【文化学部】京焼・清水焼の魅力をもっと知ろう。これからの伝統工芸のあり方を考えてみよう!!

2023.06.15

京焼・清水焼の魅力は、どのような歴史や文化から生まれてきているのでしょうか。海外の方々を含めて焼き物への関心がさらに高まる中、これからどのような展開が見込まれるのでしょうか。文化学部専門教育科目「京都観光論」(担当 中野 宏幸教授)では、京都の伝統工芸への学びを深めるため、6月7日、江戸時代から200年以上続く五条坂の陶点睛かわさきの8代目当主 河﨑 尚志氏をゲストにお招きし、清水焼の作品を見せていただきながら、伝統工芸を巡る状況や取組についてお話を伺い、理解を深めました。
清水焼を手にしつつ、焼き物の特徴に関する説明をする河﨑氏
京焼・清水焼は、奥田頴川(おくだえいせん)が初めて京都で焼いた磁器でも知られるように、京都では、焼き物に関するさまざまな材料や技術が集結し、個々の求めに応じ、最上の作品がつくりあげられてきています。江戸時代には茶道・華道とともに発展し、陶芸家が個人名を入れるブランド戦略で、営業面でも力を発揮しました。
明治時代になってからはその技術力により、政府における殖産興業政策の中で京薩摩がつくられるなど、西欧のニーズに応じた陶器の輸出やアール・ヌーヴォーの動きに呼応した作品づくりが行われていました。産業用陶磁器である碍子(がいし)の製造がセラミックス産業に発展しているように、京都の伝統工芸は、ものづくりの先端産業を生み出す土壌形成にも寄与してきています。
そして今、清水・東山エリアには、新型コロナウィルス感染症の状況の改善の中、清水焼に関心をもつ多くのインバウンド(訪日外国人)旅行客が訪れています。海外の方向けには、アジアのお茶の文化が大切にされることに応じて、小ぶりの陶器をつくるなどの工夫が重ねられているとのことでした。
最後に、河﨑氏から「工房を訪れて作り手の技と工夫について話を伺うとともに、博物館や美術館を訪れ、歴史を超えて、多くの目が注がれてきている名品をみて、感性を磨いてほしい」とのメッセージが伝えられました。
授業の趣旨・構成を説明する中野教授
清水焼の作品を実際にみながら、河﨑氏に熱心に質問をする学生
学生からは、「焼き物にはさまざまな形があることを学び、焼き物への目線が変わった」「進化していこうという力があることはすごいと思ったし、守っていかなければならないということを強く感じた」「私たちのような学生がもっと伝統工芸品に興味をもって学びを進めることにより伝統が継承されていくと思った」「伝統工芸品を知るためには、使ってみて、自分なりに解釈することが大切と思った」等といった感想がありました。
京都で、より多くの伝統工芸に触れ、その歴史やさまざまな訪問者のまなざしに思いをよせながら、これからの伝統工芸のあり方について学びを深めてほしいと思います。