2021.04.28
カルチャー京都産業大学近く!上賀茂・大田神社の美しいカキツバタを知っていますか?

上賀茂神社の境外摂社である「大田神社」では、例年5月上旬から中旬にかけてカキツバタが見頃を迎えますが、今年の開花は早く、ゴールデンウィークまでが見頃になりそうです。
その美しさは、「神山(こうやま)や大田の沢のかきつばたふかきたのみは色にみゆらむ」と平安時代に藤原俊成の歌にも詠まれたほど。歌意については記事後半で、まずは大田神社のカキツバタを紹介します。
賀茂で最も長い歴史! 長寿や芸能上達で知られる大田神社

賀茂エリアで有名な大田神社をご存知でしょうか? 平安時代にまとめられた『延喜式※』にもその名が登場する、とても歴史のある神社です。古くは恩多社(おんたしゃ)という名前でも呼ばれていました。
※平安時代中期に編纂された法令集。
創建された年は不明ですが、賀茂で最古の神社であることから長寿福徳のご利益があると信仰されてきました。
御祭神として祀られているのは天鈿女命(あめのうずめのみこと)。『古事記』や『日本書紀』にも登場する女神です。天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまった天照大神(あまてらすおおかみ)に出てきてもらうために踊り、八百万の神々を大いに盛り上げたという神話でも知られています。
踊り子の女神である天鈿女命にちなんで、大田神社は芸能上達でも信仰を集めてきました。

この大田神社は、5月上旬に咲き誇るカキツバタの名所としても知られています。
国の天然記念物「大田ノ沢のカキツバタ群落」とは?

大田神社の南側に広がる「大田の沢」は、約2,000平方メートルの広さがあり、水辺にはカキツバタの群落が自生しています。1939年には「大田ノ沢のカキツバタ群落」として国の天然記念物に指定されました。
- 大田神社【公式】Twitter【大田神社の杜若 動画】
カキツバタはアヤメ科アヤメ属の植物で、美しい紫色の花が特徴です。漢字で書くと「杜若」。「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若」という慣用句を見かけたことがある人もいるかもしれませんね。
ちなみに、姿がよく似ているために混同されやすいカキツバタとアヤメですが、陸地に咲き、花に網目模様があるのがアヤメ、カキツバタは花全体が紫色で中央に小さな斑紋があること、そして水辺に咲くことから見分けがつきます。
平安時代からもカキツバタの名所として知られており、『千載和歌集』の選者である藤原俊成によってこんな和歌が詠まれました。
神山(こうやま)や大田の沢のかきつばたふかきたのみは色にみゆらむ 藤原俊成

神山という地名は、京都産業大学内にある「神山ホール」でもお馴染みですが、上賀茂神社のそばに広がる山のこと。大田神社の本社である上賀茂神社の御祭神、賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)が降臨した地です。
「賀茂別雷命が降臨した神山のそばにある、大田の沢に咲くカキツバタ。神に深くお願いする心が、その美しい花の色に現れている」との歌意があるようです。一体、どんなお願い事が込められているのでしょう?
カキツバタは、例年5月上旬から中旬にかけて見頃を迎えます。今年は例年より開花が早く、4月の中頃から咲き始め、ゴールデンウィークまで楽しめそうです。
「大田の沢」の中央に小さな島があり、その周囲を取り囲むように咲く様子が見事です。構図を工夫すると、フレームいっぱいをカキツバタが埋め尽くし、緑の葉と紫の花のコントラストが美しい1枚が撮影できますよ。
カキツバタを眺めたらぜひ散策コースへ。授与品もお忘れなく!
大田神社には、境内や周辺にも散策にぴったりなスポットが広がっています。境内には約400年前に建てられた本殿と拝殿が。
また、境内の北西角から山に向かって「大田の小径」と呼ばれる坂道が伸びており、ちょっとした散策におすすめです。「大田の小径」を登った先には小さな展望台があり、周辺の景色が見渡せますよ。
神社に来ると、授与品も気になりますよね。大田神社の授与所には、芸能上達をはじめ様々なご利益のあるお守りが並んでいます。「大田の沢」にちなんでカキツバタの模様が織り込まれたものもありますよ。
さらには、御朱印にもカキツバタの絵柄が入っていますので、集めている方は忘れずにいただいて帰りたいところですね!
スポット情報
大田神社
京都府京都市北区上賀茂本山340