文化学部文化構想学科の桑原 夏子 准教授のゼミ(「国際文化基礎演習」、「国際文化演習Ⅰ」、「国際文化演習Ⅱ」)では、7月に大塚国際美術館に見学に出かけ、大塚オーミ陶業株式会社の手がけた世界の名画の原寸大陶板作品を目の当たりにしました。このような陶板でできた作品は、キャンパスのなかでも真理館吹き抜けの大イチョウ、天地館1階の12星座、図書館の葵祭などあちこちで見ることができます。これらも全て大塚オーミ陶業株式会社が手がけたものであり、そして同社の現社長、大杉 栄嗣氏は京都産業大学の卒業生なのです。縁あって、10月初旬、桑原准教授と大杉社長との面会が叶い、貴重なお話を伺うことができました。
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大杉社長から、記念にフェルメール作《真珠の耳飾りの少女》の陶板作品を頂戴しました。
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大塚オーミ陶業株式会社はやきものの町、信楽を本拠地とし、さまざまな製品を手がけるとともに多岐にわたる事業を展開しています。陶板は非常に頑丈であり、数千年経っても色が褪せることはありません。美術作品はオリジナルの状態を保つよう保存されますが、自然災害などの不慮の事態に見舞われるリスクを考えたとき、陶板による再現作品があることの意義はより切実に実感されます。
また、日本に住む私たちは気軽にヨーロッパやアメリカに出かけることはなかなかできません。西洋美術作品の鑑賞は、展覧会、もしくは映像や図鑑、あるいはスマートフォンやパソコンの画像を通しての体験となることが大半です。私たちは見たい作品を調べ、その作品に辿り着くことで満足するかもしれません。しかし大塚国際美術館のように陶板による再現作品がずらりと並んでいる場所に身を置けば、「探している作品」ただ一つだけではなく、歩いている最中に偶然、そのほかの第一級の名品たちとも出会えるのです。これはまさしく「セレンディピティ」と言えるでしょう。
その他にも、同社はセラミックアーカイブという、文化財をやきもので記録・保存する取り組みも行っています。今日、情報やデータの保存方法とその変化に対応したアーカイブのあり方は各方面で議論を呼んでいますが、半永久的な素材である陶板による現物保存はこうした議論に新しい可能性を提言するものと言えます。
大杉氏の大学時代のお話、その頃の京都産業大学、大塚国際美術館のプロジェクトと企業による文化支援、複製と再創造の違い、セラミックアーカイブを用いた教育のあり方など、話題は多岐に渡り、話が尽きずあっという間のひとときとなりました。
大杉氏からは同社の信楽工場ショールームに今度ぜひお越しくださいと、暖かくお誘いいただきました。これを機に学生・大学と共に企業がとり組む文化事業について学びを深め、縁を温めていきたいと思います。