研究成果
理学部 物理科学科の齊藤 国靖 教授が、東京大学の研究グループとアモルファス粒子系の理論研究を行い、慣性や粘性のバランスが大きく異なるガラス系と粉体系の音波物性を統一的に理解できることを発見しました。この研究成果は学術誌Communications Physicsの論文として掲載されました。
掲載論文
著 者 : Hideyuki Mizuno,Kuniyasu Saitoh,Yusuke Hara,and Atsushi Ikeda
題 目 : Unified study of viscoelasticity and sound damping in hard and soft amorphous solids
掲載誌 : Communications Physics 8,23 (2025)
題 目 : Unified study of viscoelasticity and sound damping in hard and soft amorphous solids
掲載誌 : Communications Physics 8,23 (2025)
DOI:10.1038/s42005-025-01933-5
URL:https://doi.org/10.1038/s42005-025-01933-5
URL:https://doi.org/10.1038/s42005-025-01933-5
研究概要
ガラスの構成分子や粉体を構成するマクロな粒子は、結晶の様に規則正しく周期的な配置をしておらず、ランダムな配置を保ったアモルファス粒子系であることが知られています。アモルファス粒子系の物性は独特であることが多く、音波の分散関係や散乱係数はその一例です。さらに、ガラスと粉体の音波物性も本質的に異なることが知られており、両者を含めたアモルファス粒子系全般に関する統一的な理解が求められていました。
本研究では、ガラスと粉体を同一の理論モデルで捉え、慣性と粘性のバランスを変えることで、ガラス的または粉体的な音波物性をシミュレーションで再現することに成功しました(下図)。また、シミュレーションで得られた音速や散乱係数の結果は、理論モデルから予測される動的剛性率と直接関係していることを示しました。これにより、ガラス系と粉体系の音速と散乱係数の臨界スケーリングを同時に予測することができ、数値シミュレーションによってこれを実証しました。
シミュレーションにより得られた粒子速度の時間相関関数。プレストレスが(a)ある場合と(b)ない場合。
参考
- 京都産業大学 教員紹介ページ:齊藤 国靖 教授