遠藤 斗志也

ENDO TOSHIYA
生命科学部 先端生命科学科 教授
学位
理学博士
専門分野
構造生物学、分子細胞生物学

研究テーマ

ミトコンドリアはどうやって作られるか

高校生に向けた研究内容の紹介

私たちが生きていく上に不可欠なエネルギーをつくり、様々な役割を果たしているミトコンドリア。ヒトの健康や病気、老化とも深い関係にあるミトコンドリアは、1000種類くらいのタンパク質と数百種類の脂質と様々な小分子からできています。ミトコンドリアが細胞の中でどのようにつくられるのか、そしてミトコンドリアはどのように元気な状態に保たれるのか、こうした問題について、生化学、細胞生物学、構造生物学などさまざまな手法を使って研究しています。最近は特に、クライオ電子顕微鏡を使ったタンパク質の構造解析や、顕微鏡を使って細胞の中を詳しく見る方法に力を入れています。

ミトコンドリアのしくみを解明し、生命と健康の根元に迫る

私たち生物の基本単位は細胞です。元気な細胞をつくることが健康に重要であり、そのためにはエネルギーを作り出す元気なミトコンドリアが維持されることが重要です。当研究室では、外部の研究機関にも拠点を置き、ミトコンドリアの主要材料であるタンパク質がミトコンドリアの外で作られてから、どのようにミトコンドリア内に運ばれ、機能を発現していくのか、その仕組みを研究しています。この原理を解明することで、健康に長生きする方法の獲得につながるのではないかと考えています。

遠藤教授の研究室で構造を解析したタンパク質が通る孔(左)と脂質を運ぶ輸送タンパク質(右)

ゼミナール/研究室のテーマ

細胞がミトコンドリアをつくるしくみ

ミトコンドリアは生命活動に必要なエネルギーを作り出す細胞内小器官で、老化、病気、健康維持との関係も注目されています。ミトコンドリアはどうやってつくられ、正しく働けるようになるのか、タンパク質や脂質の交通、機能発現のしくみを研究します。

ゼミ/卒業研究の紹介

研究内容に関連した研究テーマが卒業研究(特別研究)のテーマとして与えられます。研究期間としては短いので、テーマとしては小さくなりますが、そのなかで、文献調査、実験の進め方の基本、論理的な考え方、プレゼン方法などを学んでいきます。大学院に進学する人は、ここでの経験が修士の研究において重要になってきます。

プロフィール

東京で生まれ育った「昭和世代」です。科学に夢があった時代、21世紀の世界を楽しみに育ちました。小学校5年に大阪に引っ越して、関西の文化にカルチャーショックを受けました。高校卒業までは、住んでいるところも高校も大阪城のすぐ近くでした。その後大学と大学院で再び東京に戻りました。群馬県桐生市の群馬大学夜間短大で助手として研究者のキャリアをスタート。昼間働いて疲れているのに、夜元気に短大にやってくる学生たちに感心しました。そしてスイスのバーゼル大学に留学。海外で文化の多様性、研究の「世界標準」に触れたことは大きかったです。日本に戻ってきて、名古屋大学理学部化学科で研究室をスタート。化学と生物の両方の教育に関わりました。20年以上名古屋にいましたが心機一転、2014年に京産大にやってきました。

高校生へのメッセージ

大学は、授業を受けることが中心の高校の延長ではありません。これまで、授業を聞いていて気になったことや本を読んでいて面白いと感じたことをきっかけとして、その先にあるものを自分から求めていくことで、学問や研究の面白さに目覚めていく学生をたくさん見てきました。目覚めた学生は高いレベルの研究や仕事ができる人へと成長していきます。目覚めるためには、新しいものに踏み出すことを躊躇しないことが大切です。目覚めるのは大学に入る前からできます。自分で興味の扉を開けてほしい。そうすると別の世界が広がっていきます。本を読むのでもいい。そして本を読んでスゴイと思った著者に、コンタクトをとってみてもいい。いろいろな人と会うのでも、学校の勉強と関係のないことでもいいから、とにかく自ら踏み出していくことで、目覚めて欲しい。世の中には分からないことがたくさんあるという当たり前のことに知ること。人類が他の生物と違うのは、先人たちが積み上げてきた「共通の知」を持っていることです。そして皆さんも研究を通じて、分からないことの答えを探すことによって、この知に新たな知を付け加えることができるということを知っておいて下さい。