【外国語学部】「We are all different」—LGBTQコミュニティへの偏見をなくすには
2022.12.14

外国語学部のアジア言語学科英語教職課程関連選択必修科目「異文化理解概論(担当:浅羽 真由美准教授)は、異文化理解を深めるために「文化とは?」「異文化間で起きる差別とは?」などを題材として、多様性のある社会に順応するための知識やスキルを習得する授業です。今回のゲストスピーカーは、以前本学の教員として教壇に立たれていたグローテ ジョアンナ ヨシ (グローテ ジョアナ キャロライン)氏をお招きし、自身のバックグラウンドを踏まえながら日本における「LGBTQ」についてお話しいただきました。
(学生ライター 外国語学部4年次 瀬戸 うた)

ヨシ氏はイギリスで生まれ、幼い頃から父親の仕事の関係でポーランド、シンガポール、フィンランド、スイスなど10カ国以上で暮らし、多くの異文化経験をされてきました。現在はパートナーと子供の3人で京都に住まれています。
講義の冒頭に、「LGBTQIA+」について、それぞれのアルファベットが意味する言葉を知っているかを学生に問われました。
講義の冒頭に、「LGBTQIA+」について、それぞれのアルファベットが意味する言葉を知っているかを学生に問われました。
L=Lesbian(レズビアン):体と心の性別は女性、性的指向も女性。
G=Gay(ゲイ):体と心の性別は男性、性的指向も男性。
B=Bisexual(バイセクシャル):体と心の性別を問わず、性的指向が両性。
T=Transgender(トランスジェンダー):心と身体の性別が一致しない。
Q=Queer(クイア):すべての性的マイノリティを表す。
Questioning(クエスチョニング):自分の性別や性的指向を決められない、迷っている。
I=Intersex(インターセックス):体の性の発達が一般的な発達とは生まれつき一部異なる状態のこと。
A=Asexual(エイセクシャル):同性異性関わらず恋愛感情を持たない、性的指向が誰にも向いていない
Ally(アライ):性的マイノリティの人を理解し支援する人達のこと
+=上記以外の性を表す
引用:https://eleminist.com/article/912
G=Gay(ゲイ):体と心の性別は男性、性的指向も男性。
B=Bisexual(バイセクシャル):体と心の性別を問わず、性的指向が両性。
T=Transgender(トランスジェンダー):心と身体の性別が一致しない。
Q=Queer(クイア):すべての性的マイノリティを表す。
Questioning(クエスチョニング):自分の性別や性的指向を決められない、迷っている。
I=Intersex(インターセックス):体の性の発達が一般的な発達とは生まれつき一部異なる状態のこと。
A=Asexual(エイセクシャル):同性異性関わらず恋愛感情を持たない、性的指向が誰にも向いていない
Ally(アライ):性的マイノリティの人を理解し支援する人達のこと
+=上記以外の性を表す
引用:https://eleminist.com/article/912

このように表記されているものの、人によっては混ざったり変化したりするように、一人一人違うジェンダーアイデンティティを持っているため、これがすべてではないとのことです。
日本における「LGBTQ」の問題とは?

一番大きな問題とは「Visibility(可視性)」とのことで、日常生活や学校でもLGBTQアイデンティティに触れる機会が少ないために、「Invisible(目に見えない、隠れている)」になっています。10年前に行われた調査で「あなたにはLGBTコミュニティに属する友達、親戚、同僚がいますか?」という問いに対して、世界16カ国では「はい」と答えた人が46%いたに対し、日本ではたった5%しかいませんでした。現在では少しずつ変化してきているものの、まだまだLGBTQに対する世界とのギャップは大きいと感じます。
なぜいまだに日本ではLGBTQコミュニティは”Invisible”なのか?
学生からは「LGBTQに属すると伝えることで人間関係が壊れることを恐れているのでは?」「世間から見てLGBTQコミュニティはマイノリティだからでは?」という意見などが挙がりました。ヨシ氏は日本の社会が持つ「Collectivism(集団主義)」「Harmony(調和)」「Indirectness(間接的)」「Marriage(結婚)」の要素が大きく関わっているのではと説明されました。過去にLGBTQコミュニティの学生にインタビューをすると、周りに溶け込めないなど、自身のジェンダーアイデンティティに対してネガティブな意見も多く聞かれたそうです。日本人の性格や文化もLGBTQへの考え方とつながっていることが分かります。
学生からヨシ氏への質問コーナー
Q:両親に自身が「ゲイ」だと話した時の反応は?
A:両親には28歳頃まで話したことはなかったです。彼らは特に何を言うこともなく大丈夫でした。
Q:もし友達からカミングアウトをされたとき、どのように反応すればよいのでしょうか?
A:正直に伝えると良いと思います。感情を隠すよりも、「驚いた」と正直に思ったことを伝えてください。
Q:パートナーとヨシ氏どちらかが夫のポジションなのですか?
A:ゲイカップルの中には、片方がより男性的であったり女性的であったりしますが、パートナーと私はとても似ていて、私たちの場合はそういったポジションはないです。
Q:日本のLGBTQコミュニティにおいて大変なことはなんですか?
A:私たちはイギリスで結婚をしましたが、日本では私たちの結婚は合法ではありません。そのため、もし自分が亡くなった時の遺産相続や、パートナーと共に銀行口座の開設、家を購入するといったことは公的には認められないといったことが問題だと感じています。しかし日本でもパートナーシップ制度が認められている都道府県も増えてきたので良い方向に変わっていると感じます。
Q:どのようにして子どもを授かったのですか?
A:養子を授かるという方法もありますが、私たちはイギリスでは一般的な方法で子どもを授かりました。私たちの親友に精子提供をしてもらい、体外受精を行いました。生物学上は私が母親ですが、産みの親はパートナーです。そのため子供には2人の母親がいるということになります。
Q:子どもにはどのように説明したのですか?
A:イギリスでは私たちのように子どもを授かると決めた際、心理学者と話さなければなりません。彼らはすべてを正直に話すべきだと言っていました。そのため幼い彼女に難しい言葉を使いながらも詳しく説明しました。彼女もすべては理解できなかったようですが、自分の出自に関して概ね伝わったようです。
Q:どの国が一番LGBTQコミュニティに寛容ですか?
A:正確に答えることは難しいですが、同性婚が合法の国は欧米諸国に多いです。アフリカや東南アジアでは同性婚に対して厳罰が下されることもあります。日本でも性別を変えることはできますが、さまざまな手続きが必要となるため難しいです。
Q:LGBTQに対する偏見をなくすためにできることは?
A:私たちができることはたくさんあると思いますが、「Educate yourself(自分で学ぶ)」「Be an Ally(Allyになる)」「Don’t assume(思い込みは良くない)」「Ask question(質問をする)」ことが特に必要だと感じます。言葉や言い回しに気を付けるなど、今からでもできることがたくさんあります。教育現場でもLGBTQコミュニティに対する配慮が足りないことがあります。そういった場合に先生や制度に対して意見することも大切です。そうして少しずつ変えていくことが必要だと思います。実際に京都レインボーパレード(※京都のLGBTコミュニティ「そらにじ」が主催するパレードのこと)に参加するなどできることはたくさんあります。
※Ally=LGBTQコミュニティを理解し支援する人々
A:両親には28歳頃まで話したことはなかったです。彼らは特に何を言うこともなく大丈夫でした。
Q:もし友達からカミングアウトをされたとき、どのように反応すればよいのでしょうか?
A:正直に伝えると良いと思います。感情を隠すよりも、「驚いた」と正直に思ったことを伝えてください。
Q:パートナーとヨシ氏どちらかが夫のポジションなのですか?
A:ゲイカップルの中には、片方がより男性的であったり女性的であったりしますが、パートナーと私はとても似ていて、私たちの場合はそういったポジションはないです。
Q:日本のLGBTQコミュニティにおいて大変なことはなんですか?
A:私たちはイギリスで結婚をしましたが、日本では私たちの結婚は合法ではありません。そのため、もし自分が亡くなった時の遺産相続や、パートナーと共に銀行口座の開設、家を購入するといったことは公的には認められないといったことが問題だと感じています。しかし日本でもパートナーシップ制度が認められている都道府県も増えてきたので良い方向に変わっていると感じます。
Q:どのようにして子どもを授かったのですか?
A:養子を授かるという方法もありますが、私たちはイギリスでは一般的な方法で子どもを授かりました。私たちの親友に精子提供をしてもらい、体外受精を行いました。生物学上は私が母親ですが、産みの親はパートナーです。そのため子供には2人の母親がいるということになります。
Q:子どもにはどのように説明したのですか?
A:イギリスでは私たちのように子どもを授かると決めた際、心理学者と話さなければなりません。彼らはすべてを正直に話すべきだと言っていました。そのため幼い彼女に難しい言葉を使いながらも詳しく説明しました。彼女もすべては理解できなかったようですが、自分の出自に関して概ね伝わったようです。
Q:どの国が一番LGBTQコミュニティに寛容ですか?
A:正確に答えることは難しいですが、同性婚が合法の国は欧米諸国に多いです。アフリカや東南アジアでは同性婚に対して厳罰が下されることもあります。日本でも性別を変えることはできますが、さまざまな手続きが必要となるため難しいです。
Q:LGBTQに対する偏見をなくすためにできることは?
A:私たちができることはたくさんあると思いますが、「Educate yourself(自分で学ぶ)」「Be an Ally(Allyになる)」「Don’t assume(思い込みは良くない)」「Ask question(質問をする)」ことが特に必要だと感じます。言葉や言い回しに気を付けるなど、今からでもできることがたくさんあります。教育現場でもLGBTQコミュニティに対する配慮が足りないことがあります。そういった場合に先生や制度に対して意見することも大切です。そうして少しずつ変えていくことが必要だと思います。実際に京都レインボーパレード(※京都のLGBTコミュニティ「そらにじ」が主催するパレードのこと)に参加するなどできることはたくさんあります。
※Ally=LGBTQコミュニティを理解し支援する人々
最後にヨシ氏から学生へメッセージ
「We are all different(私たちは全員違います)」。しかし人間は「違い」を恐れます。ただしその違いに対して詳しくなれば、恐れは小さくなるはずです。そのために自分とは違う人と「対話」をすることも違いを知る重要な一歩となります。「It is getting better. Be part of the positive change.」(世の中は良くなってきています。ポジティブな変化の一部になりましょう)
【取材後記】
今回の授業は他クラスの教員と学生も参加しており、ディスカッションではそれぞれのグループで積極的に意見交換をしている場面がありました。取材後に学生へインタビューをすると、「LGBTQコミュニティの話題はインターネット上でしか知らなかったため、実際に話を聴けてとても興味深かった」「今回話を聴いて、人間は一人一人違うと改めて思った」と話しており、学生にとって「違い」を学ぶ貴重な機会となりました。私自身もヨシ氏のバックグラウンドや日本のLGBTQコミュニティに関する話を聞いたことで、自分の知らない世界をさらに身近に感じることができました。
今回の授業は他クラスの教員と学生も参加しており、ディスカッションではそれぞれのグループで積極的に意見交換をしている場面がありました。取材後に学生へインタビューをすると、「LGBTQコミュニティの話題はインターネット上でしか知らなかったため、実際に話を聴けてとても興味深かった」「今回話を聴いて、人間は一人一人違うと改めて思った」と話しており、学生にとって「違い」を学ぶ貴重な機会となりました。私自身もヨシ氏のバックグラウンドや日本のLGBTQコミュニティに関する話を聞いたことで、自分の知らない世界をさらに身近に感じることができました。

