【文化学部】奥が深い!屏風(びょうぶ)の世界を学ぶ
2022.06.15
京都産業大学では、博物館で専門的職員として働く学芸員の資格を取得するための「学芸員課程」を開設し、全ての学部生に門戸を開いています。
その必修科目の一つである「博物館実習Ⅱ」で、本学日本文化研究所所蔵の「洛外図屏風」の調査が行われました。今回授業を担当するのは、民俗学の研究をしておられ、海外での研究経験もある文化学部の村上 忠喜 教授です。授業では、まずは屏風についての基礎知識、取り扱い方法を学び、その上で実際に調査するという流れで行われました。
その必修科目の一つである「博物館実習Ⅱ」で、本学日本文化研究所所蔵の「洛外図屏風」の調査が行われました。今回授業を担当するのは、民俗学の研究をしておられ、海外での研究経験もある文化学部の村上 忠喜 教授です。授業では、まずは屏風についての基礎知識、取り扱い方法を学び、その上で実際に調査するという流れで行われました。
(学生ライター 現代社会学部 1年次 釆野 愛梨)
屏風は、人目や風を遮断するための道具です。日本では、奈良時代(西暦710年~)から用いられるようになり、1300年以上もの歴史があります。屛風といえば2枚折のものをイメージするかもしれませんが、4、6、8、10枚折のものもあります。折り目を「扇(せん)」と数え、例えば6枚折(6扇とも数える)の屏風は6「曲」と表します。「曲」は、屏風の面がいくつ曲がっているかを数える単位です。そして、屛風1つを1「隻(せき)」と数えます。ちなみに、部屋の左右に置くために2つで1セットになっている屏風もあり、2つ合わせて1「双(そう)」と数えます。高さも60cm~240cmと非常に幅があることが説明されました。
屏風について学んだ後、実際に調査が始まりました。
今回調査するのは、江戸時代後期から幕末時代に作成されたと考えられる8曲1双の屏風、その左側です。
今回調査するのは、江戸時代後期から幕末時代に作成されたと考えられる8曲1双の屏風、その左側です。

調査step1 屏風を広げる
箱に入った屏風を取り出します。2人がかりで慎重に持ち上げて立てます。その後、1折(1扇)ずつ丁寧に広げますが、乱暴に扱うと破れたり、傷がついたりするため、村上教授が一動作ごとに学生に指示を出しながら広げていきます。

調査step2 撮影会
広げ終わったら、次は屏風の撮影です。きれいに撮れるよう、学生4~5人が屏風の裏側に回って支えたり、2方向からライトで屏風を照らし、明るく写るように配慮したりするなど、良い資料写真を撮れるよう、工夫を凝らして撮影しました。その中で村上教授は、カメラで撮影を行っている学生に適宜アドバイスをされていました。


調査step3 ペアを組み、調査開始!
資料写真を撮影し終わると、学生は2人1組になって1折(1扇)ずつ調査を行います。最も時間をかけて行われたのは、描かれている人の数を数えることです。屏風に描かれている人々の表情や持ち物から、その時代のさまざまなことが分かります。他にも、道や川の描かれ方や色の重ね方など、多様な視点で調査を行います。学生は、しゃがみ込みながら真剣に屏風を観察しメモを取っていました。歴史的資料の調査を行う際、メモやスケッチをするときは鉛筆が使用されます。ペンを使うとインクが飛んでしまい、資料が汚れてしまうため、博物館では鉛筆しか使ってはいけないことが説明されました。

調査step4 調査の結果報告
調査終了後、ペアごとに担当した部分で気になったことを報告しました。報告を受けて村上教授が解説されます。「これ、前に授業で紹介していたものだよ。皆、覚えてる?」など、過去に習った知識をひも付くようにも解説されていました。

調査step5 屏風の片付け
屛風を広げるときと同じように細心の注意を払い、箱に戻します。使用したカメラやライトも撤収し、授業は終了しました。

村上教授の学生への接し方が強く印象に残りました。屏風の調査中に「理系の学生は赤松と黒松の描き分け方に注目したらいいよ」、「美術が好きな人は山の描き方をよく見ると勉強になるよ」など、1つのもの(今回は屏風)をさまざまな視点で捉えることで、より理解を深めることができると教えられていたのが印象的でした。
座学だけでは覚えづらいことでも、実際に目にして解説を聞くと、理解が深まり楽しく覚えられると思いました。
座学だけでは覚えづらいことでも、実際に目にして解説を聞くと、理解が深まり楽しく覚えられると思いました。