2026.10.02

2026年8月能登半島被災地支援活動 実施報告

京都産業大学は、2024年1月の地震および9月の豪雨により大きな被害を受けた石川県奥能登にて、現地支援活動を行ってきました。8回目となる今回は、8月7日から10日にかけ、学生6人と引率者1人の合計7人で、コミュニティ形成を支援する活動に取り組みました。

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今回の活動では、京都女子大学家政学部の支援チームと協働し、長期化する被災生活における健康づくり、関係性づくりに着目した支援活動を行いました。

祭り、つながり、そして地域の魅力に出会った3日間

日程 2026年8月7日(金)~8月10日(月)

活動場所

石川県鳳珠郡能登町
参加者数 6人
活動内容 コミュニティ形成支援

奥能登で何が起きたのかを知る

今回は、はじめて奥能登を訪れるメンバーが多かったため、災害を知るためのスタディツアーから始めました。能登町松波から内浦街道を抜け、珠洲市内へ向かいました。発災直後は地震と津波で倒壊した家屋ばかりだった内浦街道は草の生えた空き地だらけになっていましたが、これまでに参加した学生から当時の風景を説明するなど、過去の支援を現在につなぐことの重要性に、学生は自発的に気づいていたようです。
途中、地震と津波で大きく損壊した見附島に立ち寄りました。実際の風景を目の前にすると、ニュースや写真だけでは感じることのできない災害の大きさが伝わってきます。
その後、珠洲や奥能登のこれからを考える「奥能登アーカイブ」の拠点として設立された「スズレコードセンター」を訪問しました。
そこには、かつて奥能登にあったお店で配られていたマッチ箱の展示や、昔の人々のくらしや賑わいを保っていたころの街のようすを映した写真など、地域のくらしを記録するさまざまな資料が展示されていました。
また、地震後の珠洲のまちを、同じ場所から撮影し続けた「定点観測」の写真も展示されていました。
地震直後、建物が倒壊しているようす、そこから少しずつ建物が撤去され、景色が変わっていく珠洲のまち。
写真を見比べながら、学生たちは、災害によって地域の風景だけでなく、人々のくらしや記憶までもが変化していくことについて考えていました。

星空の下で、地域を楽しむ

ツアーから帰着後、京都女子大学のメンバーとも合流し、夜はみんなでバーベキューを楽しみました。サザエや刺身など、たくさんの差し入れもいただき、学生たちは奥能登の味覚を堪能しました。
そして、夜空を見上げると、そこには一面に広がる満天の星。
「すごい!」
思わず歓声が上がるほどの星空に、学生たちはしばし見入っていました。
災害について学ぶだけではなく、その土地のおいしいものを食べ、美しい景色を楽しみ、人と笑い合う。こうした経験もまた、その地域を知るための大切な一歩です。

海をきれいにしながら、海のことを考える

8月8日の朝は、赤崎の浜でビーチクリーンを行いました。
浜には、流木やロープなどの大きなごみから、細かなマイクロプラスチックまで、さまざまなごみが流れ着いていました。
学生たちは、それらを一つ一つ拾い集めながら、「このごみはどこから来たのだろう」「海の中ではどうなっているのだろう」と、海洋ごみの問題について考える時間となりました。
とはいえ、この日の奥能登は猛烈な暑さ。活動の合間には、差し入れていただいたスイカにみんなでかぶりつき、しっかりと涼をとりました。

赤崎の浜辺でのビーチクリーン

スポーツを通して、世代を超えて交流

午後からは、内浦支所で「ウォーキングフットボールを楽しむ会」を開催しました。
ウォーキングフットボールは、その名のとおり「走らない」サッカーです。「接触しない」というルールもあり、年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが楽しみやすいスポーツです。
今回は、京都女子大学と京都産業大学の学生がボランティアとして企画・運営に携わり、地域から約40名の方にご参加いただきました。

会場には、ウォーキングフットボールだけでなく、健康測定コーナーや遊びのコーナーも用意され、子どもから大人まで、たくさんの方が集まりました。

本学の学生たちは、紙ひこうき飛ばし対決やぬりえ、折り紙などを担当しました。子どもたちと一緒に遊びながら、自然と会話が生まれていきました。
一緒に遊んで、一緒に笑う。そんな時間の中から、人と人とのつながりが生まれていくことを実感する機会となりました。

子どもたちと折り紙を楽しむ参加者の様子

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夜には柳田温泉で汗を流し、活動をふりかえりました。
「今日、何を感じたのか」
「地域の方と話して、何を考えたのか」
「自分たちにできることは何なのか」
一日のできごとを言葉にして共有することで、楽しかった経験を「学び」へとつなげていきました。

風景が語る災害の大きさ

8月9日の午前は、入手した「仮設住宅マップ」をもとに、今までの活動で訪れたことがないエリアを巡りました。
能登半島の先端部を周遊する「奥能登絶景街道」では、土砂崩れや海岸線の隆起により長らく通行止めとなっていましたが、今はほぼ開通し、地震や豪雨によって大きく変化した風景を見ることができます。
美しい海岸線をよく見ると、地震により隆起した港が見えます。山手に目をやると、搔きむしったような山肌はまだ生々しく、見たこともない大きさの落石が転がっています。
絶景のなかに残る災害の痕跡。その景色を実際に目にすることで、自然の力の大きさと、災害が地域に与えた影響を改めて実感していました。

その後、輪島市町野地区を訪れ、「もとやスーパー」でお話を伺いました。
もとやスーパーは、地震と豪雨によって二度の被害を受けながらも、地域のくらしを支えるために再び店を開き、これからの地域づくりに取り組んでおられます。改装中の拠点を見せていただきながら、復興にかける思いを聞かせていただきました。
「地域のお店」が単に商品を売る場所ではなく、人々のくらしを支え、人と人がつながる場所でもあることを学ぶ機会となりました。

「もとやスーパー」で被災からの復興の歩みを学ぶ

大切な思い出を、もう一度持ち主のもとへ

午後は、輪島市南志見地区で行われている「写真洗浄」に参加しました。
写真洗浄は、水害や土砂災害によって汚れてしまった写真を一枚一枚きれいにし、持ち主のもとへ返す活動です。
本学でも、これまで「あらいぐま能登」とのつながりを活かし、学内で写真洗浄活動を行ってきました。短い時間ではあったものの、学生たちは写真を丁寧に拭き上げていました。今回は、写真の洗浄だけではなく、デジタルスキャンなどの新しい手法についても学ぶことができました。
一枚の写真に残されているのは、単なる「画像」ではなく、家族との時間、地域の思い出、そして、かつてのくらしです。
写真をきれいにすることは、そうした大切な記憶を守ることにもつながっています。

南志見での写真洗浄会

共に食べ、語り合う時間から生まれるつながり

午後は、浄土真宗大谷派奥能登ボランティアセンターが行っている「コミュニティ居酒屋」の運営をサポートしました。今回は、豪雨災害で集落が孤立するなど、大きな被害を受けた輪島市本郷地区での開催です。
今回、栄養学を学ぶ京都女子大学の支援チームは京都ならではの食材を活かしたメニューを考案し、調理・提供しました。山科なすと湯葉の吸い物、九条ねぎレモンだれの豚しゃぶ、焼き万願寺唐辛子など、京都を感じながらも栄養に配慮した料理が並びました。

学生たちは料理を運び、食卓をともに囲みながら、住民の方々と会話をしました。
「今日は暑いですね」
「おいしいですね」
そんな何気ない会話から、少しずつ距離が縮まっていきます。

困りごとや課題を聞き取るのではなく、一緒に食事をし、楽しい時間を共有すること。そうした何気ない会話の積み重ねの先に、長期化する避難生活で感じている葛藤や、見えない未来への不安が語られます。こうした時間こそ、人と人とのつながりをつくる大切な時間なのかもしれません。

本郷第一団地での「コミュニティ居酒屋」

「奥能登にまた行きたい」と思えるために

最終日には、奥能登の観光資源を巡りました。災害の痕跡を探すだけではなく、奥能登の魅力あふれる風景や食、文化に触れることは、能登に生きる人の誇りと自信を共有することです。奥能登には、災害によって失われたものだけではなく、今も残っているもの、これから新しく生まれていくものがあります。
この奥能登をもっと魅力あふれる場所にしたい、そう考える人たちと出会い、お話を伺うことができたことで、単に「被災地」としてだけ見るのではなく、そこにくらす人々が長い時間をかけて築いてきた、誇りある地域として知ることができます。
奥能登が「助けたい場所」ではなく、「また行きたい場所」になっていくこと。それも、地域を応援していくための大切な視点です。

「イカキング」を前に、能登の魅力を楽しむ

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今回の4日間では、災害について学び、海をきれいにし、スポーツを楽しみ、写真を洗い、食卓を囲み、地域の方々と話をしました。
楽しい時間の中にも、たくさんの「なぜ?」がありました。
なぜ、この地域ではこの活動が必要なのか。
なぜ、人が集まって話をする場が大切なのか。
なぜ、一枚の写真を残すことに意味があるのか。
そして、これから私たちは、この地域とどのように関わっていけるのか。
知ること。出会うこと。楽しむこと。そして、考えること。

8回目となる今回の奥能登での活動は、これまでのつながりを振り返りながら、これからの関わりを考える4日間となりました。
また奥能登へ。
そう思える出会いと学びを胸に、学生たちはそれぞれの場所へ帰っていきました。