2026.08.25

すばる望遠鏡のアーカイブから見つかった彗星の素顔

彗星は約46億年前の太陽系誕生当時の物質を今に残す「タイムカプセル」と考えられています。しかし、本体である彗星核は太陽に近づくとガスや塵の雲(コマ)に覆われるため、地上から直接観察することは容易ではありません。

京都産業大学の河北秀世 教授(理学部 宇宙物理・気象学科/神山宇宙科学研究所)と新中善晴 専任専門員(研究機構/神山宇宙科学研究所)らが参加する研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ HSC の公開アーカイブデータから、コマのない状態で偶然撮影された彗星を発見し、地上観測としては世界で初めて彗星核表面の反射特性を精密に測定することに成功しました。彗星と小惑星の違いや、彗星がどのように進化してきたのかを理解する新たな手掛かりとなる成果です。

本研究成果は、2026年8月25日付の『日本天文学会欧文研究報告(PASJ)』に掲載されました(Ootsubo et al. "Opposition effect of comet 28P/Neujmin observed with Subaru Hyper Suprime-Cam")。論文のプレプリント(arXiv:2608.11082)も閲覧ください。

研究の詳細は国立天文台すばる望遠鏡リリースページをご覧ください。

図1:すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCが捉えていたネウイミン彗星(白枠とその拡大画像の中心)。画像は、HSCの104枚の検出器のうちの1枚が写したもので、ネウイミン彗星の他に2000個以上の星や銀河が写っています。2016年3月7日に撮影。
(クレジット:国立天文台)

掲載論文

題名 Opposition effect of comet 28P/Neujmin observed with Subaru Hyper Suprime-Cam
著者

Takafumi Ootsubo, Hideyo Kawakita, Tadafumi Takata, Junko Furusawa, Hisanori Furusawa, Tsuyoshi Terai, Toshihiro Kasuga, Akira Keida, Yoshiharu Shinnaka, Fumi Yoshida, Seitaro Urakawa

※下線は本学関係者

掲載雑誌 Publications of the Astronomical Society of Japan
DOI 10.1093/pasj/psag088

本成果は、すばる望遠鏡で取得され、国立天文台の天文データセンターとハワイ観測所が運用するHSCデータアーカイブシステムから取得したデータに基づいています。また、本研究は科学研究費補助金(課題番号:23H01234、23K25930、24H00271、23H01217、23K25913、23K22557、24K00684、25K24630、25K07393)による支援、およびNEDO「高効率・高速処理を可能とするAIチップ次世代コンピューティングの技術開発」事業の「超大規模データ解析:e-Scienceへの適用」の協力により実施されました。

すばる望遠鏡について

すばる望遠鏡は自然科学研究機構国立天文台が運用する大型光学赤外線望遠鏡で、文部科学省・大規模学術フロンティア促進事業の支援を受けています。すばる望遠鏡が設置されているマウナケアは、貴重な自然環境であるとともにハワイの文化・歴史において大切な場所であり、私たちはマウナケアから宇宙を探究する機会を得られていることに深く感謝します。

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