2025.12.05

理学研究科物理学専攻の奥野 将さんが学会発表を行いました

本学大学院 理学研究科物理学専攻 前期課程2年次生の奥野 将さんが、2025年11月4日から福岡国際会議場で行われた2025年度日本気象学会秋季大会に参加しました。奥野さんは、ポスター発表に登壇し多くの聴講者を相手に発表を行いました。本学大学院の研究支援制度により、渡航費用や参加費の支援を受けました(※1)。

概要

名称 2025年度日本気象学会秋季大会

場所 福岡国際会議場

期間 2025年11月4日~2025年11月8日

[P246] 日中にピークを迎える下降斜面風の可能性~火星の大規模斜面の場合~

マリネリス峡谷(図1)は長さ約4,000km、深いところで深さ7 kmにもなる火星の大峡谷です。グランドキャニオンを長さも深さも幅もすべて10倍した程度だと考えればわかりやすいです。アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機HOPEに搭載されたEmirates eXploration Imager(EXI)によって観測された火星のマリネリス峡谷の可視光画像を精査すると、マリネリス峡谷南西側で発生する砂嵐(ダストストーム)は季節によって頻発する地方時が異なることがわかりました(図2)。ある季節は午前に、ある季節は午後に、というように、発生しやすい時刻が異なっていたのです。この研究は、マリネリス峡谷南西側が大局的には緩やかな斜面であることに注目して、簡単なモデルを用いて大規模で緩やかな斜面上における斜面風の極大時刻を調査しました。その結果、斜度によっては日の出後の午前中に下降斜面風の極大になり得ることを発見しました。一般的に下降斜面風は夜間に極大を迎えると考えられていますが、大規模な緩斜面上では風速のピークを迎える時刻が後ろにずれることがわかりました。つまり、この地域のダストストームの発生を斜面風でも説明可能であることを示唆しています。

図1 マリネリス峡谷とソリス平原付近の地形図。図上部の峡谷がマリネリス峡谷。

図2 南半球冬(左)および南半球春(右)における、マリネリス峡谷南西側のダストストーム発生地域と地方時。点の色がダストストーム発生地方時を意味しています。

※1 大学院生による国内外での学会に出席する機会や論文誌への投稿の機会を増やすことにより、大学院生の教育研究の活性化および充実を図る制度。国内外で開催される学会に出席する際に要した旅費等、論文誌(査読付き)への掲載費および図書館資料費について、一人当たり年間25万円を上限として支援を受けられます。