2020.12.15

カルチャー

京都産業大学近くのパワースポット「鞍馬寺」。太古より満ちあふれるエネルギーを存分にいただこう!

鞍馬山は古神道や陰陽道、修験道等の山岳宗教など、古代より霊山として篤く信仰されてきた。(鞍馬寺本殿金堂)

京都産業大学から北へ約6キロ、鞍馬山の中腹に「鞍馬寺」があります。こちらは天狗や源義経などの伝説が語り継がれている神秘的な聖地です。京都最強のパワースポットとして知られており、全国の参拝客が「鞍馬寺の絶大なエネルギーを感じたい」と、ひっきりなしに訪れています。今回のコースは、鞍馬山の山裾から本殿金堂などをめぐり、山を降りて貴船まで約90分の行程です。ときに険しい山道を歩いて巡礼し、心身ともにリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

世界でココだけ!神仏の区別を超えた「尊天」信仰の地

仁王門で愛山費(300円)を納め、聖域である鞍馬寺へ。
叡山電鉄の終点「鞍馬駅」からスタートしましょう。鞍馬街道の町並みから山道を進むとすぐに、石段の上にそびえるように、朱塗りの仁王門が建っています。
※2020年11月27日現在、叡山電車の市原駅~鞍馬駅が不通です。鞍馬までは市原駅から京都バスをご利用ください。
京都産業大学からは京都バス32系統広河原行に乗り運賃240円で行くことができます。
仁王門は、俗世界と鞍馬山の聖域との結界とされています。写真をあちこち撮る観光客が多く見られますが、聖なる場所へ足を踏み入れるという気持ちを忘れず、清らかな心をもつようにしたいですね。仁王門をくぐるとすぐ右手にケーブル駅があります。山門駅から山上近くの多宝塔駅まではケーブルカーで約2分、そのあと約10分歩くと本殿金堂です。ケーブルカーに乗ると徒歩より少し楽ができます。とはいえ、鞍馬寺独特の雰囲気を肌で感じるならぜひ歩いて参詣したいところです。徒歩なら、鞍馬の火祭りで知られる、平安時代に都の北方守護のために建てられた由岐(ゆき)神社や、清少納言『枕草子』にも登場する九十九折(つづらおり)参道などを訪ねることができます。
由岐神社を経て、標高410メートルの本殿金堂までは歩いて20分弱です。「鞍馬寺縁起」によると、鞍馬寺は、770(宝亀元)年、鑑真和上(がんじんわじょう)の高弟・鑑禎(がんちょう)上人が草庵を建て毘沙門天を祀ったことが始まりです。鑑禎上人は、山城国の北方に霊地があるという夢のお告げを受けます。喜んでその地を目指したがどこかわからずまどろんでいると、また夢に高僧があらわれ、明日の日の出に奇跡を起こすと告げられました。夜が明けると、ご来光のなかから白馬が鞍を負ってあらわれました。その白馬のあとを追うと、鑑禎上人は景勝の地にたどり着き、白馬はそこで忽然と消え、そこには毘沙門天が立っていたといいます。鑑禎上人がこの不思議な体験をしたのが、まさに鞍馬山です。そして、ここで草庵を結び、尊像を祀ったといわれています。
本殿金堂前にある金剛床。真ん中にある三角石の上に立ち、本殿へお参りするのが定番の参拝スタイル。
本殿金堂、石畳の正面手前には、「金剛床(こんごうしょう)」と呼ばれる場所があります。この金剛床は、宇宙のエネルギーそのものである「尊天」の波動が広がる星曼荼羅を模したものだそうです。
ここに立ち、手のひらを上にして腕を広げて参拝する人の姿が目立ちます。鞍馬寺ではこの参拝方法を公式におすすめしているわけではありませんが、どうやら10年前くらいから自然発生的に見られるようになったようです。宇宙からのエネルギーを全身いっぱいに浴びることができそうなので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。本殿金堂の正面にある「翔雲台」の手前からは、比叡の峰々を臨むことができます。参拝客の多くはここで引き返すのですが、鞍馬寺のパワーを存分にいただくべく、さらに山道を進みましょう。
木の根の道。岩盤が硬いうえ表土が浅く杉の根が地中深くまで張れないため、地表に木々の根が張り出している。

天狗に出会えるかも!?鞍馬山の奥は不思議な“気”に満ちていた!

鞍馬山一帯は、多様な動植物が共存し、鉱物も豊富です。昔から社寺林として守り継がれる「極相林(きょくそうりん)」でもあります。「極相林」とは、いろいろな種類の植物がうつりかわり生えるうちに、その土地のまわりの条件にもっとも適した植物が生き残り、その他の植物の侵入を許さず、大きく変化しなくなった林のことです。木の根の道も、一見すると「根っこが地上に出ていて、杉の木はちゃんと成長するのかな?」と思うかもしれません。しかし、鞍馬山にとってはこの状態が“最適解”なのです。ただし、歩くときは、根っこを踏まないように気を配りましょう。

さらに山を上がっていくと、幼名・牛若丸で知られる源義経にまつわる伝説スポットを数多く訪ね歩くことができます。1159(平治元)年の平治の乱で源義経の父・義朝(よしとも)は平氏に討たれ、源氏一族は根絶の危機にさらされます。このとき牛若丸は母・常盤御前(ときわごぜん)の懐に抱かれている乳飲子でした。7歳になった牛若丸は鞍馬山に預けられ、覚日阿闍梨(あじゃり)の弟子となり、約10年間修業を積みます。僧正ガ谷は天狗の棲処(すみか)で、日が暮れると妖怪がうめき叫んだといいます。しかし牛若丸は打倒・平家の想いを抱き、夜ごと剣術修行に励みました。その牛若丸の前にあらわれたのが、羽うちわをもった鞍馬天狗です。牛若丸は、木の根道や僧正ガ谷で天狗から武芸や兵法を習ったと伝わっています。このあたりは陽の光が入るものの、お堂の裏手は木々が奥に奥にとそびえています。どこからか、ふわりと天狗がやってきてもおかしくないほど謎めいた空気に包まれています。さらに奥へ、義経堂を目指します。

義経堂。義経の御魂が鎮まっているとし、遮那王尊として祀られている。

広い鞍馬山のなかでも、もっともエネルギーが満ち溢れているといわれているのが「奥の院魔王殿」です。
650万年前に金星から降臨したというサナート・クマラ(魔王尊)が祀られています。鞍馬という地名はクマラに由来するものといわれています。御堂の下には、宇宙に通じる口が開かれているそうです。
こちらでも本殿金堂と同じく、手のひらを上に掲げてお祈りをする人が多くみられます。敏感な人なら、本殿金堂よりもこちらの魔王殿のほうがさらにパワーを感じられるそうです。ちなみに太古の昔、魔王殿のあたりは海だったそう! 鞍馬山の標高は569メートル、しかも海から遠く離れています。ここが海だったというのは信じがたいエピソードですが、事実、魔王殿を支えている石灰岩は、サンゴやウミユリなどの化石を含んでいます。鞍馬山は約2億5000万年前、海底火山の隆起によって生まれたとされているためです。ここから先は蛇行する山道になります。道を下り西門を出ると、料亭やみやげ店が立ち並ぶ貴船の里に到着します。

京産大からかなり近い場所に、パワーがこんなにもみなぎるスポットが存在するとは、かなり驚きでした。
パワーを存分にいただいたら、頭も体もすっきりしているのではないでしょうか。何かいいことが訪れそう……、そんな予感があるかもしれません。そして、鞍馬寺でいただいたエネルギーが、勉強やクラブ活動、アルバイトなど日々の活力になるといいですね。

参考文献

  • 『御朱印でめぐる京都の古寺 改訂版』/ダイヤモンド・ビッグ社
  • 『歩いて検定 京都学』著 薄雲鈴代/山と渓谷社
  • 『京の寺 不思議見聞録』著 佐々木昇/光村推古書院
  • 『鞍馬山の植物』著 永井かな/鞍馬弘教総本山鞍馬寺出版部
  • 『新版 京都14 鞍馬寺』著 信樂香仁・道浦母都子/淡交社
  • 『古寺巡礼 京都の古寺II 洛西・洛北・洛南・宇治』/JTBパブリッシング
  • 『総合ガイド1 鞍馬山/貴船渓谷』京都滋賀自然観察会 編/京都新聞社

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