野村證券(株)提供講座「経済学部 現代証券市場論」〜資本市場における投資家心理〜

2022.01.07

講師を務めた塚嵜 智志氏

経済学部では、証券市場における資金調達や運用、リスク管理や今後の動向などについて学ぶ「現代証券市場論」を開講しています。この授業では、野村證券株式会社の現役社員の方から、証券市場における最新の情報を学ぶことができます。今回は、金融公共公益法人部の塚嵜 智志氏に登壇いただき「資本市場における投資家心理」をテーマに講義が行われました。

(学生ライター 経済学部4年次 小林 礼夏)


未来の不確かな見通しのもとで、選択・意思決定が求められる投資において、注意すべきことは何でしょう。投資家は取引において合理的な行動を取ることが必要不可欠です。しかしながら私たち人間は一時的な感情や思い込みによって合理的ではない行動をとってしまいます。それを避けるために、投資家心理について学ぶことはとても重要なのだそうです。
どのような状況で心理的なバイアスがかかり合理的でない選択をとってしまうのか、塚嵜氏は以下のような問いを交えながらわかりやすく解説されました。

「ジョンはアメリカ人である。学生時代の友人は彼を次のように評している。『彼はとても物静かでよく勉強していた。整理整頓が得意で、細かいところにも気が付く人だ』。では、現在のジョンの職業は図書館員、セールスマン、どちらがもっともらしいと考えるか?」

この問いに対し多くの学生が図書館員に手をあげていました。これは、典型的と思われるものを判断に利用してしまう「代表性ヒューリスティック」という心理が働いています。アメリカで図書館員の人数はセールスマンより遥かに少ないという確率的な情報は完全に無視されており、合理的な選択とはいえません。

その後、塚嵜氏はこういった心理が投資行動にも表れていることを実際のデータを用いて解説され、学生から質問を集め双方向のコミュニケーションを取りながら授業を進めて行く中で、学生の理解が進み、深まって行く様子でした。

投資家心理を学び合理的に判断する力を養うことは、投資だけでなく日々のさまざまな選択でも最善の選択をする際に役立ちます。ついつい思い込みや目の前の情報だけで判断してしまいがちですが、周りの情報に流されず正しい選択を取る力を学生のうちに養っていきたいです。

塚嵜氏に質問をする受講生
講義を熱心に聞く受講生