【経済学部】講談で学ぶ江戸時代の日本経済

2023.07.12

講談師の玉田 玉秀斎氏
経済学部の専門教育科目「日本経済史A」(担当:井奥 成彦非常勤講師)で、上方講談師の玉田 玉秀斎氏による講談授業が行われました。
この「日本経済史A」は今日の日本経済の源流をなすとみられる江戸時代にスポットを当てて今後の日本経済がどうあるべきかについて考える授業です。今回は歴史的事実を踏まえたインパクトのある講談で語ってもらうことによって、近世の日本経済についての印象を深められる講義となりました。
(学生ライター 国際関係学部 1年次 和田垣 遥奈)
講談師の紹介
玉田 玉秀斎(たまだ ぎょくしゅうさい)
幕末、京都を拠点に活躍した神道講釈師・玉田永教の流れを汲む玉田家の四代目。ロータリー交換留学生としてスウェーデンに留学中、逆に日本に興味を持ち、2001年、四代目・旭堂南陵へ入門。2016年、四代目・玉秀斎を襲名。
講義冒頭、井奥非常勤講師から今回の授業の趣旨について説明があった後、講談に入る前に玉田氏から講談そのものについて教えていただきました。講談とは張り扇や拍子木でリズムを取りながら話をする日本の伝統話芸であり、落語や漫談、雑談とはよく間違われるが別のものとのことです。
なお、よく耳にすることがある出版社名で講談社は、講談速記本を出版していた出版社で、唯一現存する出版社です。
私たちは講談を説明する玉田氏の巧みな話芸からだんだんと話に引き込まれていきました。

今回の授業で取り上げられた講談のタイトルは「おぼろの便り」。舞台は大阪と敦賀。おぼろ昆布を通して師弟間の人情が描かれた作品です。
内容
当時の大坂は天下の台所と言われ、名物は昆布でした。数多くある昆布屋の中でもカネキ屋清兵衛はその削ぐ技術が非常に高くて有名でした。そのカネキ屋を訪れたのが、敦賀の昆布屋で大倉屋勇吉とその妻。そこで、大倉屋は不思議な事を言いました。
「聟(むこ)、丹精のおぼろ昆布を味見してほしい」
清兵衛は訝りながら、奥へと通すと、そのおぼろ昆布を口に含み、何かに気付き目を閉じました。静かに目を開けると
「大倉屋さん、聟殿は敦賀の方でございますか」と問うと、大倉屋は
「いえ、それがようわからんのでございます」と答えました。
「聟殿のこと、詳しくお話くださいませんか」と清兵衛が願うと
「実は…」と大倉屋は聟の忠七について語り始めました。
おぼろ昆布が織りなす人生模様。この続きはまたの機会のお楽しみ。
初めて講談を聴きましたがとても面白く、最終的にタイトルの「おぼろの便り」の意味が分かるところが感動的で楽しかったです。学生の皆さんも講談にのめりこみ集中して聴いていて、講談が終わると拍手喝采でした。
「おぼろの便り」の講談を通じて、江戸時代に商売が盛んであった場所や、当時の敦賀が有名な港であり、また主要な航路の寄港地であったこと、そして江戸時代の人・物・お金・情報の流れを学ぶことができました。
この講談を通して江戸時代の日本経済史を学べるのは素敵で羨ましいと思いました。