理学部の二間瀬敏史教授が宇宙膨張についての共著論文を出版
2020.12.03
成果
理学部宇宙物理・気象学科の二間瀬敏史教授は、中央研究院 天文及天文物理研究所(台湾)の研究者らと国際共同研究を行い、新しい共著論文をThe Astrophysical Journalから出版しました。
掲載論文
題目:Standard candles and sirens rescue H0
著者:A. Agrawal, 奥村哲平, 二間瀬敏史
掲載誌:The Astrophysical Journal, 904, 169 (2020年12月1日出版)
また、以下からプレプリント版のダウンロードが可能です。
arxiv.org/abs/2008.00869
著者:A. Agrawal, 奥村哲平, 二間瀬敏史
掲載誌:The Astrophysical Journal, 904, 169 (2020年12月1日出版)
また、以下からプレプリント版のダウンロードが可能です。
arxiv.org/abs/2008.00869
背景
宇宙膨張の速さを表すハッブルパラメーターH0という量があります。宇宙の進化を記述する根源的な物理量の一つとして、様々な観測を用いて測定されてきました。近年、ビッグバンの痕跡である宇宙マイクロ波背景放射で測ったH0の大きさと超新星爆発を用いて測った大きさを比較すると、観測誤差では説明が困難な食い違いがあることが明らかになり、様々な議論や検証が行われている真っ最中です。どちらかの観測が誤っているのでしょうか、それとも背後に新しい物理が隠れているのでしょうか。
研究概要
この論文で二間瀬教授らのグループは、2017年に初観測が実現された連星中性子星(中性子星という超高密度天体が二つペアになってお互いの周りを公転している天体)からの重力波を用いて、ハッブルパラメーターH0が将来計画でどのくらい精密に決めることができるのかを計算しました。重力波を用いる利点は、電磁波とは異なる信号を用いて独立に距離を測ることができるため、電磁波の観測誤差に左右されずに宇宙膨張速度を測定できることです。グループの計算によると、今後10年ほどで観測されるであろう重力波天体の情報を組み合わせることで、ハッブルパラメーター不一致問題に何らかの解決がもたらされることがわかりました。