皆さんは学生時代をどのように過ごすことを目標にしていますか。
本学卒業生である平野 瑳織(ひらの・さおり)さんは、在学中から現在に至るまで、ボランティア活動に熱心に取り組んでいます。平野さんの所属する「TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会) 」は日本に暮らす外国人労働者・難民の方々を支援する団体で、関西一円の市民や学生が中心となり活動しています。今回は、TRY に所属する卒業生である平野さんにボランティア活動についてインタビューを行いました。
なぜボランティア活動に参加したのですか?

もともと「人の役に立ちたい」という思いがありましたが、ある時、TRYが企画する「(難民に関する)映画上映会」の設営ボランティアスタッフ募集の案内が、大学の電子掲示板POSTに掲載されているのを見て、参加したことがきっかけでした。その時に、この団体を紹介していただきました。「まずはお試しでやってみよう!」という気持ちで参加したことを、今でもよく覚えています。
TRYの活動ではどのようなことをするのですか?
一言でまとめると、外国人労働者や難民の方々の基本的な人権を守るために活動しています。具体的には、
① 裁判資料や難民申請などの翻訳、裁判の傍聴活動
② 難民の方との面会・サポート
③ 映画鑑賞会の企画のような普及活動
などの取り組みを行っています。活動に参加したばかりの頃は、日本の外国人労働者や難民の現状※に関する学習会に出席し学ぶことから始めました。

TRYの活動の中にある、①「裁判資料や難民申請などの翻訳、裁判の傍聴活動」とは、ボランティアの方々は実際にどのようなことをするのか教えてください!
難民申請が認められるためには、母国に帰れない理由を、客観的な証拠によって示す必要があります。その証拠資料には、すべて日本語の翻訳を添えて提出する必要があります。私たちはその翻訳作業のサポートをボランティアとして支援しています。
TRYの活動②「難民の方との面会・サポート」について、収容施設の方との面会活動 とはどのようなことをしていますか?また、印象に残っている事はありますか?
大阪出入国在留管理局(通称:大阪入管)では、1人の収容者に対して30分間の面会が許されています。そこでは、施設の食事内容や健康状態、裁判の進行状態などの話を聞いてサポートを行っていきます。
サポートについては、TRYの会議で意見交換を行った上で行います。加入当初の私は、会議で意見を出すことができなかったのですが、 現状を変化させるためには、自分も意見を出すことや知らないことを恥ずかしがらず、他人に教えを乞うことが大切だと気付かされました。今思うと、この考え方が「自分を成長させる機会」になっていたと思います。

TRYの活動に、③「映画鑑賞会の企画のような普及活動」とありますが、どのようなことをするのでしょうか。また、「映画観賞会によるPR活動」 を通して、どのような感想をもちましたか?
映画鑑賞会の宣伝 活動に参加して最初に感じたのは、「そもそも自分の話を聞いてくれる人が少ない」ということでした。こちらに関心を向ける人はほとんどおらず、なかなか興味を持ってもらうことができませんでした。
そこで自分事として興味を持ってもらえるように、「複雑な事情で移り住んだ国で、難民の方のような暮らしをすることになったら」と想像できるようなPRの方法に変えてみたところ、イベントの参加者数が以前の3倍に増えるケースも出てきました。

学生の皆さんに向けてのメッセージをお願いします。
今回のボランティア活動を通じて、難民の方々も一人の人間として安心して暮らせるような手助けができればと感じました。TRYでのボランティア活動は、人の役に立つだけでなく、自分の学びや成長に繋がることが多くあり、ボランティアに挑戦をしてよかったと思います。
ボランティア活動に挑戦したことで、視野を広げる希少な経験をすることができたので、この経験から得た「自ら学び、考え、行動する力」と「自分ごととして捉え、相手に寄り添う力」に自信を持つことができました。皆さんも学生生活の中で、何かに挑戦をしてもらえたらと思います。
TRY https://linktr.ee/try.together
TRY Xアカウント https://x.com/try_sonota
私も平野さんに刺激をもらった影響で、ボランティア活動を始めました。 本学には多種多様な活動を行っている学生がいます。色々な所にきっかけが転がっていると思いますので、皆さんも勇気をもって挑戦をしてもらいたいと思います。
Writer
取材をした人

外国語学部3年次