河北 秀世

KAWAKITA HIDEYO
理学部 宇宙物理・気象学科 教授
学位
博士(理学)
専門分野
天文学、惑星科学

研究テーマ

太陽系の起源と銀河の化学進化

高校生に向けた研究内容の紹介

太陽系は46億年前に、銀河系のなかでガスやダストがあつまってできました。生命に溢れた地球が、どのような歴史を経て誕生したのかを明らかにするためには、太陽系誕生時からほとんど変化せずに存在している「生きた化石」である氷小天体「彗星」を研究することが必要です。海外の大型望遠鏡を使って、彗星に隠された太陽系誕生の秘密を探ります。また、太陽系の材料を作った銀河系内のさまざまな種類の天体についても、神山天文台で開発した新規装置を駆使して調べています。関連企業と協働して新規装置の開発にも力を入れており、「モノづくり」をリスペクトしています。

ゼミナール/研究室のテーマ

銀河系の物質化学進化と太陽系の起源

太陽系は46億年前にガスと塵の「分子雲」から誕生。分子雲のガスや塵は、さまざまな天体から放出され熱いガスが冷え、より複雑な分子が化学反応でつくられました。特別な測定装置を神山天文台で開発して天体を観測し、諸天体の元素合成や物質放出、化学進化を明らかにしています。


※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。

ゼミ/卒業研究の紹介

天体を観測して得られたデータを物理学を駆使して読み解く、というスタイルが基本です。ただし、観測には独自に開発した装置を用い、その動作原理を深く理解した上で観測から最大限の情報を引き出す点が、神山天文台を中心として実施している各種プロジェクトの特徴です。独自装置の改良・開発も常に推進しており、遠い宇宙で起こっている出来事だけでなく、望遠鏡や天文観測装置で起こっている光の屈折・反射、機械の変形、熱伝導・熱輻射、半導体における光-電子変換など様々な物理現象も含めて、自然現象を物理学を通じて理解することを重視しています。こうした光の計測技術は、半導体産業やバイオ産業など工学的応用にも通じています。

プロフィール

大阪生まれ。中学卒業後、大阪府立工業高等専門学校(電気工学科)で5年間学び、磁性体の測定機器製作を卒業研究とする。その後、京都大学工学部(情報工学科)に3年次から編入、同大学院工学研究科(修士課程・情報工学専攻)を経て、シャープ株式会社へ就職しパソコンの開発業務に携わる。社会人になってから趣味で彗星の観測研究を開始し、公開天文台で観測や研究を実施、1998年に群馬県立ぐんま天文台に転職。2005年から京都産業大学・理学部。

高校生へのメッセージ

私は、天文学を大学で学んだことはありません。それでも国内外から賞をいただいたり、それなりの成果をあげられたのは、天文学の基礎になる物理学やコンピュータ技術を学んでいた経験があったからだと思います。基礎をしっかり身につければ、その応用は、あまり大変なことではありません。物理現象の裏にある基本的な性質を見逃さないセンスを磨きましょう。私の場合は、実験をしたり、観測をしたり、実際のデータに触れることが非常に役に立ちました。