2026.07.09

文化学部 中野教授のフランス・トゥールーズ出張報告(1):観光地域づくり機関との意見交換と観光戦略の多面的展開

文化学部の中野 宏幸教授は、フランス南西部の都市トゥールーズにおいて、オート=ガロンヌ県やトゥールーズ市等と連携しながら観光振興を推進する公的な観光地域づくり機関「トゥールーズチーム(Toulouse Team)」の統括責任者であるアドリアン・アルメル氏と、トゥールーズおよび京都の観光戦略について意見交換を行いました。今回の訪問は、トゥールーズ・キャピトル大学で開催された第17回世界交通学会への参加の機会を活用して実施したものです。

トゥールーズは、オクシタニー地域圏の州都であり、オート=ガロンヌ県の県庁所在地です。エアバスをはじめとする航空宇宙産業や先端技術産業が集積する欧州有数の産業拠点である一方、「バラ色の街(La Ville Rose)」の愛称で親しまれる赤レンガ建築や歴史遺産を有する文化観光都市としても知られています。観光客は欧州域内からの来訪者が中心ですが、近年は国際会議や学術大会の開催を背景に、ビジネスや産業観光を目的とした来訪も増加しています。 今回は、トゥールーズの地域特性や観光戦略の推進体制、都市の魅力発信に向けた取組について、幅広く意見交換を行いました。

アドリアン・アルメル氏と意見交換する中野教授

トゥールーズでは、公共交通機関の充実や歩行者空間の整備、歴史的景観の保全を通じて、環境への配慮と市民生活との調和を重視した持続可能な観光政策が進められています。このなかで、トゥールーズチームは、2025年に策定された地域マスタープランに基づき、商工会議所や民間事業者との連携のもと、観光資源の発信、イベント企画、誘客促進などを担い、「より責任ある、より公平で、地域に根ざした観光地づくり」を推進しています。

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の構成資産として世界遺産に登録されたサン・セルナン・バジリカ聖堂
(学会主催のウォーキングツアーで中野教授撮影)

同チームでは都市の個性や強みを生かした観光振興の一環として、国際会議や展示会などのビジネスイベントを重要なターゲットに位置付け、積極的なプロモーションとマーケティング戦略を展開しています。都市の産業基盤と観光資源を有機的に結び付けながら多様な来訪者を呼び込む取組は、今後の都市観光の方向性を考える上でも示唆に富むものでした。

地中海と大西洋を接続する構想の下にピエール・ポール・リケにより設計された世界遺産・ミディ運河
(左は、フランス国鉄のトゥールーズ・マタビオ駅)(中野教授撮影)

今回の訪問を通じて、歴史的な街並みや豊かな地域文化と先端産業が共存するトゥールーズならではの観光資源の魅力を体感するとともに、観光やビジネス交流の活発化の中で、地域と来訪者との相互理解を深めることの重要性を実感しました。また、世界の都市がそれぞれの資源や特色を生かした独自の観光戦略を展開している現状に触れ、都市の強みを戦略的に活用することの意義を改めて認識しました。 

文化学部の学生の皆さんには、多様な学びの機会を通じて世界の実情に触れ、国際的な視野を養いながら、世界の都市や地域の歴史・文化・社会・産業への理解を深め、これからのツーリズムのあり方について創造的に考えてほしいと思います。