関する記述が最初のようです。
『夏小生』の中に「7月、天の川にあたる、黄昏の頃に織女真東に向かう」という文章があり、織姫星(こと座のベガ)の両脇の2つの星を合わせた3つの星からなる織女三星がくちばし形をしていて、それがちょうど東に向いているという意味があります。
その後になって、周王朝時代(紀元前1046年〜紀元前256年)の詩集『詩経』の中で、彦星(牽牛)が現れます。でもこれがロマンティックではないのです…。「天に織姫という機織りの神様がいても、牛飼いの神様がいても私たちの生活はずっと苦しいままだ」という愚痴の文脈の中で、初めて織姫と彦星が揃って登場します。

——愚痴から始まったのは驚きです。では、いつから現代のようなロマンティックな物語になったのでしょうか。

今のようなロマンティックな七夕伝説になったのは、前漢〜後漢(紀元前206年〜220年)の時代からだそうです。天の川を挟んで織姫と彦星があることから「天の川は清く浅いのに会うことができない、ただ一筋の川があるだけなのに語ることもできない」という切ない気持ちを歌ったのが始まりだとされています。

星座盤を見ながら天の川について教えてくださった中道先生。

——2つの星が天の川を挟んで位置しているというのは、切ない感じがしてロマンティックな物語を作ってみたくなるのもわかる気がします。日本に七夕伝説が伝わってきたのはいつ頃なのでしょうか。

中国の唐王朝(618年~907年)では、七夕は機織りの神様である織姫星に手芸の上達を願う行事でした。それが奈良時代(710年~794年)に、中国から日本に伝わってきたと言われています。一方で、既に日本では7月7日に水に関する年中行事がありました。その水と結びつけ、平安時代には七夕の日に梶の葉っぱに和歌を書いて水に浮かべるようになり、現在の七夕行事になっていったのでしょう。江戸時代には笹飾りも飾られていて、庶民の間でも広がっていたのが分かります。

——日本にもすでに水に関連した七夕行事があったのですね。では、七夕の星座について教えてください。

織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイルです。ベガは夏に一番明るく見える恒星で、七夕の頃には午後8時頃に東の空に見えます。アルタイルも一等星で明るいため、比較的見つけやすいかもしれません。ちなみにこの2つの星の距離は結構遠くて、光の速さでも14年半かかる距離なんです(笑)。でも広大な銀河の中では近いと言えますね。
天の川は銀河の中にあり、夏の夜と冬の夜では見える方向が違います。銀河の中心に星が集まっていて、それが川のように見えているのです。そして天の川の一番明るいところには本学の学章にも使われている、いて座(サギタリウス)があるんですよ!

——そうなんですね!サギタリウスがあるのは知りませんでした!

なお、新型コロナウイルスの影響で、天文台でのイベントは当面未定です。
決まり次第告知されるので、神山天文台のページをチェックしてみてください!

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