2025.09.03

「AI学校司書」の運用による児童生徒の探求学習と教員の授業改善を目指して

2025年7月、文化学部 大平 睦美 教授が、日本事務器株式会社と小中学校の学校図書室に対する遠隔レファレンスの共同研究に関する契約を締結しました。

◆日本事務器株式会社ニュース

共同研究では、小中学校の教員や学校司書が資料を選択する際、他の教員がどのように活用したかの追跡・確認をリアルタイムで可能にし、自身の活用方法についてもコミュニティ内での共有を可能にする「遠隔レファレンス」アプリケーションを開発し、そのアプリをタブレットやスマートフォンに実装し、実証試験を行います。
そして、これらの情報の共有を通じて、地域における教育の機会均等に貢献することを目指すことを目的としています。

大平教授からのメッセージ:共同研究にあたって

図書館は情報を提供する場ですが、情報は知識ではありません。情報を知識に変えるためには、多様な情報を収集し比較検討することが必要です。
学校図書館の現状は、読書活動(好きな本を読むこと)に特化する傾向があります。そのため教員も児童生徒も調べる学習の経験が少なく、調べるための資料も読書資料と比較して少ないことが通例です。そこで、本研究では調べる学習の作り手である教員の支援をしたいと考えました。学校図書館の司書教諭や学校司書が、授業を担当する教員に資料を提供する際、また調べる授業を実施する教員が先輩や同僚から経験値を得られ、AIを使ったデータを利用することで「経験値とデータとの融合」を実現し、授業担当教員や司書教諭、学校司書のみなさんをサポートしたいと考えます。
それと共に、司書教諭の発令や学校司書が配置されていない地域の学校にも、司書教諭や学校司書がいる学校と同様の図書館支援を実現したいと考えています。なぜなら、日本には学校図書館法が存在し、全ての学校に学校図書館が存在するにもかかわらず、人の配置がないために学校図書館を授業に利用できないならば、教育の機会均等が失われます。遠隔レファレンスによる「AI学校司書」は、学校図書館の活動を通じて教育の機会均等も推進することを目指しています。
共同研究では、特に教科学習についてのレファレンスを中心に考えています。学校図書館に所蔵する多くの資料から適切な情報を取り出し、比較検討すること。さらには、所蔵している資料を超えて、他館や世界中で利用されている図書や資料の中から適切な資料の効率的な提供を可能にすることで、先生方の授業作りや、司書の方の資料提供や選書、児童生徒のみなさんの情報を知識に変える(知識の習得や蓄積)一助になることを期待しています。

◆教員紹介:大平 睦美 教授